ネジの頭部にあるプラスやマイナスの溝は「ネジ山」ではなく「駆動部」と言います。ネジ山は木材等に埋め込まれる側にある螺旋状のギザギザのことを指しています。
このネジの駆動部と呼ばれる部分は完全になめた状態であっても、ネジ外し専用のビットを使うことでいとも簡単に外すことができます。
電動ドライバーを持っていれば後は専用ビットを用意するだけです。ネジ外し専用ビットは中型以上のホームセンターで取扱いがあり、複数の製品が1,000円未満で手に入ります。
この他にも、問題を抱えた多くのネジは工夫次第で概ね取り外すことが可能です。詳しくは以下のページをご覧ください。
駆動部が完全に潰れたネジを外す方法
駆動部が完全になめたネジは外すことが難しい
先日、玄関ドアのドアクローザーを交換する際に、古い製品を外していました。本体を取り外してみたところ、本体の固定金具に使われていたネジが完全になめて潰れていました。
こういう問題が起こると作業が中断してしまい、余計な時間をとられることになります。しかし、そのようなネジでも外す方法はあります。
本体の固定金具に使われていたネジの頭が完全に舐めている状態です。電動ドライバーの誤使用によって駆動部が完全に破壊されてしまっています。
そもそもこんなところのネジが舐めているということ自体ありえないことなのですが、施工業者も見えないところで後から外すことはないということもあって、知らんぷりをしていたのでしょう。
これは本当にいい加減な仕事です。自分で家を修繕していると職人の仕事とはとても思えないような適当な作業の痕跡を目にすることがあります(もちろん、しっかりと施工されている箇所のほうが多いのですが……)。
本来在るべき十字の溝が完全に潰れてしまっています。このネジをなんとか外そうと試みたものの、手持ちの工具ではどうやっても外すことができませんでした。ドアの鉄板にがっちり食い込んでいます。
そこで近所のホームセンターまで急いで行って、このネジに適合するネジ外しビットを購入しました。
ネジはずし用の専用ビットを用意する
ホームセンターには色々な種類のビットが手ごろな価格で揃っていましたが、その中から VESSEL(ベッセル)の「ネジはずしビット(NEJ-2)」を選びました。こちらのビットは、片側にドリル、もう片側にネジ外しが付いている電動ドライバー専用の製品になります。
ビットのサイズはネジのサイズに確信が持てなかったということもあり、M5~M6に対応した中間サイズの製品を選びました。
ネジの径が測れる場合は測っておくに越したことはありません。後から調べたところ、サイズ違いのセットが販売されているようです。サイズが分からない場合はそういった製品を選んでおくと間違いありません。
ネジを外すための専用のビットといえども、すべてのネジが外せるわけではありません。どの製品も裏面に対応したネジの種類が記載されています。そちらを購入前に確認する必要があります。
この製品は多様な形状のネジ穴(駆動部)に対応しています。ネジの種類は、小ネジ、木ねじ、一部を除くタッピングネジに対応しています。
しかし、コーススレッド、ドリルネジ、シンワッシャー、高硬度ステンレス等の硬度の高いネジ、固着したネジや逆ネジには対応していないという注意書きがあります。自己の責任に基づいてダメ元で試してみるという選択肢もあります。
こちらのビットは電動ドライバーに装着して使用するためのものです。当然ながら手回しでは使えません。
このビットは、まずドリル部で穴を掘って、その後にネジ部でネジを外すという手順になります。電動ドライバーを左回転かつ低速に設定して使用します。電動ドライバーは低速(弱)モードに設定します。高速にするとドリルがダメになる可能性があります。
ビットは全長が82mm、差込角対辺が6.35mmです。また、先端径はドリル部がΦ2.7mm、ねじ部がΦ2.6mmです。
このビットは一般的なインパクトドライバーに取り付けて使用することができます。
駆動部が完全になめたネジを外す
先端のドリル部は鋭く尖っています。ドリルの下側にはネジの形状が付加されています。
こちら側でネジ穴を成形していきます。駆動部をドリルでほじくるような形になります。ネジの形状ができなくても問題ないようです。
このネジはずしビットの使用方法は、ドリルを使って駆動部を少し削ってから、今度は反対側のネジ部を使ってネジを取り外すというイメージです。ただし、先ほど取り上げたように硬度の高いネジには対応していない点に注意が必要です。
反対側はネジ部になっています。なめた駆動部をドリルで掘削した後に、こちらのネジ部を駆動部にあてがってゆっくり回してやると、なめて外れなかったネジが食いついていきます。
実際に使用してみると驚くほど簡単にネジが外れました。
今度はネジがネジ部に食いついて外れません! そういうときはペンチやウォーターポンププライヤーを使って回すとすぐに外れます。以下の製品がコスパが高くてとてもおすすめです。
この専用ビットのおかげでネジがすぐに外れてドアクローザーの取り付け作業に移ることができました。最初は使い方を確認するまで少しだけ時間が掛かるかもしれませんが、使い方が理解できれば何度でも同じように駆動部のなめたネジを外すことができます。
この製品はネジが外せないという困った場面で重宝します。色んな径のネジに対応できるように、複数のビットを予め用意しておくと良いかもしれません。
ベッセルのネジ外しビットにはサイズの異なる3本のビットがセットになったパッケージもあります。今後、DIYをされる方はそのようなサイズ違いのセット品をお手元に置いておくといざという時に役立ちます。まとめて買うほうが安いという利点もあります。
単品の場合は適合サイズを事前に調べてください。スリムタイプもあるようです。いずれの製品も大型ホームセンターで手に入ります。