先日、キッチンの換気扇から「ゴーゴー」という唸るような異音がしたため、換気扇のメンテナンスを行いました。
いつもは不織布のフィルターの交換と内側の金属製フィルターの清掃のみで済ませており、内部の掃除は今まで一度もしたことがありませんでした。
今回は、換気扇の点検と修理のついでに、中のシロッコファンを取り外して洗浄してみました。
こちらのページには、ナショナル製の古い換気扇の取り外し方とその洗浄についてまとめています。
古い換気扇は油汚れがびっしりとこびり付いていてヤバい!
ナショナル製の古い換気扇について
このレンジフードは、旧松下電器産業(現パナソニック)のナショナルブランドの製品です。現在、各家庭で使われているナショナル製品は2008年以前の古い製品となります。
ナショナルのレンジフードに関する情報は、型番を手掛かりに調べるか、パナソニックの旧カタログの中から見つけ出すか、あるいは「ナショナル レンジフード」で画像検索するかして探し出します。
レンジフードの型番は前面カバーの内側にシールが貼り付けられていることが多いですが、古いものは型番が消えてしまっていることも少なくありません。
レンジフードだけでも相当数の製品が世に送り出されていることから、自宅と同じ製品の情報を見つけることは難しいかもしれません。しかし、換気扇の内部の取り外し方はどれもほとんど変わらないため、似たような製品の情報を参考にすることができます。
深型レンジフードは前面カバーを外すことができますが、その場合はネジ以外にもスイッチから続いている裏側の配線を外す必要があります。このレンジフードは、上の写真にあるカプラーとネジを取り外すことで前面カバーを取り外すことができます。
しかし、古い製品はカプラー部が劣化しているために、カプラー部を下手に触ると割れてしまう可能性があります。どうしても取り外したい場合は、ブレーカーを必ず落としてから作業してください。
多くのレンジフードは、前面カバーを外さなくても金属製フィルターとシロッコファンの取り外しが可能です。取り外し方は以下のとおりです。
作業に必要な道具
作業を始める前に必要な道具を用意します。お湯も出せるようにしておいてください。
ブレーカーを落としたりコンセントプラグを抜いたりして安全に作業を進めてください。
・ゴム手袋
・ブラシ(または不要な歯ブラシ)
・スポンジ(汚れが少ない場合)
・油汚れに効く泡洗剤
・ウエス等
・新聞紙等(乾燥させるところ)
・ドライバー(前面のカバーを外す場合)
・バケツ(シロッコファンが入るもの)
・油汚れに効く液体洗剤(バケツに半分程度投入)
・シリコンスプレー等(固着部に少量吹き付ける)
・玄翁(固着した軸を軽く叩く)
・ウォーターポンププライヤー(羽を掴んで軽く引っ張る)
レンジフードフィルターの取り外しと洗浄
まず、不織布のフィルターを外します。不織布のフィルターは定期的に取替えていますが、それでも薄茶色の油がべったりと付着しています。
このレンジフードは金属製フィルターが3枚の仕様です。
金属製フィルター下部のツマミを持ち上げて、手前に少しだけ引いてから下に引き下ろすと簡単に外すことができます。下部は溝にはまっているだけで、上部は挟み金具に挟まっています。いずれの製品も簡単に取り外せるようになっています。
銀色の金属製フィルターの手前に茶色い金具が見えているかと思います。それが金属フィルターを支える挟み金具です。
写真では挟み金具が金属製フィルターの前に見えていますが、本来はレンジフードの黒い部分と茶色い挟み金具との間に金属フィルターを挿し込んで固定するようになっています。
そのため、金属製フィルターの洗浄乾燥後は、手前の黒い枠(レンジフードの縁)と挟み金具(茶色い金具)の間に下から挿し込む形で取り付けてください。
泡の洗剤をまんべんなく吹き付けてしばらく放置した後、ブラシで擦りながらぬるま湯で流してやると汚れが綺麗に落ちます。
シンクを傷つけないために不要なタオル等を予め敷いておきます。また、シロッコファンの清掃もあわせて行う場合は、金属製フィルターを先に洗って乾かしておくと作業の邪魔になりません。
金属製フィルターのみの洗浄&清掃であれば作業はここまでです。内部のシロッコファンも同時に掃除する場合は以下の作業も必要です。
シロッコファンの取り外しと洗浄
金属製フィルターを取り外すと内部にシロッコファンが見えます。
まず、手前にある輪っか状の金属(オイルフィルター/オイルトレー)を取り外します。これは左右の蝶ネジ二つを取ることで取り外せます。最後の蝶ネジを外すときはオイルフィルターを手で押えて落下を防止してください。
蝶ネジの数は製品によって違います。
