自動車のバッテリーは2~3年程度が交換の目安です。バッテリーの寿命は使用条件によっても左右されますが、弱ったままの状態で放置しているとエンジンが掛からなくなることもあります。
ここでは、一般的なガソリン車のバッテリー交換方法を実例を通して紹介しています。
今回、交換するバッテリーはパナソニックのカオス「Q-105/A4」です。このバッテリーは「Q-85」からの交換に適合したモデルとなります。バッテリーの交換方法自体は普通車どれも似たり寄ったりです。ただし、バッテリーの場所は車種によって違うことがあるため事前の確認が必要です。軽バンや軽トラはシートや荷台の下にあります。
車のバッテリーを自分で交換する方法
バッテリーは自分で交換すると費用と時間を節約できる!
バッテリーはディーラーや専門店で交換するとそれなりの費用が掛かります。正規ディーラーの場合は、インプレッサスポーツのような一般的な車種であれば目安として全て込みで4万数千円くらい掛かります。
一部の店舗では通販で購入したものを持ち込んで作業してもらうことも可能です。車検や定期点検などの際に持ち込みで交換を依頼する方もいるようです。その場合には当然のことながら数千円の工賃と廃バッテリーの処分費用が掛かります。
けれども、バッテリーを自分で交換すれば2万円強で済みますので費用をかなり抑えることができます。DIYの場合には、バッテリー本体以外に、メモリーキーパー、スパナ(一般的には10mm)、絶縁テープ、保護メガネ、ゴム手袋などを自前で用意しなければなりません。メモリーキーパーは1,000円~2,000円程度、それ以外は100均でも手に入ります。
以上のように古いバッテリーの廃棄処分にも工具等の費用が掛かることがあります。それでも、自分でバッテリー交換を行うことは正規ディーラーの半分程度の金額に抑えられるために十分なメリットがあるといえます。それに加えて、ディーラーや整備工場に行く時間と待ち時間も節約することができます。
車種に適合した製品を選ぶ
アイドリングストップ機能の付いた車の場合は、アイドリングストップに対応した製品を選択します。他にも、標準仕様と寒冷地仕様が分かれていることもあります。
適合製品は、パナソニックの以下のページから検索することができます。
バッテリーは通販で購入しても大丈夫?
これは結論から言って問題ありません。万が一、何かあれば連絡して返送すればよいだけのことです。
今回はアマゾンにて「Amazon が販売・発送」しているバッテリーを購入しましたが、しっかりとした段ボール箱に入って届きました。また、配達員の方も内容物がバッテリーであることを理解されており、横向きにしないよう注意喚起してくださいました。
段ボール箱にも「カーバッテリー在中」「横倒し厳禁」と注意書きがあります。
段ボール箱を開けると上手い具合に梱包されていました。ものをぶつけても破損しにくいように工夫されていることが分かります。通販でも安心して購入することができます。
今回はパナソニックのカオス 「Q-105/A4」をアマゾンで購入しました。購入時の価格は 19,939 円でした。交換用のバッテリーはパナソニック等の有名メーカーのものを選択していれば間違いありません。
このバッテリーは、トヨタのウィッシュ、ヴィッツ、ヴォクシー、ノア、ハリアー、ラクティス等、日産のティアナ、ノート、マーチ等、マツダのCX-3、CX-5、CX-8、アクセラ、アテンザ、デミオ等、スバルのXV、インプレッサスポーツ、インプレッサG4、フォレスター、レヴォーグ等のさまざまなメーカー&車種に対応しています。
インジケーターの見方が載っていますので、問題ないか念のために確認しておきます。
メモリーキーパーや工具を用意する
メモリーキーパーはバッテリー交換時の必需品です。写真の製品は「OBDII」コネクタ給電仕様のものです。ワニグチクリップの製品もあります。「OBDII」コネクタの有無をご確認ください。
この他に、スパナ(一般的には10mm)、絶縁テープ、保護メガネ、ゴム手袋など必要なものを用意します。絶縁テープはスパナの先端に巻いたり外した端子に巻いたりしてショートを防ぐために使用します。
なお、バッテリー交換用に「絶縁スパナ」という工具が販売されていますので、心配な方はそういうものを予めご用意ください。
エンジンルームを開けてバッテリーを確認する
バッテリーの交換作業に入る前に、バッテリーの位置や固定方法などを確認しておきます。バイクのバッテリー交換は簡単ですが、車はバッテリー自体が重いこともあってちょっとだけ大変です。ですが、所要時間は10~30分程度です。
バッテリーを外すためには固定金具を取り外す必要があります。固定金具はボディに引っ掛けられているため、どこをどうやって外したらよいのかをよく観察しておいてください。バッテリー周囲の黒いカバーは固定金具を引き抜いたあとに取り外します。
