冬場はベランダに面した窓からの冷気がどうしても気になってしまいます。暖房を消すとあっという間に部屋全体が寒くなってしまうほどです。だから、窓をなんとかしなければいけません。
例年、掃き出し窓は梱包材として用いられている気泡緩衝材(プチプチ等)を貼り付けて断熱していました。どうでもいい話ですが、「プチプチ」という名称で定着している梱包材は、色々な梱包材を製造している川上産業株式会社の登録商標です。正式には「気泡緩衝材(ポリエチレン気泡緩衝材)」などと表現するようです。へぇ~と思った方はこのページを最後まで読んでくださいね。笑
他にも、キッチン用の油はねガード(アルミパネル)を貼っていたこともあります。窓と部屋の間に何かあるだけでも大分違います。ちょっとした工夫でも防寒や節電に繋がります。
プチプチは専用製品がホームセンターで販売されているほど定番の断熱材として利用されています。しかし、このような専用品は2,000円前後していて割高感があります。しかも、プチプチは貼ったままにしておくと夏を越えたあたりに紫外線でボロボロになって、破片があちこちに付着して大変なことになります。
二重窓を作るキットも販売されていますが、そちらはプチプチよりもっと高価です。何を採用するにしても一長一短があります。
なんとか低価格で断熱できないかと考えた末に、今年は養生パネルを簡易な断熱材として採用してみました。養生パネルは価格が安くて加工もしやすいという利点があります。
窓を断熱して冷気をシャットアウト
養生パネルは低コストの断熱材となるか?
プラスチックダンボール(プラダン)と中空ポリカーボネイト(中空ポリカ)は、プチプチ以外の断熱材としてよく利用されています。YouTubeやブログで紹介されていることも多い定番の製品です。
各素材についてプラダンを基準として比較したときの特徴を簡単にまとめてみました。言うまでもないことですが、これは主観的経験的な評価を含むものです。
断熱性 | 価格 | 加工 | 耐久性 | 入手性 | |
プチプチ | 低い | 安い~普通 | 簡単 | 低い | ◎ |
養生パネル | 低い | 安い | 簡単 | やや低い | △ |
プラダン | 普通 | 普通 | 普通 | 普通 | ◎ |
中空ポリカ | 高い | 高い | やや難しい | 高い | ○ |
プチプチとプラダンはどこのホームセンターでも簡単に手に入ります。プチプチは超大型ホームセンターでは暖房コーナーに置いてある製品よりも資材コーナーに置いてある製品のほうが大容量で安いです。180cm×90cmサイズは100均でも手に入ります。通販の梱包材をとっておけば材料費はかかりません。
プラダンのほうは黄色や青色などのカラーバリエーションもあります。プラダンはカッターナイフでも加工できます。実際に多くの方がDIY時の断熱材として採用しています。養生パネルが手に入らないときの候補としてください。
中空ポリカは大型ホームセンターで取扱いがあります。この素材は強度がかなり高いですがその分だけ高価です。中空ポリカはカーポートの屋根や温室などにも使われています。当然、透明色があります。他にもカラーバリエーションがありますが、そちらは取り寄せ前提になっていることが多いです。
養生パネルは養生プラダンともいわれ、プラダンとほとんど同じものですがプラダンよりも薄くてペラペラです。こちらは引っ越しや建築のときに床や壁を傷や汚れから守る目的で用いられています。養生パネルはプロショップの併設された大型ホームセンターに置いてあることが多いですが、小型ホームセンターでは今まで一度も見たことがありません。
今回は養生パネルを試しに採用してみたいと思います。こちらのほうがプチプチよりも見た目がよくなります。
コーナンの養生パネル2.5
こちらの養生パネルはホームセンターコーナンで購入しました。商品名は「養生パネル2.5」です。LIFELEXというコーナンのオリジナルブランドの製品です。製造は中国です。価格は1枚173円(税込み)でした。これを他の部屋の分と合わせて2枚購入してみました。
コーナンのネットショップ(製品ページへ)を見ると店舗別の在庫が見られるようです。どうしてもこの製品が欲しいという方は上のリンクを確認してみてください。店舗受け取りを指定することもできるようです。
