ゼンマイ式の換気扇タイマースイッチが長いあいだ故障したままになっていました。このスイッチはお風呂場等でよく使われているタイプのものです。同じ製品は疾うの昔に廃番となっています。
そこで、換気扇タイマースイッチを照明スイッチごと現行の相当品と交換することにしました。
ここでは、免状を取得したばかりの方や作業から遠ざかっている方がスイッチを円滑に交換できるように作業の手順と配線図を紹介しています。資格を持っているという前提でまとめています。
トイレの換気扇スイッチは以下のページをご覧ください。
お部屋の照明器具の交換は以下のページをご覧ください。
浴室換気タイマーの適合品とその仕様について
WT2052&WN5291Kの後継品または相当品
ゼンマイ式のスイッチがまったく機能せず、連続運転しかできない状態になっていました。換気扇はこの状態でも使用可能ですが、換気扇を30分だけ回したいというときにとても不自由していました。また、照明スイッチの緑色LEDもほとんど光りません。
既設のスイッチとまったく同じスイッチの施工例が見当たらなかったので、このページにまとめて掲載しておきます。
このスイッチは松下電工(現パナソニック)のニューコスモシリーズ(旧コスモシリーズ)の製品です。このスイッチはお風呂場(洗面所・脱衣所)などでよく使われていた製品です。今では同じものが手に入りませんが、各部品の後継品または相当品を以下にそれぞれ記載しておきます。
上の照明スイッチ「WT2052」が故障している場合は、「コスモシリ-ズ埋込ホタルスイッチC(3路)(WT50529)」または「コスモシリ-ズ埋込ホタルスイッチB(片切)(WT50519)」と交換することができるようです。既設の「WT2052」は3路スイッチですが、照明スイッチがここ1箇所だけであれば普通の片切スイッチに替えても差し支えありません。
どちらに交換するにしても、スイッチのハンドル(=指で押す部分)も一緒に取替える必要があります。古いハンドルは互換性がないため新しいスイッチに取り付けられません。取付枠とプレートは古いものをそのまま使用できるようです。なお、3路スイッチは単品販売とハンドルセット(上記の型番リンク)の両方がありますが、片切スイッチはハンドルセットが見当たらないので別に「コスモシリーズ埋込ダブルスイッチハンドル(WT3032W)」が要ります。
下のゼンマイ式タイマースイッチ「WN5291K」は後継品がないようですが、「埋込電子浴室換気スイッチ 2線式配線(WN5294K)」または「埋込電子浴室換気スイッチ 2線式配線(WN5293K)」が相当品となっているようです。前者は「2時間・4時間・連続」が切替え可能で、後者は「15分・30分・90分」が切替え可能です。
しかし、一部だけを取替えると古い部分の黄ばみや汚れが目立ち、全体的な見栄えも悪くなってしまうことから、全部まとめて交換することを推奨いたします。
特にタイマースイッチ部を交換するのであれば、全部まとめて交換しても価格差は小さいといえます。そちらが断然おすすめです。同等品はパナソニックのコスモシリーズワイド21から発売されています。パナソニックのフルカラーシリーズからの交換も可能です。
製品の対応の有無はパナソニックのウェブサイトでご確認ください。
(参考)
【スイッチ】WT2052、又は、WTS2052の代替品は、ありますか。(パナソニック公式サイト)
【換気扇スイッチ】フルカラーのツマミ式タイマースイッチ WN5291、WN5291K、WN5292、WN5292K の後継品は。(パナソニック公式サイト)
こちらのコスモシリーズワイド21「埋込電子浴室換気スイッチセット(WTP53916WP)」が古い照明スイッチ&タイマースイッチの相当品となります。製品は日本製です。
「WTP53916WP」は照明用の片切スイッチ「WT50519」と浴室換気スイッチ「WTC53916」(あるいは「WTC53916W」)、それから連用取付枠と化粧プレートがすべてセットになった商品です。このセットを買って総取っ替えします。
スイッチ類は内容が複雑なものになると価格が高くなります。購入時の価格は3,482円(税込み)でした。価格は日々変動しますが、参考として今では4,000円(税込み)を超えています。ちなみに、近所のホームセンターでは6,578円(税込み)でした(2022年12月時点)。
