止水栓の先端のネジ(スピンドル)が固着して回せないことがあります。
そんなときには、専用工具を使って開閉を試みると動かすことができるかもしれません。
固着した止水栓のネジを外す
ネジタイプの止水栓の開閉
止水栓にはハンドルタイプのものとネジタイプのものがあります。また、ネジタイプには外ネジタイプと内ネジタイプがあります。いずれも右(時計回り)に回すと閉まり、左(反時計回り)に回すと開きます。
上の写真は外ネジタイプの止水栓になります。このタイプは内ネジタイプと同様にマイナスドライバーを使って止水栓の開閉作業を行います。
なぜ止水栓が固くなるのか?
止水栓は経年の劣化で錆や汚れが付着することによって、次第に動きにくくなってしまいます。また、内部のゴムパッキンが劣化していることもあります。
止水栓はほとんどのご家庭で長い間にわたって開閉されることなく、ほったらかしにされていることが多いものです。上の写真のように錆が浮いているものはきちんと動くか怪しいです。
ネジが固着している場合には、マイナスドライバーを使っても簡単には開閉できません。あの手この手で開閉できるようにしなければなりません。止水栓が完全に固着している場合は、止水栓の交換作業が必要になることもあります。
マイナスドライバーでは回せないことも
固着していない止水栓はマイナスドライバーで開閉することが容易です。
しかし、固着している場合はマイナスドライバーに渾身の力を込めて回してもびくともしません。
マイナスドライバーを横に寝かせて「てこの原理」で開閉を試みる方法はおすすめできません。ネジの駆動部が潰れてしまったりねじ切れてしまったりする恐れがあります。また、力をかけ過ぎると止水栓自体が壊れてしまう可能性もあります。
シリコンスプレーとゴムハンマーを使う
シリコンスプレーをネジの付け根に1滴ほど振りかけて、ゴムハンマーで何度か軽く叩いてから、開閉を試みるという方法もあります。また、しばらく(もしくは一晩)待ってみてもう一度回せるかどうか試してみるのもありです。ただし、トイレの水栓ならまだしも、キッチンのように食に関わるところで潤滑剤を使うことはおすすめできません。クレ556などは臭いがすることもあります。
この他に専用工具を使って開閉する方法があります。
水回り用の水栓ドライバーを使う
キッチンやトイレの水栓用に水栓ドライバーという工具があります。このドライバーは一般的なマイナスドライバーに比べて、ドライバーの先端が水栓の開閉に特化した形状になっています。価格も普通のドライバーと大して変わりません。
ブラウン(Brown)の「幅広ドライバーS(D-21)」は先端が15mm幅の特殊なドライバーです。製品のパッケージには「ストレーナー付逆止弁、流量調整栓、止水栓に」と記載されています。
このような水栓用のドライバーは大型ホームセンターに行くと一つは置いてあります。先端の幅が18mmの製品も他社から発売されています。
水栓ドライバーは複数の製品が販売されていますが、大型店舗でも一つ置いてあるかどうかというようなニッチな製品でもあります。
店舗では置いてあるものを買わざるを得ませんが、柄の長いものと短いものがある場合には必ず柄の長いものを選びます。使い勝手がまったく違います。新築のように水栓が簡単に開く場合は柄が短いタイプでも問題ありません。
また、類似の製品に先端が丸い形状をした「コインドライバー」という商品がありますが、そちらは止水栓に使用するものではないため間違えて購入しないようにしてください。コインドライバーはコイン(硬貨)で着脱する部品に使用します。たとえば、混合栓の泡沫器やカメラ用の三脚などに使用します。
水栓ドライバーは一般的なドライバーと比べると先端が幅広形状になっていて水栓用のネジにがっちりとはまります。力がしっかりと伝わります。
先端の幅が15mmや18mmの製品があります。内ネジタイプの場合は自宅の止水栓のネジ幅と対応していることを確認する必要があります。
このドライバーは家庭の工具箱に1本あると大変重宝します。
それでも、普通の水栓ドライバーでは止水栓を開け閉めできないこともあります。そういうときは電動工具が必要です。
水栓ドライバービットとインパクトドライバーを使う
普通の水栓ドライバーを使っても止水栓を開閉させることができない場合があります。そうした場合には電動ドライバーの使用を検討するしかありません。
インパクトドライバーで使用できる水栓ドライバービットが販売されています。今回はアネックス(Anex)の「水栓ドライバービット(AHF-1511)」という製品を選びました。
電動ドライバーや差替ハンドルに対応しています。差込軸径は一般的な6.35mm仕様です。日本製です。
インパクトドライバーを使うときは、力加減を上手く調整しないと止水栓を壊してしまう可能性があります。また、事前に水道の元栓の位置を確認されることを強くおすすめいたします。すべての作業は自己の責任に基づいて安全に行ってください。
このビットは先端の幅が18mm、全長が110mmという製品です。各部の寸法は上のパッケージ写真をご確認ください。
作りはしっかりしており、質感もひじょうに高いです。
先端の幅は18mmですが、傾斜があるため奥の方の幅が20mmになっています。
内ネジタイプの止水栓に使用する場合は寸法を予め確認しておく必要があります。
先端の厚みは1.5mmです。サイズが適合していればキッチンやトイレの外ネジタイプの止水栓で問題なく使えます。
このビットをインパクトドライバーに取り付けて使用すると一発でネジが回せました。これは本当に買って良かったと思えるアイテムです。
水栓ドライバーと水栓ドライバービットの比較
水栓ドライバーの先端は15mmと18mmでかなりの差があります。購入前にサイズが適合しているかどうかを確認しなければいけません。
水栓ドライバー(水栓ドライバービット)を使用する
インパクトドライバーと水栓ドライバービットを使ってネジの固着を直した後は、水栓ドライバーで軽々と開閉操作ができます。
水栓ドライバーは水栓専用のドライバーであるためマイナスドライバーよりも遥かに使いやすいです。これは工具箱にぜひ入れておきたいですね。
こちらは水栓ドライバー(15mm)を止水栓にあてがった状態です。実際に使用してみるとマイナスドライバーよりも力がしっかりと伝わっていることが分かります。
今回はキッチンの止水栓の開閉のためにインパクトドライバーと水栓ドライバービットを使用しました。キッチンの混合栓交換作業の全行程は以下のページをご覧ください。
止水栓の開閉がどうしても困難であれば水道業者に修理を依頼してください。ネットで格安をうたっている業者の中には悪徳事業者も数多く含まれています。また、郵便受けにチラシやマグネットを投函している業者も危険です。たくさんの被害が出ていますので、くれぐれもご注意ください。
地元で昔から店舗を構えている業者に依頼するほうが安全です。自治体によっては水道局に問い合わせることで修繕対応事業者を紹介してくれることがあるようです。