材質はポリプロピレンです。サイズは1820mm × 910mm × 2.5mmです。このサイズは軽バン、軽トラ、ハイエースなどにしか積載できません。普通の車にはだいたい載せられないと思ってください。車をホームセンターで借りてください。自転車で持って帰ることもできません。徒歩でも風を受けるとバキバキに折れ曲がると思います。徒歩の場合はプラダンを選んでください。
養生パネルやプラダンは持ち帰りに難がありますので、100均のアルミ製ロールマットで代用するという手もあります。こちらはセリアで手に入ります。
この養生パネル1枚でベランダに出るための左右のドアの下半分を覆うことができます。ドア全面に貼り付けたい場合はドア1枚につき養生パネル1枚が必要です。また、どこに取り付けるにしても、窓枠に合わせてカットしなければいけません。
この養生パネルは厚みが2.5mmしかなく、プラダンと比べてもかなり薄くてペラペラです。断熱性能はプラダンより劣ると思います。
短辺を両手で持って運んでいるだけでも、中央がたわんで真ん中に白い筋(折れ目)が入ってしまうことがあります。見た目を綺麗に仕上げたい場合はプラダンか中空ポリカがおすすめです。
養生パネルの加工
養生パネルは乳白色のものが主流です。厚みが2.5mmしかないということもあって、写真のように反対側が透けて見えます。
光を十分に通すので紫外線の影響を強く受けそうですが、その反面、不透明のものより圧迫感がありません。これは窓の目隠しとしても利用できそうです。外からの視線が気になるお風呂場などに設置してもよいかもしれません。
養生パネルはハサミやカッターナイフで簡単にカットできます。
ハサミを使うと断面が潰れて折れ目も付いてしまうため、ハサミで切り口を入れた後はケガキ線を目安にカッターナイフでカットするとよいかもしれません。ただし、カッターナイフは定規を使わないと切断面が真っ直ぐならずに湾曲してしまいます。
作業時は床を傷つけないように段ボール等を必ず敷いておいてください。
養生パネルは切り口に触れても大丈夫ですが、プラダンやポリカは切り口がひじょうに鋭利になっていますので、手を切らないようにくれぐれもご注意ください。
養生パネルを半分にするとドア2枚の下半分をうまく覆えるサイズになります。後はドアの幅に合わせてもう一度カットします。両面テープをどこに貼り付けるかを考えた上で、幅を調整してください。
切り口は凹凸ができてしまいますが、1辺または2辺のみなので個人的にはそこまで気になりません。それにカーテンを引いたらまったく見えなくなります。
養生パネルの設置
両面テープを使って設置する
窓への設置は貼ってはがせる両面テープを使用します。こちらはダイソーで購入しました。両面テープは厚みのあるもののほうが使いやすそうですが、貼ってはがせるタイプがこれしかなかったので今回はこちらを使います。
両面テープは将来的に取り外すことを考えて部分的にしか貼り付けません。それと、窓の枠とガラスの間にあるゴム部に触れないように貼ることをおすすめします。これは後でテープ痕が除去できなくなるのを避けるためです。
掃き出し窓(右側)への設置
養生パネルはドアの枠にかかるように、ドアの下半分のみに貼り付けました。ガラス全面を覆ってしまうと外の様子が確認できなくなることもあって、下半分だけ貼り付けることにしました。また、設置は左右のドアが完全に開閉できるように考えています。
両面テープは断片的にしか貼っていません。全面に貼った方が気密性は上がると思いますが、はがすときに大変なことになる可能性が高まります。
右のドアは、右から貼って左を最後に貼るかたちで作業を進めました。パネルを予めL字に折ってあるので左右の位置は狂いません。
右ドアの左端は、出っ張っている枠のところに上手く貼り付けられるように工夫しています。養生パネルは爪で線を入れてやるだけで簡単にL字に折り曲げられます。
大した効果はないかもしれませんが、養生パネルとガラス面との間に空気の層ができるように位置を微調整して取り付けています。
ドアの下部はこのようになっています。黒い影に見える部分は枠があるところです。ドアの真下まで完全に覆わなくても大丈夫です。
こうしておくと掃除機をかけても養生パネルにはあたりません。
ドアハンドルに干渉しないぎりぎりの位置に取り付けています。
このあたりは最初に寸法をきっちり測って、テープの取付位置も考えておくことで、綺麗に設置することが可能となります。
掃き出し窓(左側)への設置
