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浴室のシャワーと蛇口の水漏れを部品交換で修繕する

切替弁の挿入 DIY・工具
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 ユニットバスのシャワーや蛇口から水がポタポタと漏れる状態が長年続いていました。そして、漏れた水が朝には洗面器一杯に溜まっていることもあります。何とかしようと思いながらもずっとそのままにしていましたが、ようやく重い腰を上げて修繕することにしました。

 ここでは、国内の有名水栓メーカーであるKVKの「KF112G」という水栓のサーモスタットシャワー切替弁ユニットの交換を行っています。交換作業における各工程を写真付きで説明しています。作業の手順と必要な工具等は水栓器具や交換するパーツによってやや異なることがあります。しかし、大まかな流れはどれも同じようなものです。ご参考になれば幸いです。

 水栓器具の部品を交換する作業は、細かい手順が製品によって異なるものの、DIYのスキルでも十分に対応できます。けれども、パーツを交換したからといって水漏れが必ず解消できるという保証はどこにもありません。手間暇をかけても徒労に終わるということさえあり得ます。すべての作業は自己の責任に基づいて行ってください。

 なお、海外製の特殊な水栓は、交換用のパーツが手に入らなかったり分解図が手に入らなかったりすることがあります。そういったことを踏まえると、ご家庭の水栓金具は交換するにしても新築するにしても、国内の有名メーカーの製品にしておくと間違いありません。

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水栓器具のメーカーと型番を調べる

水栓器具の型番を確認する

KVKのシャワー混合水栓KF112G

 水栓器具は複数のメーカーから多数の製品が販売されています。既に廃番/販売終了となったモデルを含めると業者さんでも把握しきれないほどの製品が出回っています。業者さんに任せるにしても、まずは器具を見に来てから部品を注文して別の日に修理を行うという流れになるはずです。

 したがって、ご自宅の水栓金具を修繕するめには、製造メーカーと型番を最初に調べておかなければいけません。それから仕様書や部品一覧を確認して交換パーツを探します。

型番

 この水栓器具の場合は本体側面のシールを見ると「KF112G EH29」と記載されています。片方を検索してみるとKVK社の「サーモスタット式シャワー(品番:KF112G)」であることが分かります。

 ちなみに、水栓器具によく見られる「JWWA」という表記は「公益社団法人 日本水道協会」を示すものであってメーカーや型番ではありません。

 品番や型番は水栓器具のどこかにシールや刻印によって表記されています。しかし、シールが経年劣化によって剥がれていたり読み取れなかったりすることも考えられます。もしも建築時の図面等の資料がある場合は、そちらに設備の品番が記載されている可能性があります。また、住宅メーカーに聞いて教えてもらうという手もあります。

 水栓器具のメーカーが分かっている場合は、そこの問い合わせ窓口に連絡して水栓器具全体が綺麗に写っている写真を送ることで、型番と適合部品を教えてもらえることがあります。

 メーカーも型番も不明である場合は、日本の主要な水栓器具メーカーのカタログを閲覧して探してみてください。探し方は以下のページに詳しく掲載されています。

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 家の築年数から水栓器具が何年代頃(たとえば1980年代等)の製品かを推測してあたりを付けておくと調べる範囲を限定することができます。

 もしかすると、上の手順と同様に写真を各メーカーに送ることで自社製かどうかくらいは教えてくれるかもしれません。

水栓器具をすべて取り替えるという選択肢もあるが……

水栓の根元

 水栓器具は有名メーカーの製品が12,000円ほどで手に入ります。シャワーを含めた水栓器具を丸ごと取り替えたとしても、交換パーツが3,000円から4,000円程度することを考えると大して高くはありません。

 しかし、この方法はDIYの難易度がぐっと上がります。その理由は混合水栓の根元(ソケット)を外す必要が出てくるからです。ソケットを回したときに壁の裏にある銅製または塩ビ製の水道管が折れてしまう可能性があるのです。

 何十年と使用している混合水栓のソケットは、水道管に固着している可能性があります。ソケットを回して取り外す際に水道管が折れてしまうと壁を開けて直す必要があり、自分で直すにしても業者さんに依頼するにしても、当分の間はお風呂に入れなくなります。

