この時期であれば昔ながらの下町であっても防犯カメラの設置に難癖をつけられることはありません。何か言われたら巷で起こっている事件を例示して理解を求めてください。
自宅の玄関前に防犯カメラを取り付けることにしました。ご近所さんの高齢化にともなって、近隣に新しい住民が増えてきています。新しい人や若い人が増えることは決して悪いことではありませんが、一方でゴミの投棄や犬の糞の不始末などの問題が色々と起こっているようです。
とはいえ、家の前に防犯カメラを設置するのもどうかと思い、今まで実行に移さずにいました。しかし、建築業者が植木鉢を倒していったり、通行人が車にジュースをぶちまけていったりということがあり、ついにカメラを取り付けることにしました(どちらも当然敷地内に置いてあります)。
昔は屋外用の防犯カメラはとても高価で、ネットワークカメラ(IPカメラ)も屋内専用品がほとんどでした。それに、専用アプリが使いにくいという点でも問題がありました。
しかし最近では、Wi-Fiに対応した屋外用の防犯カメラが高機能かつ低価格で販売されています。ネットワークカメラ自体はかなり以前に購入したことがあり、利便性が高いということを十分に理解していました。
今回新たに導入する防犯カメラも、ネットワークカメラと呼ばれるもので、Wi-Fiもしくは有線でインターネットに接続して利用するものになります。Wi-Fiで接続する場合は、電源だけ確保できれば簡単に設置することができます。
このタイプのカメラは、昔のようにビデオなどの録画装置に接続して使うものではありません。外部ストレージに映像を保存するとともに、専用アプリを通して外出先からでも映像を確認することができます。また、動体検知機能を利用して人が通ったときにスマホにメッセージ出すことも可能です。
tp-link「TAPO C310」は低価格にもかかわらず充実の機能
tp-link「TAPO C310」の詳細
この防犯カメラは、tp-link社の屋外セキュリティWi-Fiカメラ「Tapo C310」です。「Tapo C310」は、2021年4月頃に発売されたモデルになります。その後の6月頃には「Tapo C310/A」という型番のモデルが発売されていますが、価格コムの口コミ情報を見る限りでは同じもののようです(箱のバーコードに「ver:2.0」とあるようなので、ファームウェア等が更新されたものかもしれません)。
このカメラは、高画質、動体検知と通知、防水など屋外設置の防犯カメラとして必要な機能が一通り揃っています。アレクサやGoogleアシスタントにも対応しています。
また、上位モデルといえる「Tapo C320WS」や「Tapo C325WB」が発売されています。
こちらは 2K QHD高画質屋外用カメラ にライトもついて夜間でもフルカラー撮影が可能になっています。安価な防犯カメラをお望みの方は「Tapo C310/A」、もう少し高性能な製品をお望みの方は「Tapo C320WS」を選ぶとよいと思います。
なお、tp-link社は無線LANのルーターや中継器などでおなじみのメーカーです。このメーカーの製品は大手家電量販店でも取り扱われています。中国の深圳に拠点を置いている会社で、2021年7月現在、ネットワーク機器(無線LAN機器)は10年連続世界シェアNo.1となっています。日本には「TP-LINK JAPAN」という日本法人が設立されています。
高性能低価格の防犯カメラはほとんど中国製!
