デン・ハーグはオランダにおける政治の中心地として知られています。市内には宮殿、議会、各国の大使館などがあります。あの有名な国際司法裁判所もデン・ハーグにあります。裁判所はテレビニュースでもお馴染みですよね。
そんなデン・ハーグの都市の規模は、ロッテルダムに次いでオランダ第3の都市となっています。デン・ハーグは政治と行政の側面ばかりが強調されがちですが、マウリッツハイス美術館やエッシャー美術館といった有名な美術館があり、必見の観光スポットとなっています。オランダの美術館のクオリティは本当に高く、感動すること間違いなしです。
今回は、そんなデン・ハーグという街の魅力をお届けします。
アムステルダム中央駅からデン・ハーグ中央駅への移動方法
快速列車で移動する方法
アムステルダム中央駅からデン・ハーグ中央駅への移動は、アムステルダム中央駅から発車する列車を利用することが一般的です。
列車は「Intercity」を利用します。「Intercity」と呼ばれる列車は「新快速」のようなイメージでしょうか。主要な駅に停車してローカル駅を飛ばします。反対に「Sprinter」は「普通/各駅停車」です。
アムステルダム中央駅からデン・ハーグ行きの快速列車が出ています。主要な駅を結ぶ路線のため、何本もの列車が出ています。
詳細はオランダ鉄道の公式サイトで事前に確認することができます。もちろん、駅の電光掲示板にも各方面への行き先、時刻、乗り場がしっかり表示されています。目的地となる主要な駅名が分かっていれば英語やオランダ語が分からなくても大丈夫です。
案内表示の見方
それでは、実際に液晶ディスプレイの案内表示をみてみましょう。上記の案内表示は左側から、「Vertrek(発車時刻)」「Naar/Opmerkingen(到着地・目的地/備考)」「via(経由地)」「Spoor(プラットホーム番号)」「Trein(電車の種類)」の順で表示されています。
たとえば、デン・ハーグ中央駅行きの快速列車は、13:18に2aから出発するということがわかります。また、ロッテルダム中央駅行きの普通列車は13:19に8bから出発となります。
余談ですが、アムステルダム中央駅は国際列車が運行しています。たとえば、フランスのパリ北駅(Paris-Nord)行きのタリス(Thalys/特急列車)が12:53に15bから発車します。タリスはワインレッドの特徴的な車体を採用しており、ルージュトレインと呼ばれることもあるそうです。
プラットホームに移動すると、ホーム上にも電光掲示板と時計があります。プラットホームの脇にはバーガーキングもありますね。出発する場所が変更されていることも考えられますので、行き先を確認されることをお勧めします。
ちょっと写真が見づらくて申し訳ないのですが、「2a(プラットホーム番号)」「13:18(出発時刻)」「Intercity(電車種別)」「Den Haag Centraal(目的地)」が明確に表示されています。
私はこの13:18発の列車でアムステルダムからデン・ハーグに移動しました。
所要時間と料金
私が利用した列車は、主要都市間を繋ぐ路線であるため、1時間に何本もの列車が運行されています。したがって、アムステルダムに滞在している方が、ライデンやデン・ハーグに日帰り観光することも十分可能です。半日あればデン・ハーグの観光スポットを駆け足で巡ることができます。
なお、アムステルダム中央駅からデン・ハーグ中央駅までの所要時間は約50分です。また、列車の料金は2018年9月時点で11.70ユーロでした。それに加えて手数料が1ユーロかかりました。チケットの右下に「Toesieg €1,00」と書かれている金額が手数料です。
しかし、2019年10月時点では、料金は12.20ユーロになっているようです。手数料もいると思います。
快速列車の経由地
アムステルダム中央駅は本当に素敵な駅舎ですよね。オランダ鉄道の黄色と濃紺の列車もヨーロッパらしさを感じます。私は写真に写っている列車に乗りました。
列車は長いプラットホームの奥側に停まっています。列車がプラットホームのどの部分に停まるか分からないときは、プラットホームの中央付近で待機するのが賢明です。
デン・ハーグ行きの快速列車は、アムステルダム中央駅の隣の駅であるスローテルダイク駅、アムステルダムの西にあるハールレム駅、そしてライデン中央駅などを経由してデン・ハーグ中央駅に向かいます。なお、アムステルダム中央駅からロッテルダムに向かう列車は、デン・ハーグ中央駅ではなくデン・ハーグHS駅を経由するので注意が必要です。
スローテルダイク駅の詳細に関しては以前の記事でご紹介しています。ハールレム駅はスキポール空港から比較的近い駅になります。旅の参考になるページは下記にまとめていますのでご活用ください。
(鉄道と自治体の参考ページ)
NS(オランダ鉄道の公式サイト)(英語)
