2020年11月19日の木曜日に国立国際美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。
この展覧会は流行病の影響を受けて会期が変更されてしまいました。しかし、チケットを入場日時指定制にすることで、東京展と大阪展は無事に開催されています。
東京展は2020年6月18日(木)~10月18日(日)という会期で既に終了してました。一方、大阪展は2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)という会期で来年まで楽しむことができます。まだご覧になっていない方はぜひご鑑賞されることをおすすめいたします。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の見どころ
今回の展覧会は、世界で初めてロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品が大量に展示される大規模なものとなっています。膨大なコレクションの中から全61作品の名画が日本で初公開される貴重な機会です。
その中でも日本初公開のゴッホの『ひまわり』、フェルメール『ヴァージナルの前に座る若い女性』、レンブラント『34歳の自画像』などオランダ絵画の黄金時代を築いた巨匠たちの作品が堪能できます。
このほかにも、モネ、ルノワール、ベラスケス、ゴヤなど誰もが知っている画家の作品もあわせて鑑賞することできます。所要時間は絵画の横の解説をすべて読んで1時間15分前後だと思います。ガイドを聴きながらゆっくりと回るともっと時間がかかります。なお、展示室内には椅子や休憩スペースは設置されていません。
国立国際美術館周辺の駐車場は大混雑!
国立国際美術館は大阪市の中之島にあります。電車やバスなどの公共交通機関で簡単にアクセスすることができます。体力のある方はJR大阪環状線の福島駅から徒歩で訪れることも容易です。
私は夕方から買い物の予定があったため車で美術館に向かいました。国立国際美術館には専用駐車場が併設されていないため、周辺のコインパーキングを探して車を駐める必要があります。
駐車場は大規模駐車場から小規模駐車場まで美術館の周囲のいくつもあります。しかし、美術館の周辺の駐車場は平日にもかかわらず、どこも満車状態でした。私は大きな駐車場の前で誰かが出庫するまで待っていたため、20分ほど時間をロストしてしまいました。ちなみに、この前日も同じように周辺の駐車場は満車状態だったことを確認しています。
車で向かわれる方は、駐車場が空いていないということを念頭に入れておく必要があります。もっと離れた駐車場に止めるというのも一つの手だと思います。
駐車料金は24時間最大1,100円前後が相場のようです。展覧会を見終わって一息ついて駐車場に戻ってきた頃には料金が上限に達しています。
平日にもかかわらず賑わいをみせる美術展
無事に車を駐めることができた私は歩いて国立国際美術館へと向かいました。周辺駐車場から美術館までの道程は徒歩5分程度です。
国立国際美術館(写真中央)は大阪市立科学館(写真右)の隣にあります。たくさんの人が並んでいるのが見えます。館内にはエレベーターが設置されているため車いすの方もスムーズに入場することができます。また、盲導犬、介助犬、聴導犬なども連れて入ることができます。
お隣の大阪市立科学館にはプラネタリウムがありとても面白い施設となっていますので、遠方からお越し方はこちらにもお寄りになると良いかもしれませんね。
私は14時入場のチケットを購入していました。美術館に到着したのがちょうど10分前だったので既に入場待ちの行列ができていました。入り口で係の方にスマホで電子チケットを提示してから待機列に並びました。チケットの正式な確認は美術館の入り口で行われます。
平日のお昼過ぎでも、それなりに人が集まっているという印象を受けました。チケット販売サイトで混雑状況をざっくりとみることができますが、平日でも14時あたりは人気の時間帯になっているようです。皆さん、お友達とランチを楽しんだ後に美術鑑賞という流れになっているのではないでしょうか。
行列は14時頃に先頭の人から順に案内されて、私が入場できたのは14時15分頃だったと思います。入り口で手指の消毒と機械による検温が行われていました。
ローチケの予約画面にあるカレンダーを見ると時間帯ごとの大まかな混雑状況が分かります。日時に「〇」が付いているところは余裕があるところで、「△」は定員に近づいている(=混雑)、「×」は売り切れとなっています。11月22日(日)時点では、土日祝日を中心に混雑や売り切れが続いています。
逆にいえば、空きがあれば前日にチケットを購入することもできます。私も前日に日時指定チケットを購入しました。チケットは事前に用意されることを強くおすすめいたします。チケット代金は一般1,700円、大学生1,100円、高校生700円です。
なお、11月20日(金)以降は平日の正午以降かつ定員に達していないときに限って、美術館窓口で当日券の販売が行われています。しかし、11月22日(日)の美術館のTwitterを見ると朝9時の時点で「1日の入場可能人数に達した」といったツイートが確認できます。土日祝日はチケットの直接購入が厳しそうです。
(参考)
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(ローチケ公式サイト)
国立国際美術館は近代的な外観の美術館
「国立国際美術館(NMAO)」は2004年に万博記念公園から中之島に移転されたという経緯があります。美術館の独特の外観はシーザー・ペリというアメリカの建築家の設計によるものです。建物を見ているだけでも面白いですね。
