先日、長い間使っていた脚付きマットレスベッドを解体して処分しました。ベッドの解体は、大人一人でも行うことができます。しかし、ベッドの構造を調べた上で適切な道具を用意する必要があります。
最初に要点だけ述べておきますと、ベッドの解体は「費用」「時間」「労力」を要しますので、「安く」「簡単に」処分したい場合は自治体に粗大ゴミの回収を依頼することが最適な方法です。
屋外や階下に運び出すことが難しいということが判明したときに、ご自身で解体することを検討されるとよいと思います。
ここではベッドの解体の流れをまとめています。
ベッド等の大型家具を処分する様々な方法
ベッドの解体を始める前に、ゴミをどうやって処分するかを考えておく必要があります。
ベッドを処分する方法はいくつかあります。内容が正しいかどうかは各自で再検討してください。
①自治体に粗大ゴミとして出す
自治体に粗大ゴミとして出す方法がもっとも一般的なベッドの処分方法だと思います。引き取り費用は自治体によってまったく異なります。
自治体/品目 | ベッド本体 | マットレス |
大阪市 | ベッド本体 1,000円 | スプリングマットレス シングル 700円 セミダブル・ダブル 1,000円 |
神戸市 | シングル 900円 シングル以外 1,200円 |
スプリング入り 1,200円 スプリングなし 300円 |
京都市 | 解体したもの シングル・セミダブル 800円 ダブル 1,200円 |
スプリング入り シングル・セミダブル 2,000円 ダブルサイズ以上 2,400円 |
東京都北区 | シングル 1,200円 セミダブル・ダブル 2,000円 |
ベッドマット 800円 |
いくつかの自治体を確認しただけでも条件と料金が異なっていることが分かります。ベッド一つとっても内容がかなり細分化されていますので、事前によく調べる必要があります。
正確な内容は各自治体のウェブサイトでご確認ください。
②回収業者に引き取りを依頼する
私は古い工具やスプレー缶など廃棄に困ったものを業者に有料で処分してもらった経験が何度かあります。処分費用がそれなりにかかりましたが、不要品が一度に片付いて気分がスッキリした記憶があります。
しかし、良い業者かどうか判断することが難しいという問題があります。中には悪徳業者もあるようですので、「無料」といった言葉に飛びつかずに慎重に検討したいものです。不要品をトラックに乗せてもらった直後に「処分は無料ですが運搬料が1万円かかります」なんて言われたら目も当てられません。
③新しいベッドの購入時に引き取ってもらう
新しいベッドやマットレスを購入する時に、引き取りについて相談してみるのも手かもしれません。有料で引き取ってもらえたり、引き取り業者を紹介してもらえたりするかもしれません。
新しいベッドの搬入時に古いベッドと入れ替えで引き取ってもらえたら助かりますよね。
一例ですが、大手家具量販店「ニトリ」は特定の条件が満たされた場合に限り家具の引き取りも行っているようです。
ニトリ公式ウェブサイトの「FAQ(お客様サポート・よくある質問)」には「「配送員設置商品」を購入された場合、1回の配送につき3,300円(税込)で承ります」との記述があります(2020年12月現在)。ベッドに適用されるかどうかはお店で確認してください。
④ネットで引き取り手を募集する
まだ使えそうなベッドなら「ヤフオク」や「メルカリ」などで破格の安値で売りに出すという方法もあります。無印良品のベッドなどは人気がありそうです。他にも「ジモティー」で近所の引き取り手を探すという方法もあります。
けれども、個人取引はトラブルになる可能性があるため賢明な方法とは思えません。また、配送方法にも困ってしまいます。
⑤小さく解体して普通ゴミに出す
木材を細かく切って処分するという方法もあります。もちろん、自治体の定めるところに従って、ゴミを処理することは言うまでもありません。小さな木片であれば処分できるところも多いのではないでしょうか。
一般ゴミに出せない部分はゴミ処理施設に持ち込みます。また、金属は多量であれば金属回収業者に引き取りをお願いできるかもしれません。
⑥ゴミ処理施設に車で直接持ち込む
自治体によってはゴミ処理施設に粗大ゴミ等を搬入して処理するという方法があります。私はこの方法も利用したことがあります。
この方法は一度にすべてのゴミを片付けられるという利点があります。一方で、手続きが煩雑であるという欠点があります。ある施設では、事務所で受付を済ませて車ごと計量し、ゴミを処理してからもう一度車を計量して、それから事務所で所定の手続きを行って帰るというような流れでした。
気になる方は、「自治体名+クリーンセンター」「自治体名+ゴミ処理場」などのキーワードで検索してみてください。持ち込みが可能な場合は、詳しい手続き方法が掲載されているはずです。
ここからはベッドの解体についての記録をまとめています。
脚付きマットレスベッドを解体する前に
マットレスやマットレスベッドは長い間使用していると負荷のかかっている部分がへたってきます。そうすると寝心地がとても悪くなってしまう上に、身体にも悪い影響が及んでしまいます。