電材は昨今の相次ぐ物価高と不安定な物流の中で、価格改定が2022年10月頃にも行われました。こちらは必要分を値上げ前に確保していたものになります。なお、日経新聞によるとパナソニックは2023年4月から照明や換気扇等4万点弱の出荷価格を上げるとのことです。
製品の概要と取付方法
浴室換気スイッチは約10秒から12時間可変形のタイマーを搭載しています。もちろん、連続運転も可能です。
既設スイッチが同等品であれば、そのままの配線で取替えることが可能です。
配線図はパッケージに記載されたとおりです。ただし、リード線(わたり線)を使用しない配線パターンもあります(後述)。
配線はVVFケーブル1.6mmを使用します。芯線被覆は12mm(+2mmから-3mm)ほど剥いて器具へ挿し込みます。壁の中のケーブルはおそらくVVFケーブル1.6mmですから問題はないと思われます。
わたり線は当然にVVFケーブル1.6mmのケーブル外装を剥いて取り出した電線(黒)を使用します。ネットを見ていると絶対に使ってはいけない電線(より線とか細い線とか)を使用して施工している例があります。大変危険です! わたり線が手元にない場合は、エルパの「VAコード 600V/18A 1.6mm×2心 1m」あたりを手に入れてください。
既設の器具に付いているわたり線を再利用するのもありですが、数十年以上経過しているものは新品に取替えるほうが安全です。
各部の名称とはたらきは取扱説明書に丁寧な記載があります。説明書や仕様書はウェブサイトにも公開されています。
(参考)
WTP53916WP(パナソニック公式サイトの製品ページ)
器具の取付方法とハンドルの外し方はパッケージにも簡単に記載されています。
WTP53916WPのデザイン
新しいものは照明スイッチ、タイマーのダイヤル、換気扇用スイッチの3段になっています。必要なものはわたり線以外すべて揃っています。
換気扇のスイッチは照明スイッチのように「カチッ」と押し下げられず、「カコッ」と音を立ててわずかに凹むような感触です。慣れるまで数日間は使いにくいです。一方、タイマーのダイヤルは「カタッ」と小さな音が鳴って軽快に回転します。擬音で説明するのは難しいですね。
片切スイッチと浴室換気スイッチがセットされています。
反対側(左が上側)。「WTC53916」はタイマースイッチの型番です。プレートなしのものが売っていますが、特段の理由がない限りセットをおすすめします。
ハンドルと化粧プレートは簡単に取り外せます。プレートは下側にマイナスドライバーを挿し込んで外します。ハンドルは右側から手前にそっと引き起こすと外れます。
ハンドルと化粧プレートを取り外した状態です。
取付枠前のプレートも取り外せます。
取り付け前の準備
必要な工具
工具は、プラスドライバー(2番)、マイナスドライバー(刃先5.5mm)、VVFストリッパー、検電器(またはテスター)が必要です。
プラスドライバーはプレートと取付枠の着脱に使用します。マイナスドライバーは芯線(銅線)を埋込器具から取り外す作業に使用します。
VVFストリッパーは古い芯線を切断して、新たに芯線被覆を剥くために使用します。線だけ差し替えている例も多いようですが、古い線はできることならカットして新たに剥き直したほうがよいと思います。ただし、ケーブルに余裕がない場合はそのままの挿し替えもやむを得ません。
確認と安全のために、検電器やテスターを用意します。他に、手袋もあると助かります。
配線図
配線はいくつかのパターンが考えられます。パッケージにもあるように、配線は基本的に既設のものと同様に入れ替えることになります。
配線図1は、照明と換気扇の線がそれぞれ別のケーブルからきている場合になります。照明と換気扇の電線を間違えずに差し替えます。「●イ」や「●ホ」のような印がケーブル外装に付いていることもあります。
配線図2は、1本のケーブルから黒白赤の3本の電線が出ている場合です。このケースでは、上下の穴にわたり線を挿し込んで繋ぎます。
さらに、3路スイッチに3本の電線が挿さっているケースがあるかもしれません。たとえば、照明のスイッチが部屋の入り口側と奥側の2箇所から操作できるというような場合は3路スイッチです。この他、4路スイッチの場合もごく稀にあるかもしれません。しかし、浴室換気扇用の照明スイッチは通常1箇所からの操作になると思いますので上記のようなレアケースの説明は省きます。