 ソケット部分をあえて残して本体だけを取り替えるという方法もあります。しかし、ソケットが動いてしまうとシールが破れて水漏れを引き起こす可能性があります。

シャワーや蛇口は簡単に取り替えられる

水栓の下部

 シャワーと蛇口のナットは水栓器具の下部にあります。こちらを外して適合した製品と交換することができます。

 シャワーヘッドとシャワーホースは、交換用のものがホームセンターでもネットショッピングでも選び放題になっています。ナットの変換アダプタが多くの製品に付属しているため、モンキーレンチさえあれば誰でも簡単に交換できます。

 なお、この部分のパーツやパッキンを換えたとしても水漏れは止まらない可能性が高いです。それは水漏れの原因が内部の切替弁・止水弁の摩耗に起因していることが多いためです。

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交換作業を始める前に

適合製品を手に入れる

KVKのPZ432

 国内の有名メーカーは既に廃番となっている製品の部品をまだ販売していることがあります。しかも、これらの部品は楽天やAmazonで気軽に注文することができます。しかし、昔の廃番品のパーツは大型ホームセンターでは取扱っていません(注文はできるはずです)。

 「KF112G」の切替弁ユニットは、「サーモスタットシャワー切替弁ユニット(品番:PZ432)」が適合パーツになっています。この切替弁ユニットは「KF112G」以外に「KF620」「KF113G」などに適合しているようです。

(参考)
切替レバー・切替弁(KVK公式サイト)

 品番を間違えてしまうと使えませんので、適合品であるかどうかは必ず確認してください。同じような外観の製品がたくさんあります。

 この切替弁ユニットは3,000円から4,000円もするため、水栓器具そのものを交換するか修理するかで長らく悩んでいました。しかし、先に挙げたようなリスクを考慮して部品の交換で済ませることにしました。

交換パーツ

 この部品を新しいものに交換することでシャワーノズルや蛇口からのポタポタ水漏れが止まる可能性があります。

 パーツ自体はしっかりと作られており重量感があります。

手前側

 こちらが手前側です。これがハンドルの中に入っています。

奥側

 こちらが器具の奥側になります。こういうパーツは古くなるとパッキンがへたってしまい、金属部にも錆や摩耗が生じてしまいます。

 なお、切替弁ユニットの各ゴムパッキンはパーツリストには掲載されていませんでした。純正品を単独で購入することは難しそうです。手前の平パッキンも外周部がやや凸状になっており、同形状のものが市販品では見当たりませんでした。

交換作業に必要な工具

使用工具

 交換作業に必要な工具は、マイナスドライバー、プラスドライバー、ウォーターポンププライヤー、モンキーレンチです。

 プラスドライバーは1番(小さいやつ)を用意してください。これはイモネジを外すために使います。家庭の工具箱に入っているものはほとんど2番です。

 なお、ウォーターポンププライヤーはプライヤーやラジオペンチ等でも代用可能です。こちらはカバーがすぐに外れてくれれば出番はありません。

幅20mm

 モンキーレンチは開口部が20mm以上開くものを用意してください。切替弁は20mmあります。スパナは20mmです。ウォーターポンププライヤーでも代用可能と思われますがモンキーレンチが適しています。

 別の水栓器具の場合は当然ながら必要な工具も切替弁ユニットの寸法も異なります。

ネジが固着して回せないときに

固着を外す

 こういう作業を行うときにネックになるのが、ネジやパーツが固着して回したり外したりできないという問題です。今回の作業は始めにお湯と水の止水栓を止めなければいけません。

 ところが、何十年も触っていない浴室の止水栓はびくともしないことがあります。それでも止水栓は止める必要があります。DIYでやってみようと思った方が最初に躓くところです。こういうことに備えていないと出鼻をくじかれてしまいます。解決方法は次のとおりです。

 シリコンスプレー等の潤滑油をネジに微量だけ吹いて、ドライバーの柄を玄翁で軽く何度も叩きます。そうすると止水栓が動くことがあります。どうしても無理そうなら水道の元栓を止めるという方法もあります。元栓は戸建てであれば家の前、マンション・アパートであれば玄関付近の扉の中にあるはずです。

