しばらく前にホーザン(HOZAN)のVVFストリッパーを購入しました。この製品は第2種電気工事士の技能試験に推奨されていることの多い定番モデルです。
電工ナイフを使ってケーブル外装(シース)や芯線被覆を剥いていた時代を知っていると、このような工具の登場と普及はまさに革命的な出来事といえます。
電気工事士技能試験の練習に最適なVVFストリッパー
ホーザンのP-958の対応ケーブルと切断能力について
ホーザンは工具メーカーとしても有名ですが、それ以上に電気工事士の技能試験対策の工具セットと部材販売でもよく知られています。実際に「電気工事士技能試験 工具セット」や「第2種電工試験練習○回セット」が電工試験の定番として利用され、多くの受験生から高い評価を得ています。
そういうこともあって、さまざまなメーカーのVVFストリッパーの中から、定番中の定番であるホーザンの製品を選んでみました。なお、この製品は日本製です。
P-958のストリップ能力は、芯線被覆に関しては1.6mmΦ×3、2.0mmΦ×3に対応しています。もちろん、芯線被覆を1本ずつ剥いていくことも可能です。
ケーブル外装に関してはVVFケーブルとEM-EEFケーブル(エコマテリアル/エコケーブル)の1.6mm×2芯、1.6mm×3芯、2.0mm×2芯、2.0mm×3芯に対応しています。
ケーブルの切断能力は、1.6mm×2芯、1.6mm×3芯、2.0mm×2芯、2.0mm×3芯となっています。
ホーザン「P-958」のデザイン
VVFストリッパーは、ホーザン以外にもビクター、ツノダ、フジ矢、MCC、マーベル、ロブテックスなどの有名工具メーカーから発売されています。
いずれも形状や性能はほとんど同じです。製品は各メーカーごとに刻印や柄の色などの微妙な違いがあります。
ここからはホーザンのP-958の細部をみていきます。
P-958の先端部と刃部
工具の先端はプライヤーになっており、芯線(銅線)を掴んで曲げたり引っ張ったりすることができるようになっています。
その下の波状の部分で芯線被覆をストリップできます。表記も分かりやすくて間違えにくくなっています。
さらにその下の刃部でVVFケーブルを外装ごとカットすることができます。3芯のケーブルが問題なくカットできる幅があります。
P-958のケーブル外装ストリップ部
こちらはケーブルの外装を剥くところです。適合するところにケーブル外装を挟んでハンドルを握るとケーブル外装のみが切断されます。いずれのケーブルも太さを確認して、位置を間違えないようにセットしなければいけません。
こちらは使い慣れるまで少しだけ時間がかかります。エコマテリアルやVVRの外装ストリップはややコツが必要です。
P-958に刻印された定規
ストリッパーの裏面は定規が付いています。この定規はかなり便利です。3cm、4cm、5cm、10cmあたりの目盛りをよく使います。12cmを少し越えるように微調整して、13cm分のケーブル外装を剥くことも容易です。
なお、表面には10cm、15cm、20cmの目盛りが付いています。そちらは長いケーブルを切り分けるときに重宝します。
P-958の厚み
VVFストリッパーはスリムな形状をしているため、一般的な工具箱や工具ケースにすんなりと収ります。
P-958のハンドル
ハンドルはとても握りやすいです。ハンドルを素手で握っても滑りにくいです。使い込んでいるうちに黒い油汚れ等が付着することがあります。
柄の色はメーカーによって違います。メーカーにこだわりがなければ、色で選ぶのもありかもしれません。
ホーザンのP-958の使用感
ケーブル外装のストリップ
実際の使用感は、外装ストリップと芯線被覆ストリップのどちらも慣れると軽快に行えます。
ケーブルのカットは1.6mmと2.0mmともに容易に切断可能ですが、芯線の太い2.0mmはやや手応えを感じます。
エコマテリアルは外装の素材にやや粘り気があり、綺麗にストリップするにはコツが必要です。また、VVRケーブルの外装は、2.0mm×3芯のところに挟んで甘噛みさせながらケーブルをゆっくり回していくことで綺麗に外装を剥くことができます。中の介在物は刃部でカットできます。どちらの作業も慣れると簡単です。
芯線被覆のストリップ
外装を剥いたあとに芯線被覆を剥きます。裏面の定規を使うと1mm単位で剥くことができます。
芯線被覆を2cmはぎ取る場合は、2cmのところを指で抑えた状態で刃部に噛ませます。そうするとズレることなく芯線被覆を剥くことが可能です。
ハンドルを握ると芯線被覆だけがカットできます。VVFストリッパーをそのまま右にスライドさせるか、被覆を摘まんで引っ張ることで、芯線を露出させることができます。
(上の写真はストリッパーの表裏が逆になっていますが、それでも被覆を問題なくはぎ取り可)
輪づくりも簡単
ランプレセクタプルや露出形コンセントを施工する際は、芯線を加工する必要があります。これはいわゆる「のの字曲げ」といわれる加工です。
工具の先端で芯線を掴んで折り曲げてから、銅線が輪になるように加工します。
こちらはVVFストリッパー購入直後に初めて加工したものです。のの字曲げ加工自体はとても簡単ですが、練習の成果もあって今ではもっと綺麗に輪を作ることができるようになりました。
芯線の切断
ケーブルは外装のままカットすることもできますし、わずかにはみ出た芯線のみをカットすることもできます。刃部はずっと使っていると切れ味が落ちると予想されますので、そのあたりを買い替る検討をする目安にすると良さそうですね。
ホーザンのVVFストリッパーをしばらく使い込んでみて、この製品を選んでおけば間違いないという評判に偽りなしと感じました。
VVFストリッパーを電工試験の工具セットではなく単品で購入したいという方はホーザンのP-958を検討されてはいかがでしょうか。電気工事士の技能試験では作業時間の大半でVVFストリッパーを握っています。そのため、使いやすい製品を選択することは合格への必須の条件となります。