また、車種にもよりますが、バッテリーを横にずらしてからでないと上方向に引き上げられないことがあります。前後左右の余裕も見ておいてください。
この車種の場合は、バッテリーを取り外すときに端子だけでなく固定金具も取り外す必要があります。バッテリー前後の六角ボルトを緩めて、金具の先端をボディの固定穴から引き抜きます。
写真右側の黒いキャップは上に引き抜くことで六角ボルトを露出させることができます。
プラス端子(写真左)とマイナス端子(写真右)は、ショートしないように気をつけて順番通りに外します。プラス端子にはカバーがかかっていますが、これは上に引き上げると外れます。
実際のバッテリー交換作業
メモリーキーパーの取り付け
OBDII コネクタ(写真中央)の位置を確認します。OBDII コネクタはアクセルペダルの上あたりにあることが多いです。
OBDII コネクタが搭載されていない車種の場合はワニグチクリップのメモリキーパーを使用します。
メモリーキーパーを OBDII コネクタに挿し込みます。メモリーキーパーが正しく接続されていることを確認します。
メモリーキーパーが正しく動作していることを確認します。インジケーターの意味は事前に説明書を読んで把握しておいてください。
バッテリー端子の取り外し
マイナス端子の六角ナットをスパナで緩めます。すると上に引き抜くことができます。
ショートしないように絶縁テープを端子に巻いておきます。
プラス端子のカバーを外して、六角ナット(右写真の右側の六角ナット)をスパナで緩めます。六角ナットは少し緩めるだけで上に引き抜くことができます。
端子は先ほどと同様に絶縁テープを巻いておきます。
固定金具の取り外し
固定金具のネジを前後ともに10mmのスパナで緩めます(ここではボックスレンチを使用しています)。
固定金具の先端がボディの穴に引っ掛かっていますので、固定金具を動かして穴から外します。
もう一方の六角ボルトも緩めて、先端をボディの穴から取り外します。
そうすることで黒い金具ごと真上に引き上げることができるようになります。
古いバッテリーの取り外し
この車種の場合は、バッテリーをやや横にスライドさせてから、黒いカバーを上に引き抜いて、その後にバッテリーを引き上げるかたちになります。
バッテリーは20kg近くもありますので、落とさないように細心の注意が必要です。また、前屈みになって引き上げるため、ぎっくり腰にも注意です。
底の台座が汚れているので軽く拭いておきましょう。あとは、逆の手順で新しいバッテリーを取り付けていきます。
新しいバッテリーの取り付け
新しいバッテリーを台座の上に載せて、保護カバーを取り付けてから、バッテリーを所定の位置までスライドさせます。ここで先に固定金具を取り付けておくのですが、失念していたので写真では順序が前後しています。
バッテリー側の端子に付いている絶縁キャップを外してから、プラス端子のケーブルを取り付けます。六角ナットは締め付けすぎてはいけません。
なお、バッテリーに付いている黒いハンドルは本来は外すものですが、次回の交換時のことを考えてあえて付けたままにしています。取っ手がないと非力な人間は持ち上げるのが大変です。
マイナス端子の絶縁キャップを外して、マイナス端子のケーブルを取り付けます。六角ナットの締めすぎに注意してください。
端子や固定金具が正しく取り付けられているか、バッテリーが動かないか等をしっかり点検します。
バッテリーが正しく取り付けられていることが確認できたら、メモリーキーパーを取り外します。
周囲の安全を確認した上で、エンジンを始動して問題がないかどうかを確認します。バッテリーを交換するとエンジンのかかり具合がまったく違います。
バッテリー交換の手順は以上です。
古いバッテリーの処分費用について
交換した古いバッテリーは、ディーラー、自動車用品店、ガソリンスタンド、買取り業者などで処分してもらうことができます。引き取りの際に処分費用が発生することがあります。
新品バッテリーを購入したお店であれば無料で引き取ってくれるかもしれませんので、購入時に確認してみてください。鉛を多く含むバッテリーはお金にもなるので喜んで引き取ってくれるところもあるようです。これは昔と比べて鉛の価格が上がっているためです。
廃バッテリーをリサイクル業者に買い取ってもらうという選択肢もあります。しかし、ガソリンと時間を使って数百円~千円弱程度を得ることは費用対効果を考えると賢明な判断とはいえません。
今回は近所のガソリンスタンドにガソリンを入れに行ったついでに、廃バッテリーの処分をお願いしたところ220円で引き取っていただくことができました。