中国製はどうなのかと訝しむ声もあると思いますが、防犯カメラ(監視カメラ)に関しては良くも悪くも中国製品が圧倒的なシェアをもっているという現状があります。
事実、監視カメラ市場は中国企業の「ハイクビジョン(HIKVISION)」と「ダーファ・テクノロジー(Dahua Technology)」だけで世界シェアの4割以上を占めています。ちなみに、ダーファ・テクノロジーのコンシューマ向けブランドがAmazonでよく見かける「Imou」というメーカーです。
ダーファ・テクノロジーが日本国内において事業展開を本格的に開始したようです。ダーファ・テクノロジーやDJIなどの中国企業は、米国商務省産業安全保障局(BIS)が公開しているEntity List(貿易上の取引制限リスト)に登録されています。
この報道後にTwitter等でちょっとしたトレンドになっていますが、正直に言って10年遅い反応という印象を受けます。家庭向け防犯カメラに関しては、日本の家電メーカー等が同等品を安価に提供できないことも大きな課題といえます。
世界シェア2位 中国セキュリティー会社が日本初上陸 監視カメラ技術や製品を公開(テレ朝news/Yahoo!ニュース)
ちなみに、2022年頃からアトムテック(ATOM tech) の防犯カメラが Tapo シリーズと並ぶ人気となっているようですが、こちらのカメラも中身は中国製と思われます。ソースは日経。レビューに日本製という記述が見られますが、製品ページには日本製とも中国製とも書かれていません。同じような高性能の防犯カメラを日本製として安く作ることは絶対にできません。
日本のメーカーではパナソニックが健闘しているものの、世界的なシェアはきわめて低い状況です。現状、製品は性能的にも価格的にも中国製と比べて圧倒的に劣っているように感じられます。今後に期待したいですね。
tp-link「TAPO C310」の機能と特徴
実売価格が5,000円前後(2022年1月時点)でありながら、高機能というところに特徴があります。
次の点がパッケージに記載されている主要な機能になります。
・有線・ワイヤレスネットワーク
・全天候型
・ナイトビジョン
・双方向通話
・ローカルストレージ(最大128GB)
製品と専用アプリは日本語に対応しています。中国製品によくある変な日本語ではなく、正しい日本語です。
動画は最高300万画素で撮影できますが、FullHD等に変更して録画時間を延ばすことも可能です。夜の撮影にも対応しています。
外出先から専用アプリを通してカメラにアクセスすることで、音や声を聞くことができます。また、スマホから呼び掛けて通話することもできます。ただし、カメラのマイクを通した音声はややノイズの混じったもので、電話のようにクリアには聞こえません。
公式サイトによると「PCから映像の視聴はできません。スマートフォンアプリTapoからのみ可能です」とあります。しかし、実際にはサードパーティ製アプリを使用することでRTSPライブストリーミングが利用できるようです。
(参考)
「Tapo C310」(tp-link公式サイトの製品ページ)
「Tapoを使用したRTSPライブストリーミングの利用方法」(tp-link公式サイトのQ&A)
撮影中の映像はmicroSDカード(別売り)に保存することができます。容量は128GBまでの対応となっています。
microSDカードはカメラ本体の底面に挿入口があります(後述)。メディアは繰り返しの記録と激しい環境でも耐えられる高耐久タイプを選んでおくと安心です。
カメラの仕様は次の通りです。「Tapo C310/A」も同様です。
型番 | Tapo C310(Tapo C310/A) |
動画解像度 | 300万画素(2304 × 1296) |
動画圧縮 | H.264 |
フレームレート | 15fps |
ビデオ ストリーミング | 3MP |
ナイトビジョン | 850 nm IR LED(最大約30m) |
音声 | 双方向(内蔵マイク&スピーカー) |
セキュリティ | SSL / TLS 128ビット AES暗号化 |
ワイヤレス セキュリティ | WPA / WPA2-PSK |
無線規格 | IEEE 802.11 b/g/n, 2.4 GHz, 2T2R |
有線接続 | RJ45ポート |
電源ケーブル | 3m |
アダプター入力 | 100-240 V, 50/60 Hz, 0.3 A |
アダプター出力 | 9.0 V, 0.6 A(DC電源) |
防水規格 | IP66 |
動作環境温度 | -20°C~45°C |
保存環境温度 | -20°C~70°C |
動作環境湿度 | 10%~90%RH(結露注意) |
保存環境湿度 | _5%~90%RH(結露注意) |
microSDは別売です。壁面やパイプに固定するための金具等も付属していません。
取り付けに必要なものは以下をご覧ください。どの防犯カメラを取り付けるにしても参考になります。
同梱物一覧
