防犯カメラをDIYで取り付ける場合には、取り付け箇所に適したパーツを用意する必要があります。防犯カメラを壁に直付けするのか、雨樋や支柱に取り付けるのか等によって必要な部材は異なります。さらに、家屋にドリルで穴を開けることが難しいということもあるはずです。
ここでは、防犯カメラと配線を収めたボックスを支柱や雨樋に取り付ける際に必要と思われる部材を紹介しています。取り付けの一例としてご覧ください。実際には、カメラのサイズや取り付け箇所によって、適合する部材の型番や品番等が異なります。
なお、各種材料はプロショップの併設された大型ホームセンターで揃えることが可能ですが、最寄りに中小規模の店舗しかないのであれば、ネット通販で揃えるほうが無駄足を踏まずに済みます。
防犯カメラの取付けに必要な部材
防犯カメラをどこに付けるか
防犯カメラを購入する前に取り付け場所についても考えておく必要があります。多くの場合に次のような場所が防犯カメラの設置場所になります。
・家屋の壁面
・家屋の軒下
・柱や雨樋
・ベランダの柵や手すり
・カーポートの支柱
防犯カメラの設置に適した場所は住居によってまちまちです。しかし、共通の要件として、「見たい範囲がしっかり写る場所であること」「電源とWi-Fiが届く場所であること」「カメラが壊されない場所であること」は必須といえるでしょう。
そのあたりを踏まえた上で防犯カメラの設置場所を選ぶことが不可欠です。
カメラの設置方法は下記をご覧下さい。
配線を収容するためのボックス
屋内用のアダプターを雨風から守る
防犯カメラの配線を収めるためにケースが必要となります。ケースは「ウオルボックス」や「PVKボックス」といった名称で販売されています。その中に電源アダプターや配線を入れます。
ケースは大小様々なラインナップがあり、防雨型の製品も販売されています。それらの製品は、インターネット通販もしくはプロショップの併設された大型ホームセンター等で取扱いがあります。
今回は未来工業の「PVKボックス 中形四角浅型・ノック付 ミルキーホワイト(PVK-ANM)」を選択しました。このボックスには、TP-Link社の防犯カメラ「Tapo C310」「Tapo C310/A」の電源アダプターを収めることが可能です。
ボックス類は、似たような製品ばかりなので型番とサイズを何度も確認しなければいけません。ショッピングサイトの画像だけでは内容が判別できません。
(2022年8月更新)PVKボックスの詳細は「電設資材総合カタログ 2022-2023(未来工業公式サイト)」の1,016ページから1,026ページにわたって掲載されています。お手持ちの電源アダプターが余裕をもって収納できるかどうかをご確認ください。
ボックス側面には電線管接続用の打ち抜き孔が付いています。型番に「ノック付(またはノックアウト)」とある場合は、このような打ち抜き孔が付いています。このノック部分がネジ式になっている製品もいくつかあるようです。
ノックの穴を開ける場合はマイナスドライバーとハンマーが必要です。マイナスドライバーの先端をノックの上下左右にある突起(=ノックアウトリブ)のいずれかに当てて、ハンマーで叩くと打ち抜くことができます。穴が空いた後はバリを取る作業が必要になることもあります。
ノックが二つの面と一つの面がそれぞれ二箇所あります。ノックはボックスの左右に一つずつ、上下に二つずつ配置されています。
PVKボックスの裏面です。二つの穴はフタを取り付けるためのネジの支柱です。
結束バンド用の穴が予め開けられている製品もあるようです。
フタの裏側です。フタは2本のネジで固定されています。
この製品は防水タイプではないためゴムパッキン等はありません。同様の製品で防水タイプも販売されています。
こちらがボックスの内部です。ボックスはしっかりとした厚みで十分な強度がありそうです。100円ショップのプラボックスでは代用できません。それくらい頑丈な作りです。
底面のノックは大が三つ、小が二つあります。大きいほうが約27mm、小さいほうが約21mmです。測定はボックスの裏面から行っているため多少の誤差があります。
穴を開ける場合はノックアウトリブにマイナスドライバーの先端を当ててハンマーで叩きます。
PVKボックスのサイズ