ペリは世界で活躍する建築家であり、大阪では大阪歴史博物館、中之島三井ビルディング、あべのハルカスなどを手がけているようです。東京では羽田空港第2ターミナルや日本橋三井タワーなどの設計に関わっています。
ちなみに、中之島三井ビルディングは国立国際美術館のすぐ近くにありますので、建築に興味が湧いた方は帰りに前を通ってみてはいかがでしょうか。
イギリスのロンドンにあるナショナル・ギャラリー
「ナショナル・ギャラリー(The National Gallery, London)」はイギリスのロンドンにある1824年に設立された国際美術館です。この美術館には2,300点を超える作品が所蔵されています。年間入場者数は600万人以上となっています。
この美術館では一部の特別展を除いて入場料がかからないようです。これはとても興味深い点です。このような取り組みは、一般の人々が美術に関心を持つ機会の獲得に繋がっているかもしれません。
ナショナル・ギャラリーには西洋絵画の巨匠たちの作品が数多く収蔵されています。ウィキペディアを読むだけでも数々のコレクション収集にまつわる歴史を概観することができます。
ナショナル・ギャラリーの公式サイトを見ると2020年12月2日まで閉鎖されている模様です。昨今の社会情勢を鑑みればやむなしといったところでしょうか。けれども、ギャラリー自体はオンライン上で鑑賞することができるようです。
(参考)
The National Gallery, London(公式サイト)(英語のみ)
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)(Wikipedia)
展示作品の全61作品はすべて日本初公開
今回の展覧会は、この美術館の開館以来初となる館外、それも国外でのコレクションの大規模展示となっています。来日している全61作品が日本初公開作品です。それだけ日本が信頼されているということでもあるのでしょう。
ロンドンに行かなければ見ることの叶わなかった数々の作品が日本でまとめて鑑賞できます。展覧会の目玉になっているゴッホの名作『ひまわり』以外の作品も主役級ばかりです。フェルメール晩年の作品『ヴァージナルの前に座る若い女性』、レンブラント『34歳の自画像』、モネ『睡蓮の池』は、それだけでも展覧会を開くことができそうです。
ほかにもいくつもの話題作が展示されています。一つ一つ解説を見ながら鑑賞しましたが、どの絵画にも深い意味があって驚きの連続でした。
画家 | 作品 | 制作年 |
パオロ・ウッチェロ | 聖ゲオルギウスと竜 | 1470年頃 |
カルロ・クリヴェッリ | 聖エミディウスを伴う受胎告知 | 1486年 |
ドメニコ・ギルランダイオ | 聖母子 | 1480-90年頃 |
サンドロ・ボッティチェッリ | 聖ゼノビウス伝より初期の四場面 | 1500年頃 |
ヤコポ・ティントレット | 天の川の起源 | 1575年頃 |
アンソニー・ヴァン・ダイク | レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー | 1635年頃 |
フランシスコ・デ・ゴヤ | ウェリントン公爵 | 1812-14年 |
エル・グレコ | 神殿から商人を追い払うキリスト | 1600年頃 |
ディエゴ・ベラスケス | マルタとマリアの家のキリスト | 1618年頃 |
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー | ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス | 1829年 |
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー | 西方より望むアヴィニョン | 1836年 |
ピエール=オーギュスト・ルノワール | 劇場にて(初めてのお出かけ) | 1876-77年 |
エドガー・ドガ | バレエの踊り子 | 1890-1900年頃 |
ポール・ゴーガン | 花瓶の花 | 1896年 |
ポール・セザンヌ | プロヴァンスの丘 | 1890-92年頃 |
(ロンドン・ナショナル・ギャラリー作品一覧より)
ポスターにもなっているゴッホの『ひまわり』が目立っていますが、どの画家の作品も面白いと思います。しかも、ボッティチェッリ、エル・グレコ、コロー、ルノワール、ドガ、ゴーガン、セザンヌなどは、それぞれ個別に展覧会が開かれるほど特に著名な画家でもあります。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のグッズ
作品の鑑賞を終えるとグッズ売り場があります。ロンドン・ナショナル・ギャラリー展のオリジナルグッズ等が展示販売されています。狭い売り場はかなりの人で賑わっていました。
グッズ売り場では、公式図録、クリアファイル、ポストカード、複製画、メモ帳、ブックマーカー(しおり)、フラットポーチ、コンパクトミラー、アクリルスタンド、すみっコぐらしとコラボしたぬいぐるみ(←かわいい)など色々なグッズが販売されています。
グッズ売り場はチケットを使って入場しないと入ることができないエリアにあります。グッズだけが欲しいという方は、日テレ屋Webのロンドン・ナショナルギャラリー展のグッズ販売ページから購入できるようです。なお、美術館の一般的なグッズは地下1階の売店で誰でも購入可能です。
(参考)
音声ガイド・図録・グッズ(ロンドン・ナショナル・ギャラリー展公式サイト)
私は気に入った絵画のポストカードを4枚だけ購入しました。このポストカードは1枚150円ですが、質感も良いので数枚なら買って損はないと思います。ここからは私が選んだ4枚の絵画について言及します。
1枚目は展覧会の目玉作品でもあるゴッホの『ひまわり』です。このポストカードは、ポストカード用の額に飾るとすごく映えます!
