イラストの出来映えを左右する画質や品質の向上に関するプロンプト(呪文)は、頭の中でイメージしている光景を上手く再現してもらうためにも不可欠なものといえます。
ここでは、公開されている多くの画像のプロンプトを拝見した上で品質向上系のプロンプトとして使用されているものをまとめています。また、人気のイラストとそのプロンプトを閲覧する中で、品質に関わるものとして特に重用されているものを検討しました。
プロンプトを数量化したりテキストマイニングを行ったりすると客観性は当然に高まると思うのですが、あまりに手間が掛るのでざっと見た印象に基づいています。
なお、これからAIイラストを始めようとお考えの方は、まず以下のページからご覧ください。
【使用】
「Stable Diffusion web UI(AUTOMATIC1111版)」
「Anything-v4.0.ckpt」
クオリティアップを目指して取り入れたいプロンプト
品質向上系のプロンプトの重要性
生成される画像は品質向上に関するプロンプトをいくつか入れることで全体または特定の部分のクオリティが劇的に向上するようです。
したがって、画像の生成には品質向上に関するプロンプトを入れることが必須といえます。このようなプロンプトは、具体的な中身のある表現ではなく、美しさや精細さを漠然と表現するものです。
プロンプトを全体的に眺めてみると「めちゃくちゃ高精細」または「8kのように高画質」みたいなもの、それから「詳細に描かれた○○」みたいなもので占められているようです。入力者の「とにかくマジで本当に最高のイラストを出してくれ頼む!!」という執念のようなものがひしひしと伝わってきますね……。
しかし、品質向上系のプロンプトを盛り込めば良くなるかというとそうでもないように感じます。実際に超美麗なイラストを見てみると2~3個しか入っていないことが多いです。「masterpiece(傑作)」と「best quality(最高品質)」、そして「detailed ~(きめ細かい ~ )」がよく使われている印象を強く受けます。
どれをどれだけ入れたらよいか迷っている方や始めたばかりの方は、品質向上系のプロンプトを2個~3個に厳選してみてはいかがでしょうか。
なお、これらのプロンプトは最初に記述されていることがほとんどです。モデルによっては()で括って強調している方もいるようです。
全体の品質を規定する要素でもあるプロンプトは、ある意味では画像の内容よりも重要といえるかもしれません。
とはいえ、今はもう「ControlNet(コントロールネット)」を用いて画像を生成するという流れになっているようです。インストール方法は次のページをご覧ください。
それでも、動作やポーズに関わるプロンプト等を知っておいて損はありません。動作やポーズに関わるプロンプトの詳細は以下のページをご覧ください。
品質向上系のプロンプトの一覧
品質の向上に関わると思われるプロンプトが、実際にどこまで有効なのかは難しいところだと思いますが、適切なものを入れると結果が格段によくなるのは何度も画像を生成していると分かります。
以下に主要なプロンプトをまとめています。気になったものがあればコピペして試してみてください。ひとつずつ入れ替えて、変化を観察すると面白いかもしれません。
高品質であることを直接的に表現するもの
masterpiece マスターピース |
傑作 | 唯一無二のものを求める |
best quality ベストクオリティ |
最高品質 | 何よりもすごいもの |
ultra detailed ウルトラディテールド |
超高精細 | 最高の細やかさを求める |
highres ハイレゾ |
高解像度 | 音響関連でも頻出のワード |
high-resolution ハイレゾリューション |
高解像度 | 省略なし |
4k | 4k | 綺麗さを表わす身近な表現 |
4k portrait | 4kポートレイト | 人物と関連付ける |
8k | 8k | |
8k portrait | 8kポートレイト | 人物と関連付ける |
unity 8k wallpaper | ユニティ8k壁紙 | 最新ゲームの画質のような |
extremely detailed CG unity 8k wallpaper |
超高精細CGユニティ8k壁紙 | |
extremely detailed CG | 超高精細なCG |
他にも映像や写真に関する言葉を入れてみてもよいかもしれません。高級一眼レフカメラの製品名を入れているものも1件ありました。何でも試してみるものですね。
絵の綺麗さを訴えるもの
super fine illustration スーパーファイン イラストレーション |
超絶技巧イラスト | とにかくすごいイラストを 求めるときに |
oil painting オイルペインティング |
油絵 | 油絵のような描画を 求めるときに |
watercolor painting ウォーターペインティング |
水彩画 | 水彩画のような描画を 求めるときに |
beautiful artwork ビューティフルアートワーク |
イラスト・絵画 | 芸術作品のような |
official art オフィシャルアート |
公式アート | 公式にあるような |
production art プロダクションアート |
製品アート | 製品に使われているような |
novel illustration ノベルイラストレーション |
小説の挿絵 | 挿絵のような |
anime screencap アニメスクリーンキャプ |
アニメのキャプチャ | アニメ調の画像を求めるときに |
映画、アニメ、絵画などの芸術関連の言葉や表現を取り入れてみるのも面白いかもしれません。
特定の部分の精細さを強調するもの
detailed ~ | 詳細な~ ~ の詳細な描写 |
detailed系は多い 綺麗に描きたい部分にとりあえず 「detailed」を付けておく風潮 |
highly detailed | ひじょうに詳細な | 精細さを求めるときに |
super detailed skin | とてもきめ細やかな肌 | 肌の描写にこだわるときに |
detailed beautiful eyes | 美しい目 | 目の描写にこだわるときに |
detailed beautiful face | 美しい顔 | 顔の描写にこだわるときに |
detailed beautiful face and eyes |
美しい顔 | 美しい顔を描きたいときに |
very detailed background | とても細やかな背景 | 背景にこだわるときに |
highly detailed background | ひじょうに細やかな背景 | 背景にこだわるときに |
綺麗かつ緻密に表現したい部分があれば「detailed ~」を試してみるのはひとつの手だと思います。
表情に関するプロンプトと組み合わせてみるのもよいかもしれません。
品質向上系のプロンプトの使用例
こういうプロンプトをよく見かけます。私もよく使っています。個人的には品質に関するプロンプトは2~3個で十分だと思います。
しかし一方で、次のようにプロンプトをたくさん盛り込んでいる例もあります。
プロンプトを色々変えて試してみるのも面白いですね。
画風を変化させたり描き込みを増やしたりした場合は「flat LoRA」の導入がおすすめです。詳しくは以下のページをご覧ください。
プロンプトをひとつずつ変えて有効性を検討する
以上のように品質向上系のプロンプトはさまざまな言語表現が使われています。特定のプロンプトの有効性は導入した「モデル」の性質や他のプロンプトとの関連性によっても大きく異なります。特定のプロンプトを入れてもまったく変化がないかもしれませんし、潜在的に他のプロンプトに影響を及ぼしているかもしれません。
とにかくトライアルアンドエラーによって良さそうなもの厳選していくしかないと思います。ひとつずつ変えていくことで、何か変化が見られるかもしれません。
いろいろな画像を見ると一度に使われている品質に関するプロンプトは数個のことが多いようです。または、全体の画質を規定するものを1~2個入れた後に、目や表情のような特定の部位を詳細に描くためのプロンプトを入れているものがそれなりにありました。
反対に、ネガティブプロンプトのほうに「worst quality(最悪の品質)」や「low quality(低品質)」といった品質低下に関するプロンプトを記述することも一般的に行われています。そのあたりで上手くバランスを取ることも有効といえそうです。
ネガティブプロンプトについては以下のページをご覧ください。