私のベッドも背中の部分が激しく沈み込むようになっていました。ベッドの上には別のマットレスを敷いていましたが、それでも寝るときの身体の状態がわずかに「逆への字型」になっていました。このままでは身体に悪いため、思い切ってベッドを解体して廃棄することにしました。
本来であればベッドを持ち出して粗大ゴミに出せばよいのですが、玄関まで持ち運ぶことができず、やむなく部屋の中で細かくバラしてゴミとして処分することにしました。
ベッド側面の生地もチェアが当たってボロボロになっています。見た目的にもみっともない状態です。
ベッドを解体する前に、ベッドの構造を調べておく必要があります。解体に必要な道具がベッドの作りによって若干異なります。
このベッドの場合は、「ポケットコイル」ではなく「ボンネルコイル」になっています。
ポケットコイルは不織布の中にスプリングコイルが入っており、その袋が連結されて面が構成されています。解体は袋状の不織布をカッターナイフで開けてスプリングを取り出していきます。
ボンネルコイルはスプリングコイルが露出した状態でワイヤーや細いスプリングによって連結されて面が構成されています。こちらはスプリングを繋げているワイヤーを切断してスプリングを分離していきます。
スプリングコイルの手前には木製の土台があります。まず木製のフレームを解体して、それからスプリングコイルを取り外していきます。
スプリングコイルと細いスプリングの直径を測定しておきます。
細い方はペンチでも切断できそうですが、太い方は1.8mm程度あるためペンチでは切断できそうにありません(後から分かったのですが、このベッドの場合は1.8mmのスプリングコイルを切断する必要はありませんでした)。
木製フレームの縁を見てみるとベッド上下の外周を沿うように極太の番線が貼られています。こちらは3.5mm以上あります。
ベッドの解体に必要なものを揃える
ベッドの解体に必要なものを揃えました。ベッドによってはドライバー等が必要になってくるかもしれません。なお、写真にあるペンチとハイスパイマン(金属切断用鋸)は使いませんでした。
絶対に必要なものは次の8点です。
①ボルトクリッパー(番線の切断)
②のこぎり(木製フレームの切断)
③カッターナイフ(生地の除去)
④軍手(針金の先端・木の棘対策)
⑤安全ゴーグル(番線や鉄粉の飛散対策)
⑥丈夫な靴(木枠の解体とステープラー対策)
⑦土のう袋(安全なゴミ処理)
⑧掃除機(木くず・ほこり対策)
ベッドの解体に適した工具と安全用品を揃える必要があります。
①ボルトクリッパー
ボルトクリッパーは太い番線を切断するために必須の工具です。色々な大きさのボルトクリッパーが販売されていますが、一番太い番線のサイズにあわせて選ぶ必要があります。
今回の場合は太い番線が3.5mm程度だったため、450mmのボルトクリッパーを選びました。太い番線の切断は、片方の取っ手を足で地面に押さえつけて、もう片方の取っ手を両手で体重をかけながら押さえつけて行います。これなら非力な人でも何とかなります。
サイズは600mmでもよかったかもしれません。サイズが大きくて困ることはありませんが、小さいと番線を切断できなかったり作業の負担が大きくなったりします。たった3.5mmの太さと思われるかも知れませんが、やってみるとものすごく固くて大変です。しかも、切断作業は何度も繰り返します。
②のこぎり
のこぎりは1,000円~2,000円程度のものを選んでおけば材をスムーズに切断できます。のこぎりは100円ショップでも販売されていますが、切れ味も使い勝手も悪いためおすすめしません。包丁やはさみにもいえることですが、刃物は安すぎるものはいけません。
私は以前アウトドア用に買ったのこぎりを使いました。これはアウトドアファンには定番の製品となっているものです。
③カッターナイフ
カッターナイフは文房具用の小さなものではなく、職人さんが使っているようなタイプのものがあると作業が捗ります。
ポケットコイル式のマットレスでは、生地だけでなく不織布も切りまくる必要があるので替刃を持っていると安心です。
④軍手
軍手は、木の棘が刺さるのを防いだり、針金の先が刺さるのを防いだりするため必須です。ベッドのフレームに使用されている木は棘だらけでした。針金も手袋を貫通してくるので、できる限り分厚いものをおすすめします。
安全+第一
⑤安全ゴーグル
安全ゴーグルは100円ショップで売っているもので十分です。セリアやダイソーに取扱いがあります。
番線を切断したときに破片や鉄粉が飛んでくる可能性があります。また、木を踏みつけたときに木片が飛んでくるのを防ぎます。
⑥丈夫な靴
今回、ある意味これが一番活躍しました。木枠はタッカーで留められていたのですが、手や工具で外そうとするより、靴で踏みつけるのがもっとも早くて安全でした。
室内でも靴を履いていれば、ステープラー、番線、木片などを踏んだときのケガを最小限に抑えることができます。
⑦ガラ袋
ガラ袋は用意しておいて本当に良かったです。
スプリングコイル、番線、木片などは新聞紙に包んでビニール袋に入れてもそのままではすぐに破けてしまいます。さらにガラ袋に入れておくと破けにくくなります。
ガラ袋はホームセンターで10枚200円~300円程度で販売されています。