ゴッホは「ひまわり」を中心的なモチーフとした作品を7点描いたとされていますが、展覧会に展示されている『ひまわり』は4番目の作品です。鮮やかな黄色で彩られたひまわりと背景との画期的な組み合わせが印象に残る作品です。
日本のSOMPO美術館(旧 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)にも『ひまわり』が展示されていますが、こちらはロンドンのナショナル・ギャラリーの作品を元にして描かれたものとされています。
日本にはもうひとつ2番目に描かれたとされる『ひまわり』もありましたが、残念ながら第二次世界大戦時に米軍の空襲を受けて焼失しています。しかし、大塚国際美術館で原寸大の陶板を見ることができます。
ゴッホがお好きな方や今回の展覧会を通してゴッホの作品に興味を持った方は、海外へ安心して渡航できるようになったらオランダのアムステルダムにあるゴッホ美術館を訪れてください。
↑ゴッホ美術館の概要
↑黒川紀章氏によるゴッホ美術館新館
2枚目はモネの『睡蓮の池』です。この作品は睡蓮と日本風の橋をモチーフとした連作のひとつです。とても繊細なタッチで描かれていることが印象に残る作品で、今回の展覧会の中でもっとも感銘を受けた作品でした。
私は2018年にオランジュリー美術館を訪れて『睡蓮』の大装飾画を鑑賞していますが、そちらは度肝を抜かれる大迫力の作品群でした。展示室のベンチに座っていつまでもずっと眺めていられるような作品です。
3枚目はカナレット(ジョヴァンニ・アントニオ・カナル) による『ヴェネツィア:大運河のレガッタ』です。
ヴェネチアは私の好きな都市のひとつでもあり、18世紀の風景が比較的正確に描かれているという点が気になったので選びました。手漕ぎの船であるレガッタの競技シーンです。絵の奥には有名な観光名所であるリアルト橋が描かれています。
絵画では街並みと運河が直線的に描かれていますが、私の記憶ではヴェネツィアの運河はもう少し曲線的だった印象があります。
当時、イギリスからイタリアに来た人々が、記念写真の代わりにご当地の風景が描かれた絵画を持ち帰ったそうです。そのため、このような絵画はひじょうに人気があったのだとか・・・・・・。そういうところは現代人と何ら変りませんよね。
4枚目はヤーコプ・ファン・ロイスダールの『城の廃墟と教会のある風景』という作品です。ロイスダールは17世紀オランダの画家であり風景画で有名な人物です。この作品では空と大地、そしてお城、協会、風車が描かれています。
17世紀のオランダといえば、今展覧会でも作品が展示されているフェルメールやレンブラントが活躍していた時代です。彼らと比べて知名度は劣りますが、風景画の成立と興隆を考える上で重要な人物でもあるようです。彼の描く風景は空と地平線がとても印象的です。
私は美術に関する専門知識に乏しく、ロイスダールについてはアムステルダム国立美術館を訪れたときに初めて知りました。ロイスダールの風景画は無心で眺めていられるような気がします。
美術鑑賞のあとはカフェでゆっくりするのもあり
国立国際美術館の隣には大阪市立科学館があります。その裏手に「graf shop&kitchen」というオシャレなインテリアショップがあります。カフェ&キッチンスペースが併設されており、コーヒーや食事を楽しむことができます。
(参考)
アクセス(graf公式サイト)
キッチン メニュー(graf公式サイト)
看板にはテイクアウトも可能との表記がありました。科学館の敷地にあるベンチ(写真の左後の方)で日向ぼっこしながら余韻に浸るのも良いと思いますよ。
おわりに
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(大阪展)」はロンドンのナショナルギャラリー(The National Gallery, London)の門外不出の作品をまとめて鑑賞できる希有な機会です。
チケットはスマホからローチケ(ローソンのチケット販売)で日時指定券を購入しなければならず、煩雑な手続きが面倒と感じていました。また、ソーシャルディスタンスの確保が叫ばれる中で、人の多い場所に行くかどうか悩んでいました。日常生活でもスーパーやホームセンターに行く回数をできる限り減らしている状況です。
でも結論として展覧会に行って本当に良かったと思います。英国まで行かないと鑑賞することのできない有名な作品をまとめて見ることができて感動しました。今後もしばらくは海外渡航が難しいと思います。そういった意味でもこのような貴重な機会を逃すと次はいつ鑑賞できるか分かりません。
もちろん、手指の消毒やマスクの着用をしっかりと行って万全を期することは言うまでもありません。
もしこの記事が皆さんの参考になれば嬉しく思います。Twitterなどでご紹介いただけると幸いです。
(参考)
【公式】ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(公式サイト)