洗濯機を置いていたスペースに設置するための棚を新たに製作しました。最初は市販品を探していましたが、ぴったりサイズの製品がなかったために、自分で製作することにしました。
棚の製作にあたって、どこのホームセンターでも手に入る材料の中でも安価なものを選んで作ってみました。棚の寸法さえ変えたら応用がきくと思います。材料費も参考程度に記載しました。
洗濯機置き場に設置する収納棚のDIY
材料の準備
収納棚の材料はすべてホームセンターで揃えました。柱と枠の部分には30mm×40mmの角材、棚板部分には1,820mm×910mmのラワンランバーコアを用意しました。
一番上の小さな棚は以前購入しておいた端材を活用しました。端材をいくつか用意しておくと色々なところで使えるので本当におすすめです。
この棚はもともと洗濯機置き場だった場所に設置するということもあって、棚板の材料にはこだわりませんでした。しかし、お部屋に置く場合はパイン集成材、アカシア集成材、杉無垢ボードなどを選ぶと見栄えがかなり良くなります。
棚板のラワンランバーコア材は、1,820mm×910mmサイズで販売されており、そのままでは車に乗せることが難しかったため、ホームセンターで短辺を半分(910mmから約450mm×2枚)にカットしてもらいました。板の厚みは21mmです。
棚板の細かい加工は丸ノコを使って自宅で行いました。丸ノコがあると自宅で気軽に木材カットができるのでとても便利です。
骨組みには30mm × 40mmの角材を使用することにしました。柱は2×4材と迷ったのですが、棚に重量のあるものを載せる予定がなかったため、柱もスリムな角材を使うことにしました。角材は9本用意しました。
この角材はインニイッサンあるいはイーニッサンやインニッサンというように尺貫法に基づいた呼ばれ方をすることもあるようです。 「1(寸)2(分と1寸)3(分)」ということでしょうか。今では30mm × 40mmの角材も、昔はどうやら1寸2分(36ミリ)×1寸3分(39ミリ)サイズだったようです。
こちらの角材は棚を載せる枠を作るために適切なサイズにカットしました。柱となる4本はカットせずに1,820mmのまま使用しました。
材料の加工
棚板は柱と干渉する部分(30mm × 40mm)をケガキします。
棚板の縁を木枠の上に載せて支えるかたちになります。
棚板の角をのこぎりでカットします。カット後はサンドペーパーでバリを軽くとっておきました。
棚の支えとなる角材も丸ノコで細かくカットしました。
棚の組み立て
材のカットを終えて寸法を確認したら、今度は枠の組み立てを行います。最初に「口」型の枠を製作して、後から間に木を挟んで「目」型の枠にしました。同じものを2枚製作して角材で連結します。
棚の組み立てにはドリルドライバーやインパクトドライバーなどの電動ドライバーがあると作業がとても捗ります。マキタがおすすめです。
コーススレッドを打つ前に皿取錐で下穴を開けると同時に皿取りも行いました。ビスの頭は木ダボを埋設して隠します。こうすることで見栄えが良くなります。
皿取錐は本当に使えるアイテムですので、お持ちでない方は一度使ってみてください。木ダボもあわせて使用すると、仕上がりが劇的に変わります。
ビスが打ち込めない部分はL字金具と小さなビスを使って角材を固定しました。
棚板の側面の手が触れる部分はすべてカンナで面取りを行いました。化粧板が捲れることもありませんでした。
角の面を取っておくと手があたっても痛くありません。
棚の枠が完成しました。床についているほうが棚の背面になり、また左側が棚の下部になります。
今回、枠組みはあえて簡素な作りにしています。だから、棚の前面には角材を1本しか通していません。一番下の棚とその上の棚は、ものを入れるときに上部を3cmだけ有効に活用できます。
塗装前の準備
ケガキ線を消しゴムで消して、木ダボの凹凸とノコ痕の部分をやすり掛けします。
やすり掛けを全体的に行う場合は電動サンダーがあると楽に作業を行えます。コード式の製品はそれほど高くありません。
やすり掛けを丁寧に行うことで見た目も手触りも格段に良くなります。しかし今回は気になるところだけ軽くやすり掛けして製作時間を短縮しました。
柿渋による塗装
おしゃれなブログやYouTubeでは、塗装の工程で間違いなく「ブライワックス」や「ワトコオイル」が登場します。しかし、油性の塗料は臭いもキツくて室内での塗装に向いていないため、個人的にあまり好みではありません。また、実用家具に使用すると塗料が他のものに色移りする可能性があります。
実用家具には「水性ウレタンニス」がもっとも適しています。色移りせず保護効果も高いので、実用家具の塗装で迷ったら水性ウレタンニスを選択しておけば間違いないと思います。ただし、ニス類は表面がコーティングされるためにテカテカした仕上がりになりがちで、木の感触が減じられるといったデメリットがあることも事実です。