デン・ハーグ市(公式サイト)(英語)
デン・ハーグ(Wikipedia)(日本語)
デン・ハーグ中央駅(Wikipedia)(日本語)
ハールレム(Wikipedia)(日本語)
Haarlem Station(ハールレム駅)(オランダ政府観光局)(英語)
ライデン中央駅(Wikipedia)(日本語)
出発前にアムステルダム名物のフリットを食す
私は昼過ぎに移動しようとしていたため、列車の乗る前に腹ごしらえをしました。アムステルダム中央駅の構内には色々なお店があります。私は手っ取り早く食事を済ませるために、「the doner company」というファストフード店を利用しました。トルコ料理のファストフード店のようです。
フリットはとてもおいしかったです。ただ、ちょっと摘まむには量が多い気がします。
お値段は、フリットが2.25ユーロ、フリットにつけるマヨネーズが0.25ユーロ、スプライトが2.50ユーロの計5.00ユーロでした。
アムステルダムは「フリット(Friet/フライドポテト)」が名物です。ちなみに、フリットのお店は街中にもたくさんあります。
最初に掲載した写真の左奥に見えているお店は「Smullers」という有名なファストフード店です。コロッケ(クロケット/kroket)の自動販売機が有名ですね。自動販売機をご利用の際は、料金ぴったりの硬貨を用意する必要があります。
(お店の参考ページ)
the doner company(公式サイト)(オランダ語のみ)
(「Assortiment」→「Producten」と辿るとメニューが見られます)
Smullers(トリップアドバイザー公式サイト)(日本語)
デン・ハーグ駅とコインロッカーについて
アムステルダム中央駅を出発して約50分でデン・ハーグ中央駅に到着します。デン・ハーグ中央駅は終着駅となっています。
ところで、このデン・ハーグという名は通称で、正式名称は「スフラーフェンハーヘ(’s-Gravenhage)」と言うそうです。
私が乗ってきた車両です。
「車止め」と呼ぶのでしょうか。こういうものをみると、私は阪急梅田駅をイメージしてしまいます。駅の規模は阪急梅田駅の半分にも満たないくらいだと思います。
列車の進行方向に進んでいくと、駅の端に改札があります。この改札を抜けて通りを挟んだ向かい側の駅ビルの地下にロッカーがあります。写真の左奥だったと思います。ロッカーの利用方法は、以前の記事をご覧ください。
デン・ハーグ、政治と芸術の街を歩く
ビネンホフや美術館方面は、改札を出て駅ビルを越えて、左前方に進んでいきます。
写真は駅ビルを越えて振り返ったときの風景です。標識に美術館の方向と距離が示されています。駅の横にはトラム乗り場がありますが、ビネンホフやマウリッツハイス美術館などが建ち並ぶ中心部へは徒歩で行ける距離です。
<アクセス>
駅からマウリッツハイス美術館を目指して移動すると街の中心部にたどり着きます。主要な観光地は池の周辺に集まっています。半日の観光でも行く場所を限定していれば問題ないと思います。
駅を出て真っ直ぐ歩いて行くと右手にクーカンプという公園が見えてきます。公園の脇をそれる形でベザイデンハウツェ通りを左方向に進んでいきます。しばらく歩くと、美術館やビネンホフのあるエリアに行くことができます。
エッシャー美術館に行く場合は、写真の左に見える公園の中にある歩道を通って、左斜め前に進んでいきます。
エッシャー美術館のあたりまでやって来ました。なんと私が訪れたときはイベントが行われていました。予期していないイベントがあると、ちょっと心が躍ります。
ものすごい数の人で賑わっています。チェコの国旗を掲げたブースが出ています。
このイベントは各国の大使館が集まるお祭りでした。大使館フェスティバル。デン・ハーグに大使館を置いているさまざまな国がブースを開いて、自国の文化を伝えたり料理を販売したりしていました。
ちょうど池の北部に位置する広い公園の端から端まで各国のブースが出ており、多くの人々が行き交っています。見どころが多すぎてどこから手をつければ良いのか分からなくなってしまうほどです。
日本のブースもありました! 実はかなり探しました。日本のブースでは、日本文化と2020年に控えたオリンピックの開催をアピールしているようでした。青い法被が素敵ですね。人もかなり来ていたようで一安心です。日本ブースだけ誰も来ていなかったら悲惨ですからね。
メインステージを含めて歌や踊りなども披露されていました。こういう賑やかな場所にいると私自身もなんだか元気になってきます。さまざまな民族衣装で着飾った方々も多くいらっしゃいました。
ちなみに、メインステージの後ろにある建物が、だまし絵で有名なエッシャーの美術館になります。左側にエッシャー美術館の赤い垂れ幕が見えていますね。本来は、エッシャー美術館に直行する予定だったのですが、こんなイベントが開催されていては見逃せません!