ボックスの内径は約100mmです。フタを固定するネジ穴の付いた支柱が2本あることを考慮して配線しなければいけません。
内径を対角線上に測ると約140mmあります。支柱は配線時にどうしても邪魔になります。
支柱の直径は約12mmです。
このボックス(浅型)の深さは約45mmです。ボックスには浅型や深型があるので選ぶときに注意してください。
ボックス側面のノックはすべて約27mmです。底面のノックは約27mmと約21mmが混在しています。
ゴムブッシングは樹脂製ボックスには不要ですが、適合サイズを知りたい場合はゴムブッシングの項目をご覧ください。
屋外でも使える電源コード
防雨型延長コード
防犯カメラに付属しているアダプターは屋内用であることがほとんどです。屋内用の電源コードは細くて脆弱であるため、風雨にさらすことはできませんし、直射日光によってコードの被覆が早い段階で劣化するという懸念があります。
それを防ぐためにPF管やドレンホースなどを利用して電源コードを守るという方法もあります。しかし今回は屋外用の防雨型延長コードに接続して、電源コードを延長する方法を採用しました。
防雨タイプの電源延長コードは各社から複数の製品が販売されています。長さも3mや5mなどと様々です。
今回はELPA(朝日電器)の「3m2芯タイプ防雨型延長コード(CP-BE03)」を選びました。この延長コードは二重構造の被覆が採用されていることに加えて、柔らかく取り回しの良さもある製品となっています。日本製です。
延長コードの柔らかさは配線の取り回しを左右します。
このコードの直径は約10mmもあります。これはデスクトップパソコンの電源コードよりも明らかに太いものになります。
しかし、極太のコードにもかかわらず、かなり柔らかくて自由度が高いです。魚肉ソーセージみたい。
防雨型はプラグとコンセントが円形で、両方がぴったりとはまることで水滴が侵入しにくい構造になっています。
今回はこの部分を加工して電源アダプターを取り付けるため、接続部の防雨性はまったくありません。
今回の場合はコンセント側に防犯カメラのアダプターを接続することから、どうしても隙間が生じてしまいます。
そのため、水滴の侵入を防ぐという意味で、先に紹介したPVKボックスの中に配線を収納することが必須となります。
電源コードのサイズ
コンセントカバーの直径(外径)は約45mmもあります。カバー部分は多少の弾力があります。
コンセントカバーの内径は約38mmです。用意したボックスに干渉する場合は、一部を削ることも考えなければいけません。
コンセントの長さは先端から根元まで約70mmです。プラグ側の長さは約72mmです。
用意したPVKボックスにコンセントを配置してみるとギリギリのサイズということが分かります。
防犯カメラの電源アダプターが大きい場合は、もう少し余裕のあるケースを選んでください。
「Tapo C310」の電源アダプターと延長コードのコンセントを比べると、コンセント側の大きさがお分かりいただけると思います。
電源アダプターをコンセントに差し込んでも、コンセントカバーの一部が干渉してプラグが奥まで挿し込まれません。したがって、安全に使用するためにはコンセントカバーの一部を削る必要があります。
ボックス内の配線イメージ
PVKボックスに配線を詰め込むと上の写真のようになります。延長コードの根元はノック穴から外に出ます。
すべてを収めたい場合はもっと大きなケースを用意しなければいけませんが、そうするとケースを設置したときに目立ってしまいます。
電源アダプターの配置を変えてみました。こちらの方がすっきりしていますね。
なお、配線時にはノックを開けるだけでなく、ボックスの一部を切断してから防雨延長コードを通すことになります。少なくともコードの直径1cm分はカットしなければなりません。
延長コードのカバーの加工
電源アダプターと干渉する部分を削ります。コンセントのカバーは柔らかいのでカッターナイフで簡単に削り取ることができます。消しゴムのようにサクッと削れます。
数ミリ削ることで電源アダプターのプラグを奥まで挿し込めるようになります。
本来、コネクタに適合したプラグを接続するところに、電源アダプターを無理矢理に接続している状態です。したがって、この部分は防雨性・防滴性・防水性は皆無です。ここは絶対に水に濡れないようにしなければいけません。
