これまでDIYで作ったものには水性ウレタンニスを塗っていました。しかし、たまには違うものを塗ってみようということで柿渋を試してみることにしました。
柿渋は日本で昔から使われてきた伝統的な塗料のひとつであり、天然成分から構成されているため安心して使用することができます。柿渋は家具の塗装はもちろんのこと、布の染色などにも使われています。
近年では、柿渋の臭みを除去した無臭の柿渋が登場しています。
無臭柿渋は使いやすく味のある仕上がりになる
ターナーの「無臭柿渋」は柿渋塗料の定番
ターナー色彩は大手塗料メーカーとしてさまざまな塗料を発売しています。そのラインナップに「無臭柿渋」があります。
柿渋は強烈な臭いがネックとなって敬遠されていましたが、現在では臭みの元を取り除いて無臭状態にしたものが普及しています。100%天然素材から作られているため、人工的な成分が苦手という方でも安心して使用することができます。
製品のパッケージには「木材・布用天然素材・染料」とあります。もちろん、製品は国内産です。
柿渋を使った製品は、柿渋に含まれるタンニンが防虫、防腐、防かびなどの効果をもたらすとうたっているものが多いです。しかし、塗った製品にどこまでの効果を期待できるかは精査する必要がありそうです。
柿渋のデメリットは、服に付くと取れなくなるなってしまうということと、長期間放置しておくとゲル化して使用できなくなってしまうということが挙げられます。
柿渋を塗装する前の準備
柿渋以外に刷毛と倒れにくい容器があると便利です。塗料を布やスポンジに付けて塗る方法もありますが、刷毛でも特に問題ありません。
塗装時には制作物のしたに敷くブルーシートや新聞紙があると床を汚さずに済みます。柿渋が畳やカーペットに付くと取れなくなるため注意が必要です。
塗装面をより綺麗に仕上げたい場合は、事前にサンドペーパーで塗装部を研磨しておくことが重要になります。
白いキャップを外すと内蓋が付いています。内蓋を開けるときに塗料が飛ぶ場合があるため注意が必要です。
刷毛を使う場合は不要なコップなどのように安定性のある容器があると重宝します。
塗料は柿渋1に対して水1を加えて希釈するなどして、端材で試し塗りをしてから使用します。塗った後に濃すぎたと思っても後から薄くすることはできません。
また、柿渋は乾燥後に色が濃くなります。塗装直後の色と乾燥後の色味はまったく違います。逆に、水の量を調整したり、重ね塗りをしたりすることで好みの濃さにすることが可能です。
柿渋の塗装例
ブルーシートや新聞紙を敷いて床を保護します。
柿渋の臭いはほぼありませんので、室内で問題なく塗装できます。
角材への使用
こちらは未塗装の角材(30mm×40mm)です。
こちらが塗装直後の状態です。色むらと毛羽立ちが若干目立ちます。
柿渋が乾燥すると先ほど見られた色むらなどは落ち着きます。
角材の一面を塗り終えて乾燥後に別の面を塗ると、塗装の境目が後から目立ってしまうことがあります。そのため、塗る順序には注意が必要といえます。
また、塗装面は時間が経つにつれてもう少し濃くなります。
合板への使用
こちらは未塗装のラワンランバーコア材(合板)です。
そしてこちらが塗装直後のものです。表面は水が染みたような状態になっています。
こちらはしばらく乾燥させた状態です。
塗装した木材と未塗装の木材を比較してみると木の色が濃くなっていることが分かります。写真の写り具合もありますが、まさに鮮やかな柿渋の色に変化しています。
柿渋の色味については次の記事が参考になります。
角材とダボ埋め箇所の比較
ビスの頭を木ダボで隠したところです。柿渋はペンキと違って木材を覆い隠す性質のものではないため、ダボの色を隠すことはできません。柿渋を塗り重ねて濃くすることでわずかな調整はできるかもしれません。
角材の隙間は塗料が入りにくいため、上手く塗ることが難しいことがあります。
柿渋による塗装は渋くて味のあるものになる
棚や机の塗装後は全体的に明るい柿色になります。鮮やかな色合いで気に入る方も多いと思います。また、塗装後の手触りもサラサラとした木の感触があります。
DIY場面ではブライワックスやワトコオイルなどの油性ワックスが大人気となっています。しかし、油性の塗料は臭いがきつくて塗装後も部屋に留まることが難しいことがあります。また、油性ワックスを実用家具に塗ると服や本に色移りしてしまうことがあります。
そういった意味では、無臭化された柿渋はほぼ臭いがせず、誰でもどこでも気軽に使えるといえます。天然成分100%から作られている柿渋は、臭いに敏感な方からお子様のいるご家庭まで安心安全に使用することができます。
塗料に迷っている方は、一度ご検討なさってはいかがでしょうか。
なお、実用家具に色を付けたいという場合は、水性ウレタンニスがおすすめです。ただし、木の手触りは少しだけなくなります。