お祭りを楽しんだ後、エッシャー美術館に向かいました。エッシャー美術館訪問後は、アムステルダムHS駅付近にとっていた宿にチェックインして、それからまたビネンホフ周辺に戻ってくるというかたちをとりました。
(参考)
エッシャー美術館(公式サイト)(日本語)
マウリッツハイス美術館で見たフェルメール作品に心が震える
この旅で一番期待していたといっても過言ではないマウリッツハイス美術館に到着しました。美術館はこぢんまりとした建物ですが、気品に満ちあふれています。マウリッツ伯爵の邸宅を改装したもののようです。
ニューヨークのフリックコレクションに行ったときと同じくらいドキドキワクワクを感じました。フリックコレクションもヘンリー・フリックの邸宅を改装して美術館としたという点で、マウリッツハイス美術館と親和性があるように思います。
この美術館には、あのフェルメールの有名作品が展示されているのです。日本からもたくさんのフェルメールファンがつめかけるほどです。どの作品も有名ですが『真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)』が特によく知られていると思います。
ほかにもレンブラントやルーベンスの作品が展示されています。マウリッツハイス美術館は必見です。
私は、この美術館にようやく来られたということを感慨深く思い、フェルメールの作品を一心不乱に眺めながら愉悦に浸っていました。
政治に関わる機関の集うビネンホフに歴史を感じる
マウリッツハイス美術館を出てすぐ右手にビネンホフがあります。この門はビネンホフに通じる門です。とても立派な門ですが裏門のようです。正門は反対側にあります。
ビネンホフは国会議事堂、総理府、外務省などの政府機関が集積された場所になっています。まさにオランダの政治の中心地ともいえる場所です。
門をくぐり建物に目をやると「Bnnenhof(ビネンホフ)」と書かれた銘板があります。私の目には銘板はもちろん、街路灯や雨樋さえオシャレに見えてきます。笑
左手には教会のような建物が建っています。建物はとても趣のある外観をしています。
なんともいえない味のある風景です。
この教会のような堂々とした建物は「リデルザール(Ridderzaal/騎士の館)」といい、国会議事堂になっています。
正面から見ると確かに教会にしか見えません。
ビネンホフに広がる中庭です。
ビネンホフの中庭を抜けて外側の通りへ移動すると、ホフ池と呼ばれる大きな池があります。
ホフ池の脇には色とりどりの旗が掲げられています。また、いくつものテントが並んでいるのが見えます。
夕暮れ時、デン・ハーグの街をあてもなく歩く
素敵な蚤の市
ホフ池の向こう側の並木道では蚤の市が開かれていました。大使館フェスティバルに続いて予想外のイベントに出会うことができました。楽しそうな場所には何かに引き寄せられるように行ってしまいます。
あるブースにはレトロな製品が並べられています。電源プラグがつながっているところを見ると、すべて使用できる製品かもしれません。こういうものに目がない方もたくさんいそうですね。
ほかにも木製のまな板やスプーンなどを売っているお店がありました。布製品を扱うお店から雑貨を扱うお店まで色々出店されていました。
たくさんのお店と大勢のお客さんでとても活気があります。見て回るだけでも本当に楽しいです。あっという間に時間が過ぎていきます。
お腹が減ったので小休止。大使館フェスティバルの出店でソーセージとパンを買ってみましたが、大正解でした。熱々のソーセージがものすごくジューシーであっという間に食べてしまいました。
近代的なエリア
今度は、ホフ池の西側にある大きな道路を挟んで反対側のエリアを散策します。今風のショッピングセンターがありました。こちらのエリアは歴史的建造物の多いビネンホフ周辺とは対照的です。
道路を挟んで左右にショッピングモールのようなところがあります。こちらのアーケードは、デ・パッセージ(De Passage)と呼ばれる商店街になっています。デ・パッセージはとても有名な場所のようです。ビネンホフから大通りを挟んですぐ近くにあります。
商店街は小洒落たショッピングモールといった感じになっています。お買い物が好きな方はかなり楽しめそうです。中にはアップルストアもありますよ。商店街の中にあるとは思えないほど、すごくオシャレな造りです。
(参考)
デ・パッセージ(公式サイト)(英語)
アップルストア(デ・パッセージ公式サイト内)(英語)