左のドアも同様に貼り付けました。左ドアの右端は、両面テープをガラス面に直接貼り付けています。
隙間がわずかに開いているのは意図的なものです。両面テープが縁のゴムに接触しないように微調整しています。
養生パネルはプラダンと違って厚みが薄いので、(ドアの種類にもよりますが)貼り付けた後も左右のドアを普段通りに開け閉めすることが可能です。右ドアの開閉に左ドアの養生パネルが干渉するといったことはありません。
しかし、その分だけガラス面と養生パネルの間の隙間が少なく空気層も少ないため、二重ドアなどと比べて断熱効果が薄いと思われます。
左側は棚が邪魔で貼り付けるのに苦労しましたが、なんとか貼ることができました。
真ん中の白い筋は運搬時に折れ曲がったところです。養生パネルは薄っぺらいのでわずかにたわんだだけでも曲がって跡がつきます。
しかし、薄いことの利点もあります。このように、鍵付きクレセントの裏側に無加工で挿入できます。
こちらが右のドアを全開放した(右ドアが左ドアの前に重なっている)状態です。
ドアは問題なく開けられるようになっています。左右の高さも合わせているので、ドアを開閉したときに違和感がありません。
ドアの端も干渉しません。これでしばらく様子を見ようと思っています。
これだけでベランダの窓からの冷気が少しマシになったように感じられます。
出窓への設置
ベランダの掃き出し窓と同じように出窓の断熱も行いました。出窓は窓枠がいくつかに分かれているため、すべての窓枠の寸法を正確に測ってパネルを加工しなければならないので手間が掛ります。
出窓の構造にもよりますが、パネルを窓枠にぴったりとはまるように作ると着脱が容易になります。また、パネルを窓枠に貼り付ける場合も、枠があればそこに両面テープを数箇所貼るだけで済みます。
寸法を測って正確にカットするのが面倒という場合は、適当に切って立てかけておくだけでも多少の違いがあります。
断熱の効果について(追記)
例年は掃き出し窓の一面または二面の下半分を簡易な断熱材で覆っていました。部屋の温度は天候によっても違いますが、外気温より数℃高いといった程度でした。断熱を何もしていないときは、家に帰ってきたときの室温が外気温と同じくらいの日もありました。
しかし、今冬は室温が外気温より10℃前後違うこともあります。たとえば、1月11日の20時時点では外気温がニュースサイトの表示で7℃程度ですが、室温は18℃を示しています。家に帰ってきたときは当然もう少し低い値(15℃とか16℃とか)です。これまでと比べるとかなり良好な状態といえます。
このように部屋で過ごしていると差が10℃を超えることもあります。もちろん、人が部屋に居ることと暖房器具の影響もあるでしょう。暖房器具は電気毛布が主ですが、寒い日はフットヒーターを併用していることもあります。今冬、エアコンは大寒波が襲来したときに数回しか使用していません。
1月末の大寒波の折にエアコンを数日間だけ使ってみましたが、早い段階で設定した温度に達するとともに、適温を上手く保つことができているように感じられました。エアコンを消しても断熱をしていない時のように、すぐ寒くなるということはありません。
やはり出窓を断熱材で覆ったことが断熱効率の向上に繋がったと思います。出窓があると冷気の対流によって部屋がかなり寒くなります。断熱材の施工に加えて、カーテンをもっと分厚いものに取替えるといったことも有効かもしれません。
某YouTuberが家を建てるときに「断熱」「高気密」「C値」などと連呼していましたが、それは概ね正しいと思います。あちこちに断熱材を施すことで感覚的にも明らかな違いを感じられます。
養生パネルを使った断熱はコスパが高い
これは経験的にも分かっていたことですが、やはり何かしらの遮蔽物を設けるだけでも全然違いますね。板やパネルを立てかけただけでも大分違いますよ。外からの冷気の侵入が低減されたことが実感できます。
このような簡易な断熱であっても、暖房の効率化と電気代の節約を兼ねることができるかもしれません。ただし、これは関西の暖地の話であって寒冷地や山間部にはあてはまらないと思われます。
費用は養生パネル173円(税込み)、両面テープ110円(税込み)の計283円です。低コストで大した手間も掛らずにそこそこの効果を体感できて個人的には大満足です。
あとは暖かくして電気毛布にくるまって過ごしましょう。皆様の参考になると幸いです。