 シリコンスプレーはそんなに高くありませんので一つ常備しておいてください。小さな缶は100円ショップのダイソーにも置いてありますよ。玄翁やゴムハンマーもあります。

固くて回らなくなった止水栓のマイナスネジを回す方法
キッチン、トイレ、お風呂などにある止水栓のネジが固くて回らないとき、いくつかの方法を試みることで開閉できるようになることがあります。それには水栓用の特殊な工具が必要ですが、ホームセンターやネットでお手頃価格で入手できます。

交換作業の手順を確認する

部品の取り外し順

 こちらは今回作業する「KF112G」という水栓器具のハンドル部の分解図になります。中央の「切替弁ユニット」を取り外して新しいものと交換します。

 適合パーツを購入すると分解図がパッケージの裏面に記載されていることがあります。またはメーカーサイトでも確認することができます。

 KVKの水栓器具は既に廃番になっている製品であっても、該当製品のページから「分解図と部品一覧表(品番と価格を含む)」「外観図面」「取扱説明書」「施工説明書」「代替品」が閲覧できます。しかも、品名をクリックするとKVKの販売サイトへ遷移するようになっています。このような取り組みは本当に素晴らしいと思います。水栓器具を取り替えるときはKVKを始めとした日本のメーカーを絶対に選びたいですね。

(参考)
サーモスタット式シャワー(KF112G)(KVK公式サイトの製品ページ)

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切替弁ユニットの交換手順

止水栓を確実に止める

お湯と水をとめる

 マイナスドライバーを使って、左右(お湯と水)の止水栓を止めます。両方の止水栓を閉めたら水が吹き出てくる心配はありません。

 止水栓が固くてどうやっても回らないというときは上の項目を読んでください。

止めた状態

 止水栓のネジを締めたら水が蛇口から出ないかどうかを確認します。

 止水栓のネジは途中で止まっても、ネジが固くなっているだけで完全に締め切れていないことがよくあります。確認は入念に行ってください。

切替弁ユニットの取り外し

ハンドル

 ハンドルのキャップを見ると、上部に凹みがあります。そこにマイナスドライバーを挿し込むとハンドルとキャップの間に隙間ができます。

蓋を外す

 キャップを手前に引くと取り外せます。キャップが固ければマイナスドライバーを横や下からも挿し込むと取れます。

プラスまたはマイナス

 キャップを取り外すと、プラスネジが奥に見えます。次はそれを外します。

 それにしても汚いですね。お風呂掃除はきちんとしていますが、内部は洗えませんので仕方ありません。

ネジとハンドルを外す

 プラスドライバーでもマイナスドライバーでもどちらでもOKです。

 ネジが緩むと、ネジ、ワッシャー、ハンドル、ナットがすべて外れますので、落とさないように気をつけてください。

奥のカバー

 次はこのカバー(切換カラー)を外します。小さなネジ(イモネジ)が右下に付いています。

イモネジを外す

 1番のドライバーを使って慎重に外してください。このイモネジは本当に小さいので無くしてしまわないように注意が必要です。

プラスのイモネジ

 駆動部(プラスの部分)が浅いのでドライバーの先端が滑りやすいです。

カバーを掴んで外す

 イモネジを外すと切換カラーが外れますが、水垢等で固着していて素手で外せないこともあります。そういうときはウォーターポンププライヤーの出番です。縁を掴んで手前に引っ張ると簡単に抜けます。

 ちなみに、こちらのウォーターポンププライヤーはむちゃくちゃ使いやすいので超おすすめです。この工具はあっちこっちで活躍しています。価格も1,000円ちょっととお手頃です。

水回りの補修に便利なウォーターポンププライヤー
水栓や配管を掴むためのウォーターポンププライヤーは1本あると便利です。ツノダの「TH-250WP」は、開口幅が6mmから52mmまで調整することができます。3枚構造でガタツキが少ないという点で優れています。