配線用の穴を塞ぐ
ゴムブッシングで塞ぐ
ゴムブッシングは樹脂製ボックスには不要ですが、穴を(隙間だらけではあるが)簡単に塞ぐという目的で利用することはできます。電源コードを通すために側面をカットする必要があります。また、切り込みを放射状に入れる必要があります。しかし、隙間は(塞ぎたいのであれば)エアコンパテで塞ぐのが順当だと思います。
こちらのゴムブッシング(ゴムブッシュ)は、ノックに各種コードを通した後に隙間を塞ぐためのものです。適合サイズが分からず、目測で適当なサイズを購入しました。ゴムブッシングは用意したケースに合うものを選んでください。
参考までにKYOWA製の「ゴムブッシング(GB-28)」の直径は約33mmです。型番の数値は、溝の入っている外周部分(=ケースの縁にはまる部分)の直径が28mmということを示しているものと思われます。27mmのノックにギリギリ入るかどうかというところでしょうか。
もしかすると、一回り小さい「ゴムブッシング(GB-25H)」のほうが適していたかもしれません。
(2022年8月28日追記)このページで取り上げているPVKボックスのノック穴のサイズは、未来工業のカタログによると「16(19)」と「22(25)」となっています。したがって、小さいノックには19mmのゴムブッシング、大きい穴には25mmのゴムブッシングが対応しています。しかし、ゴムブッシングは主として金属製ボックスにケーブルを通すときにケーブル外装を保護するため、また絶縁のために使用されるようです。そのため、樹脂製ボックスを用いる場合は、次の項目で示すエアコンパテなどで塞ぐだけで十分と思われます。ゴムブッシングを応用する場合は、ケーブルを通すために切り込みをたくさん入れる必要があります。
こちらがノック径約27mmとゴムブッシング(GB-28)との対比です。このゴムブッシングはこのボックスの適合サイズではないようです。詳細は販売サイトやメーカーカタログでご確認ください。
ゴムブッシングはプロショップの併設された大型ホームセンターであれば1個単位で販売されていることがあります。ネットでは複数個での販売が多いようです。
エアコン用パテで塞ぐ
配線用の穴や隙間はエアコン用のパテで塞ぐという手もあります。ホームセンターで一つ100円前後で手に入ります。パテは屋外用ならなんでも良いと思います。
今回の取り付け例では、延長コードのコンセント部分を通すために、PVKボックスに切り込みを入れるため、そこを後からパテ等で塞ぐ必要性がでてきます。
カメラと配線ボックスを取り付ける台座
取付自在板を利用する
防犯カメラを壁面に取り付ける場合は、PVKボックスと一緒に固定しても良さそうです。実際にフタの部分にカメラを取付けていらっしゃる方も多いようです。
けれども、防犯カメラを支柱や雨樋に取り付ける場合は、カメラをPVKボックスの前に付けてしまうと、カメラが前面に突出するかたちになってしまいます。その場合はカメラとPVKボックスをそれぞれ別に取り付けるという方法が好ましいといえます。
カメラとPVKボックスの固定には、未来工業の「取付自在板(BPF-1208J)」を用います。カメラとPVKボックスを別々に取付ける場合は取付自在板が2枚必要です。
取付自在板は木版と同じような感覚で様々な器具を固定することができる便利アイテムです。
こちらの製品には壁面に固定するためのビス4本が付属しています。ビス用の穴が四隅に開けられています。これらの穴は直径4mm程度のため、太くて長い結束バンドは通りません。
この板の上にはスイッチやプラボックスを取付けることができます。ただし、器具取付けネジはΦ3~Φ4.5のものを使用するとの注意書きがあります。
取付自在板はかなりしっかりした作りになっており、ビスが打ち込みやすいように穴が開けられています。
結束バンドやステンバンドを通せる約12mm幅の穴が短辺側に2箇所ずつ開けられています。そこに10mm幅の固定用バンドを通すことが可能です。
また、水抜き用の機構が短辺側に1箇所ずつ設けられており、水抜き穴を使用する際は縁をペンチで折り取るようになっています。