そこで今回は日本で昔から親しまれている「柿渋」を使用してみることにしました。柿渋は独特の強烈な臭いが敬遠される理由になっていましたが、近年では臭いのしない「無臭柿渋」が浸透しつつあります。無臭柿渋は水で薄めて塗装することもでき、油性の塗料と違って臭いも気にならないことから、気軽に使用することができます。それでいて柿渋は100%天然素材から作られているため安全性が高いという特徴があります。
無臭柿渋と水を1:1で混ぜ合わせて、約2倍希釈したものを棚と枠に塗布していきました。なお、塗装は室内で行いました。
上の端材は未塗装のもので、下の合板は柿渋を1回塗って完全に乾かしたものです。塗装したほうが赤みが強くなっています。実際に見ると鮮やかな発色でとても美しいと思います。柿渋は重ね塗りを行うことで色味を濃くすることができます。
塗装後の手触りは塗装前とほとんど変りません。木のサラサラとした感触が伝わってきます。とはいえ、表面の保護を優先するなら水性ウレタンニスの使用が最適だと思います。
蜜蝋による棚板の保護
棚の表面は水をこぼしても染みないように「蜜蝋」を塗布しておきました。蜜蝋が固まっているのは仕様です。スプーンや箸でかきだしてウエスに適量とって塗っていきます。
ここでは楽器に持っていたものを使用しましたが、DIY向けの製品もたくさん販売されています。どれを使っても良いと思います。
蜜蝋をウエスでまんべんなく塗り広げていきます。棚板の表面にわずかに光沢が出ています。
蜜蝋を塗り込んでおくことで水滴が飛んでもすぐに拭き取れば染みることはほぼなくなります。
棚の完成
一般的な収納棚とは棚板の間隔を変えています。真ん中の棚には洗濯カゴを置くことを想定しています。
また、一番下は棚板がない仕様にしています。これは重いものを滑らせながら収納できるようにするためです。それによって荷物を持ち上げなくても済みます。
ペットボトルが段ボール箱に入った状態でも容易に出し入れできるような高さにしています。
柱と棚板は隙間なくぴったりと組み合わさっています。
1箇所だけ寸法をミスして棚板が数ミリ短くなってしまったところがあります_(:3 」∠)_
棚板はビスで固定していません。棚板を取り外すことで大きな荷物を収納することができるようになります。また、移動時は枠と棚を別々にして運べます。
棚の設置
棚はもともと洗濯機を置いていたところに設置しました。洗濯機は元から別の場所に置いてあります。
ここは洗濯機置き場だったということもあって水道の蛇口があります。棚板の間隔が均一でない理由は、蛇口とコンセントを避けるためでもあります。
棚の幅はスペースにぴったりはまるように設計しています。棚を自分で作る前に市販の棚を検討しましたが、既製では適切なサイズの棚が一つもありませんでした。
棚を設置するときに洗濯機用の防水パンを撤去したため、床には排水用の穴が空いたままになっています。この穴はいずれふさぐ予定です。
棚板を設置してみました。固定していないため移動と組み立てが簡単です。棚には軽いものしか載せないため強度的にもまったく問題ありません。
天井のライトが電球色であるため、棚の赤みがより強調されています。
真ん中の棚にはハンガーや洗濯カゴなどの洗濯用品を置いて毎日のように利用しています。だから、棚の高さを屈まなくても作業できるような高さにしています。
下の棚は洗剤のストック等をカゴに入れて収納しています。一番下には新聞ストッカーや防災用のお水などの重いものを置いています。
棚製作のまとめ
材料費について
角材は1本250円(税込み)×9本で2,250円(税込み)でした。ラワンランバーコア材が3,058円(税込み)で、1カットの木材カット料金が33円(税込み)でした。一番上の棚板用の端材は1枚110円(税込み)×2本で220円でした。したがって、合計は5,561円となります。なお、材料には少し余りがでました。それはまた別の機会に使用する予定です。
塗料の「無臭柿渋」は1,320円(購入時の税込み価格)でした。塗料代を含めると合計6,881円となりますが、塗料はほとんど残っている状態です。実際のところ100円分くらいしか使っていません。
それと、ビス(木割れ防止ビス・スリムビス)、L字金具、木ダボ、ハケ、蜜蝋の代金は含まれていません。ビスは箱買いしたものを使用しているので100円未満です。L字金具は数十円の安いものを数個使用、木ダボもまとめて買ったものを数本だけ使用しました。ハケは以前50円程度で購入したものを使い、蜜蝋も楽器用に所持していたものを少量のみ使いました。
全部あわせて約6,000円といったところでしょうか。大きな棚を製作するとなると材料費がそこそこ掛ります。それでも、市販の同サイズのものと比べると安いと思います。
見た目はあまりスタイリッシュではないかもしれませんが、実用性はとても高くなっています。総合的にみてすごく使いやすい収納棚が完成したと思います。
今回製作した棚と同じような製品を市販のもので探すと、イケアの「ヘイネ(HEJNE)」というオープンラックが近そうです。これは価格も他の製品と違って安いと思います。サイズは幅780mm × 奥行き500mm × 高さ1710mmで、価格が5,900円(税込み)となっています。1×4材を使って同じようなものを作ってみるというの面白いかもしれませんね。