切替弁

 本命の切替弁ユニットが出てきました。これを外して新しいものに交換します。

切替弁を外す

 モンキーレンチをかけて反時計回りに回すと緩みます。

 ここはかなり固くなっているかもしれません。

切替弁を外した後

 切替弁ユニットが緩んだら手でゆっくりと回して取り外します。これで取り外しの工程は終了です。次は新しい部品の取り付けです。

 外側はとても汚れているので濡れたウエスで拭っておきます。

穴の中身

 穴の中を見てみましょう。この中に入っている切替弁ユニットがへたってくると水がぽたぽたと滴り落ちるようになってしまいます。

切替弁ユニットの新旧比較

切替弁の新旧比較

 ゴム製パッキンは丸みがなくなっています。写真では分かりにくいですが、右端の平パッキンも厚みがなくなっているように見えます。

 金属部は綺麗な部分がある一方で腐食している部分も見られます。

取り外したパーツの洗浄

取り外したパーツ

 取り外したパーツは掃除することのできない内側に水垢や黒カビが付着しています。不要な歯ブラシ等で擦るとある程度は綺麗になります。

 時間に余裕があればパーツを洗剤に浸け置きしてもよいと思います。今回は簡単な洗浄だけで済ませました。

洗浄後のパーツ

 各パーツを歯ブラシで擦って洗うだけでも随分と綺麗になりました。

 イモネジやワッシャーは流してしまわないように要注意です。ネジ類はそこまで汚れていなければ洗面器の中で濯ぐだけでもよいと思います。

 なお、上の写真に写っているパーツは交換用の部品が販売されています。

切替弁ユニットの取り付け

切替弁の挿入

 切替弁ユニットの取り付けは、取り外しと逆の手順で進めていくだけです。まず切替弁ユニットを真っ直ぐに挿し込んでいきます。

切替弁の取付

 そして手で回せるところまでゆっくりと正確に締めていきます。歪んでいるとねじ山がダメになってしまいます。

切替弁の締め付け

 今度は切替弁ユニットを時計回りに回していきます。最初は力を入れなくても回っていきます。モンキーレンチが回らなくなってから、力を少しだけ入れて器具に負担のかからない程度に締めておきました。

取り付け完了

 新しい切替弁ユニットが正しく設置された状態です。

 ここからは各パーツを取り付けていって元通りにしていきます。

奥のカバーの取り付け

 切換カラーを「止」が上になるように取り付けて、右下のイモネジを軽く締めます。

 このイモネジは切替弁ユニット側面の金属部分に接触させることで、切換カラーが動かなくなるという単純な機構のようです。

ハンドルの取り付け

 ハンドルは裏側の穴にナットを埋め込んでから、切換カラーに被せてネジを締めていきます。ハンドルが供回りしないように押えながらネジを締めます。

蓋の取り付け

 キャップを正面に取り付けると組み立て作業は完了です。ハンドルが引っ張っても回しても取れないことを確認します。確認が終わったらハンドル位置を「止」に戻します。

組み立て後に点検する

各水栓を開く

 左右の止水栓を同じくらい開きます。

水量と漏れの確認

 ハンドルをひねって蛇口から適量の水が出ることを確認します。最初は汚れた水が出てきます。水量がいつもと異なるときは止水栓の開閉具合を微調整してください。シャワーのほうも同じように確認します。

 水量の確認と調整が終わったら、ハンドルを「止」に戻して水が漏れないかどうかを確認します。洗面器を置いて5~30分程度放置して、水漏れがなければ修理は完了です。

 最低限の工具は必要となりますが、DIYとしての難易度は低い方です。交換に要する時間はカバーの洗浄も含めて30分~1時間程度となります。止水栓や切替弁ユニットが固着していると時間がかかることがあります。それでも、自分でできることはできる限り自分で済ませたいと思っています。

 現在のところ水漏れや不具合は一切発生していません。パーツを交換するだけでポタポタと水漏れしていたのがまったく無くなりました。今までハンドルを右にしたり左にしたり微調整を繰り返して水が少しでも漏れないように工夫していたのが嘘のようです。それどころか「止」の左右に若干の遊びがあり、ハンドルの位置が少しズレていても水は漏れません。

 水漏れを修繕して本当に良くなりました。水漏れでお困りの方はぜひお試しください。

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