脚付きマットレスベッドの解体作業の流れ
ベッドをひっくり返します。スプリングコイルを取り外すには、木製のフレームを先に外さないといけません。
工具やゴミを置く場所があると作業が捗ります。
最初にボルトクリッパーの使い方を確認しておきました。
2mm前後であれば余裕で切断できます。細い方は抵抗もほとんどなく簡単に切れました。
木製フレームをのこぎりで細かく切っていきます。
このベッドの場合は、木材はほぼすべてタッカーで留められていたようです。タッカーの針が木材の深いところまで入っていました。タッカーを外すのが意外と大変です。
横木を支えている木も同様に少しずつ切り離していきます。
スプリングコイルに近い部分は、のこぎりがスプリングコイル時々当たってしまうため作業しづらかったです。
小さく切って足で押さえながら木材を左右に揺らすと板が浮き上がってきました。
横木が多くて木の切断に時間がかかってしまいます。しかも、最初の方はのこぎりを入れるスペースが少なくて作業はなかなか進みませんでした。
フレームから外した木材はタッカーの針が飛び出ていてひじょうに危険です。木を取り外すごとに他の木を押し当てて針が刺さらないようにしました。
たとえ室内でも靴を履いて作業することが大事だと学びました。
こちらが片面の木材をすべて除去した状態です。木を切るだけでも体力が奪われてしまいます。
反対側には外した木材が山になっています。こちらも後から細かく切断しなければいけません。
ここからはスプリングコイルを連結している細いスプリングを切断していきます。
幸いなことにスプリングコイル自体は切断しなくても外すことができる構造になっていました。
ただ、スプリングコイルは上と下の両面で固定されています。両方外さないと取れません。
下側の細いスプリングは、大きなスプリングコイルを左右にずらしてから切断しなければならず、作業性がかなり悪かったです。
同じような作業を延々と繰り返すことで、ベッド半分の解体がようやく終わりました。ここまでの作業で相当な時間がかかっています。
ベッドの残り半分も同様に木材の土台を撤去しました。
工程は省きますが、最初と同様にスプリングコイルを連結している細いスプリングを切断して分解しました。
ここからは外枠と外周の番線の解体に取りかかります。外周部には最も太い番線が張り巡らされています。
これをボルトクリッパーで切断します。しかし、ボルトクリッパーを普通に使ってもなかなか切れません。
①番線を刃の奥の方まで入れる
②取っ手の片方を床につける
③刃を番線に対して垂直にする
④もう一方の取っ手を両手で押さえる
⑤上から体重をかけて押さえつける
手順どおりに進めるとバチンと音を立てて切断できます。
衝撃がかなり腰に来ますので腰痛持ちの方は要注意です。
外周の番線は木材に固定されているところがあり、外すのが大変でした。ペンチでは掴めなかったため、力業で無理矢理引き剥がしました。
番線が生地で巻かれているところもあります。
カッターナイフで切ろうにも金属に当たって思うように切り取れません。
裏側の一部はこういう中綿が使われていました。これはなんかゴミっぽくて汚い感じです。
側面の太い番線とスプリングコイルを取り外しました。
外枠は角の部分が特に頑丈に作られていて強敵でした。
木をのこぎりで切ろうとすると金属にあたり、番線を先に切ろうとすると木が邪魔になるという感じです。
大体の部分を解体して後はパーツを細分化してまとめていきます。
細いスプリングの山。大量にあります。
スプリングコイルの袋詰め。これが数袋分でました。スプリングコイルは袋に無理矢理詰め込んでしまうと重すぎるので少しずつ分散したほうが無難です。
ゴミを新聞紙やビニール袋に詰めた上でガラ袋にまとめていきます。ガラ袋はかなり重宝しました。針金や木片が明らかに飛び出にくいです。
ベッド解体作業のまとめ
今回はベッドを運び出すことが難しかったため自分で解体しました。費用や時間については以下のとおりです。
【費用】
費用はボルトクリッパー、ガラ袋、安全ゴーグルを購入して2,500円程度です。他は元から持っていたものを使用しました。
【時間】
ここまでの作業時間はゴミの処理を除いて軽く十時間以上かかっています。1日目は午後から深夜まで作業を行い、2日目も午後から夜まで作業を行っていました。朝から取りかかって休まずに作業をしても晩までかかります。
【労力】
ここで紹介しているタイプのベッドは解体に手間がかかります。体力に自信のある方は問題なく作業を進められると思いますが、そうでない場合はやめておいたほうが賢明です。屈んで作業をする時間が多いため、足や腰が猛烈に痛くなります。さらに、私は作業中に足、手の指、手首、手のひらなどがつりました……。
木製ベッドであればもっと簡単に解体することができます。実際に、この作業のしばらく後に木製ベッドを解体することになったのですが、それほど苦になりませんでした。レシプロソー(電気のこぎり)があると解体は木材を細かく切ったとしても2時間程度で終わります。
いずれにせよ安全用品だけは必ず着用して作業を行ってください。誰も怪我することなく安全にいきましょう。
以上、脚付きマットレスベッドの解体の記録でした。少しでも誰かの参考になれば幸いです。