わたり線を使用する場合(参考)
わたり線は1.6mmの電線(黒)を使用します(写真上)。電線の長さは8cm~10cm程度必要です。長さが短いと線を渡せません。
VVFケーブル1.6mm(写真下)のケーブル外装をVVFストリッパーで剥いて中の電線(黒)を取り出します。電線(白)は使いません。
今回のスイッチ交換ではわたり線を使用しませんが、わたり線の加工と取付を参考までにやっておきます。
電線両端の芯線被覆を12mm丁度に剥きます。
芯線(銅線)の長さを器具の裏にあるストリップゲージで12mmであるかどうかを測定します。写真中央の窪みにあてがってやると長さが分かります。
わたり線をコの字に曲げて器具の奥までしっかり挿し込みます。その後、電線を手前に引っ張って外れないか確認します。
わたり線は長すぎると壁の奥にあたってしまうので、やや長い場合は横に倒し気味にしておきます。
スイッチの交換作業
既設スイッチの取り外し
化粧プレートの下側の窪みにマイナスドライバーを挿し込んで左右どちらかにひねると隙間が空いて取り外せます。爪で引っ掛けても外せます。
ここでは取付枠手前のプレートも外しています。プレートは上下のネジを外すと取れます。
ハンドルとタイマースイッチのカバーを取り外します。右側にドライバーを挿し込んで手前にそっと引き起こすと外すことができます。
取付枠を外す前に、取付枠の固定方法を確認します。横または上下に「はさみ金具」が付いている場合は、ネジを全部外してしまうと金具が壁の裏に落ちてしまうことがあります。
上の場合は埋め込みスイッチボックスであることが確認できたので、上下のネジを外してから取付枠を外します。
壁内の配線の確認
ブレーカーを落とす前に配線を確認しました。配線がどうなっているかは一度開けてみないと分かりません。誰かがDIYしたところだと配線がめちゃくちゃになっている可能性もあります。
ここは製品パッケージの配線図の例とは違って、VVFケーブル1.6mm2芯が2本きています。
青い外装のケーブルが使われていたので電工試験を思い出しましたw
ブレーカーを落としました。交換作業に取り掛かる前に、電線1本1本をもう一度検電器で確認していきます。電気はきていません。安全第一! ヨシ!
この後、マイナスドライバー(刃幅5.5mm)を電線外し穴に挿し込んで電線を1本ずつ引っこ抜いていきます。電気がきていなくても芯線(銅線)には素手で触れないように注意してください。
電線を外す作業は合格マルチツールを使うほうがやりやすいです。
新しいスイッチの取り付け
古い銅線をカットした後に芯線被覆を剥き直して、芯線を器具に挿し込んでいきます。芯線が器具の奥までしっかり挿し込まれていることを確認します。
ケーブルを壁の中に戻しながら、器具を壁に収めていきます。
取付枠を仮固定してからブレーカーを上げます。
器具の動作を確認します。まず、照明のスイッチをオン/オフして照明が点灯/消灯するか確認します。
次に、タイマーを約10秒の位置に合わせて、換気扇のスイッチを押して、換気扇が稼動して10秒後に切れるかどうか確認します。その後、タイマーのダイヤルを色々な位置にセットして換気扇が正常に動作していることを確認します。
照明と換気扇が問題なく動作していればプレートとハンドルを取り付けていきます。
プレートは「↑UP」「↑上」とあるほうが上側です。取り付ける方向を確認して、水平を確認しながら固定します。歪んでいるようであれば、取付枠の固定をやり直します。
照明スイッチとタイマースイッチのハンドルを取り付けます。これは化粧プレートを取り付けてからでも構いません。
化粧プレートを取り付けると作業は完了です。プレートが汚れていればウエス等で拭き取ります。
施工完了
ハンドルを付けた状態で再び動作確認します。
照明スイッチのホタルが緑色に点灯しています。スイッチを押して照明が付くと緑色のLEDが消えます。
換気扇のスイッチは、稼働時にホタルが赤く点灯します。換気扇が切れると同時に赤いLEDも消灯します。赤色LEDは換気扇の稼動時しか点灯しません。
今回のDIYでは、既設のスイッチを新しいスイッチに取替えてみました。新しいものに替えるだけで見違えるようになります。
ホタルは明るいところでも視認性が高いです。操作性も向上して意味もなくハンドルを押してしまいます。新しいスイッチに取替えて本当に良かったです。