カラーは三色あるようです。こちらはベージュとライトブラウンです。壁や支柱にあった目立たない色がおすすめです。
お店に行ったときにライトブラウンとグレーしか在庫がなかったのでライトブラウンを購入したのですが、後日に入荷していたベージュも購入しました。取付自在板は小さなホームセンターでは手に入らないと思います。取り寄せはできるかもしれません。
サイズは長辺が約120mm、短辺が約80mm、厚みが15mmです。
取付自在板は色々なサイズと数種類のカラーがラインナップされています。防犯カメラや配線用のボックス、取付け場所に合うサイズを選んでください。
配線ボックスとの対比
取付自在板の長辺とPVKボックスを重ねてみるとサイズが合っています。
一方、取付自在板の短辺とPVKボックスを重ねると一部がはみ出ていますが、これは意図したものです。取り付け予定の雨樋のサイズに適合する製品を選んだ結果です。
配線ボックスの自在板への取り付け
ステンレス製ビス
PVKボックスを取付自在板に固定するためのビスは「ステンさらタッピング(3.5mm × 16mm)」を選びました。
ネジ類はホームセンターで販売されている小袋がお買い得で使いやすいです。ネットは割高です。
屋外対応の超強力両面テープ
両面テープも用意しました。ニトムズの「超強力両面シート多用途(100×100)」は屋外でも使用できます。
この両面テープは多少の荷重にも耐えられる設計になっています。サイズは縦100mm、横100mm、厚さ0.8mmです。2枚入りです。
金属、プラスチック、塩化ビニル、タイル、木材など色々な素材を接着することができます。
荷重の目安を見ると電源アダプターの入ったボックスを取付自在板に固定する分にはまったく問題なさそうです。
接着後の使用温度範囲も-20℃から180℃までとあります。一方で、凹凸面やザラザラ面には接着できないとあることから、PVKボックスを両面テープだけで壁面に固定することは避けたほうが賢明です。
カメラと配線ボックスを固定するバンド
取付自在板を雨樋に取付けるために長さ500mm、幅10mmのステンレスバンドを用意しました。この製品はラチェット方式でバンドを締め付けていくことが可能です。
支柱や雨樋に取付ける場合は、適応径範囲を良く確認した上で、支柱に余裕をもって巻き付けられるものを選択します。
このバンドはステンレス製で錆びにくい特徴があります。金属製バンドにはステンレス製以外のものも多く販売されていますが、雨の当たるところはステンレス製が最適です。
パッケージ裏面に取付け方法が写真入りで解説されていました。大型ホームセンターで購入しましたが、メーカー等は不明です。
ネット通販でも同様のものが色々と出ているようです。長い場合はペンチでカットできます。
一般的な雨樋であれば500mmサイズで余裕です。今回は四角い雨樋に取付けます。取付自在板を通す分の長さも考慮しておく必要があります。
バンドをある程度のところまで通したら、後はラチェット方式で締め付けていきます。ラチェットを締め付けすぎると元に戻すことはできません。バンドの内側に余裕がないとラチェットの金具を固定することができません。作業は慎重に行ってください。
取付自在板の裏表を見てみるとこのようになっています。10mm幅のバンドは先ほど紹介した取付自在板に適合しています。遊びがややあります。
必要部材を揃えておく!
防犯カメラ「Tapo C310」「Tapo C310/A」の台座は「取付自在板(BPF-1208J)」にぴったり収ります。
防犯カメラの取り付け方法はネット上でも色々と紹介されています。いくつもの取り付け例を見て、自宅で使えそうな部材を選んでいくと良いと思います。
必要な部材は防犯カメラを取り付ける前にすべて揃えておく必要があります。ネジや両面テープはどこのホームセンターでも手に入りますが、取付自在板やステンレスバンドなどは大型ホームセンターでも適合サイズが欠品になっていることがあります。すべての部材を集めたら、カメラを取り付ける前に最終確認を行ってください。
どうやって取り付けようか考えているときがDIYで一番楽しい時間かもしれませんね。お近くにプロショップのある大型ホームセンターがある場合は、実際に商品を見て回ることが何よりもおすすめです。