オイルフィルターは外側に露出している金属製フィルターよりも油がこびり付いていることが分かります。この部品を触るだけでギトギトした油が手に付着します。
次にシロッコファンを取り外します。中央に見える丸いネジは時計回りに回すことで外れます。
このあたりがワンタッチ(ワンプッシュ)で取り外せる製品もあります。
こちらが中央のネジを外した状態です。普通はネジを外すとシロッコファンが取り外せます。
シロッコファンがとんでもなく汚れていることが分かると思います。数十年の汚れがこびり付いています。シロッコファンを引っ張ってもびくともしません。
ここまで汚いとシロッコファンが軸に固着して外れないといったことが起こります。外周のフィンをウォーターポンププライヤーで掴んで手前に引っ張っても動きませんでした。フィンは無理に引っ張ると曲がったり折れたりするので、作業は慎重に進めます。
↑軸の部分が固着して動かない | ↑固着が解消された状態 |
玄翁(トンカチ)の先端にキッチンペーパーをクッション材としてガムテープで取り付けて、軸の外側をコンコンと軽く叩きます。そして、シリコンスプレーやクレ5-56等を軸の部分に微量吹き付けます。時間を少し空けて油が浸透してから、軸の部分を再び玄翁で軽く叩きます。そうすると軸が動くことがあります。
中心のネジが切られているところは絶対に叩かないでください。そこが折れると終わりです。本当にひどい場合は取り外せないことがあるかもしれません。無理をせずに諦めるか清掃業者に頼んでください。
軸の固着が解消されたら、あとはフィンをウォーターポンププライヤーで慎重に引っ張ってやることでシロッコファンを引き出すことができます。
新しい換気扇は難なく取り外せますが、掃除を数十年間怠っているものは覚悟が必要です。
頑固な油汚れがシロッコファン全体にびっしりとこびり付いています。シロッコファンの清掃に関する写真や動画を見ても、ここまでひどいものは中々見当たりません。
羽と羽の間にもどす黒い汚れがこびり付いています。こういう汚れの塊は割り箸で突いても取れません。
シロッコファンの裏側は本体と密着していることもあって、汚れはそこまで目立ちません。
ここからは油汚れを落としていきます。
汚れに効く強力な泡洗剤をシロッコファン全体に吹き付けていきます。写真のように汚れがひどい場合は洗剤を惜しまずに全部使うくらいの勢いで吹き付けてください。
洗剤は絶対に泡タイプのものを選んでください。液体のものはあっというまに流れ落ちてしまいます。
汚れを綺麗に落としたい場合は、シロッコファンをお湯と大量の液体洗剤を入れたバケツに長時間浸け置きしてください。その後で、ブラシで擦ってもう一度浸け置きします。
今回は時間の都合上、浸け置きの過程を省略しています。
裏も表も泡で覆っていきます。
しばらく放置していると、軽い汚れがやや浮いてきます。しかし、頑固な汚れは泡洗剤をつけただけでは落ちません。
シロッコファンの羽の部分をブラシで地道に擦っていきます。汚れがかなりはねるので、汚れてもよい服装で掃除をしてください。また、食器や食べ物などは遠ざけておいてください。
汚れた部分を歯ブラシで擦っていくと銀色の金属部分が少しずつ見えてきます。
端や奥まった部分はブラシが上手く入らずに汚れが残ってしまいますが、ブラシで擦った部分の汚れはそれなりに落ちています。
上部が歯ブラシで擦って汚れを落とした部分で、下部が汚れを落とす前の部分です。上部はこびり付いていた汚れが大方落ちています。
このような形でフィンを一枚一枚掃除していきます。それが終わったら今度は内部を掃除します。
シロッコファンの内部は歯ブラシが入りにくく、また油汚れが固着しており中々綺麗になりませんでした。触るとギトギトの油が手について中々取れないほどです。それでも最初よりはマシになっています。
この部分は上から縦に差し込めるブラシがあるともう少し綺麗にできたかもしれません。そういうブラシはダイソーやセリアなどの100均に売っています。
時間に余裕があるなら浸け置きもしたいところです。
他の部分も同じように磨いていきます。そうすると、全体的にかなり綺麗になっていきます。
こちらが最後に水で流して拭き取った状態です。まだ汚れは残っているものの、最初の状態からするとかなり綺麗になっているのではないでしょうか。
シロッコファン本来の銀色の輝きをある程度は取り戻すことができました。いかがでしょうか。
作業に要した時間は約3時間です。シロッコファンの油汚れがひどくて、歯ブラシで擦る作業がとにかく大変でした。新しい換気扇や定期的に掃除している換気扇であれば1時間程度で完了すると思います。年末年始や休日等に試してみてください。
油汚れに強い洗剤はどこのホームセンターでも手に入ります。お買い物のついでに洗剤コーナーを見てみてください。