小さな箱の中に色々なものがまとめて入っています。梱包は比較的簡易なものになっています。
こちらが「Tapo C310」の同梱物一覧です。カメラ本体以外に、電源アダプター、簡易説明書、コネクタカバー、止水パッキン、ビスとアンカーなどが含まれています。
簡易説明書などペラペラの紙も数枚入っています。カメラをビス留めする場合は下穴用のシールを使います。
あとはmicroSDカードを購入することで映像を保存することができます。動作確認だけであればmicroSDカードなしでもOKです。
「かんたん設定ガイド」には付属品と外観の説明、LEDの説明、簡易な設定の流れが記載されています。
有線LAN接続と電源コード接続の際に使用する防水用のパーツが数点あります。また、カメラを壁に直接固定するときに使用するビスとアンカーが3セット付属しています。
本体のデザイン
C310の全景
こちらがカメラ本体です。壁面取り付け用の台座から出ているケーブルは取り外すことができません。
側面には赤いラインが入っています。また「Tapo」というロゴが左右にあります。
カメラ部
黒い部分がカメラのレンズがある正面となります。カメラ本体は手のひらに載る程度のコンパクトサイズで、マグカップと同じくらいの大きさです。
カメラのレンズは中央部分にあります。レンズの左右にはナイトビジョン用の赤外線LEDがあり、カメラの下にはステータス表示用のLEDがあります。
レンズ面への傷防止のため、カメラの設置作業が完了するまで正面のビニールは付けたままにしておきます。
取付台座部
壁面取り付け用の台座は円形になっており、ビス3本で固定することができます。有線LANと電源コードを接続するためのケーブルが台座の奥から出ています。
有線LANを使わない場合もコネクタ部を外すことはできません。したがって、ケーブルが断線しても交換することはできません。その場合は買い替えになります。
ケーブルを逃す溝が背面に1箇所あります。カメラを壁面に取り付ける場合は、そこからケーブルを逃がしてやる必要があります。取り付け前に配線のことをよく考えてください。
アンテナの可動範囲
カメラ本体の左右にWi-Fi用のアンテナが1本ずつあります。これらのアンテナは前後に可動します。しかし左右には動きません。
アンテナは前後に動かすことができます。このアンテナは、側面が突出しているデザインであるため、取り付け時に壁や柱に干渉しないかどうかを検討する必要があります。
カメラの可動範囲
カメラの角度は根元のネジを緩めることで、ボールジョイントを動かしながら微調整することが可能です。
ただし、カメラの角度は左右ともに完全に90度にすることはできません。天井に取り付ける場合も同様に、台座とカメラ本体を平行にすることはできません。やや傾斜が付く状態で設置することになります。
どうして上下左右それぞれ90度にセットすることができないかというと、ケーブルがボールジョイントの奥側から出ているため、ボールジョイントを90度に折り曲げようとすると内部のケーブルと干渉して、ある位置でそれ以上曲げることができなくなるのです。ジョイント部を無理矢理に曲げるとケーブルが断線する恐れがあります。
microSDカードの挿入口
こちら側がカメラの底面になります。一番手前の穴にマイク、中央にmicroSDカードスロット、奥にスピーカーがあります。カメラ底面は雨に当たらないように常に地面側に来るように設置しないといけません。
microSDカードの挿入口とリセットスイッチは、本体の底面のフタをあけたところにあります。左右のネジは精密ドライバーの0番を使います。これらのネジは固くてとてもなめやすくなっていますので、ドライバーの先端を駆動部に垂直に強く押し当てながらゆっくりと回してください。
使用するmicroSDカードは、「高耐久」や「ドラレコ対応」の製品を選んでください。高耐久の製品は連続書き込みや高温に強く設計されています。信頼性の高い製品が絶対におすすめです!
今回は「Transcend 高耐久 microSDカード 128GB UHS-I U1 Class10 ドライブレコーダー セキュリティカメラ用 SDカード変換アダプタ付 安心の2年保証(TS128GUSD350V-E)」を用意しました。
とはいえ、工業製品はどれだけ高い製品を購入しても壊れることがあります。記録媒体はその他の製品と比べても故障しやすいように感じます。そのため、正しく保存できているかどうかを定期的に確認しなければなりません。
防犯カメラ各部のサイズ(実測値)
カメラ全体の寸法は公式サイトによると142.3 x 103.4 x 64.3 mmとなっています。しかし、各部の細かな寸法は記載されていません。細かい寸法が分かっていると、購入前に取付位置を決めたり、取付用の部材を探したりすることもできると思います。
そこで、ここからは実測値を掲載します。寸法に多少の誤差があることをご了承ください。
本体のサイズ
カメラ本体は、レンズから背面までが約75mm、高さが約65mmとなっています。
台座部のサイズ
カメラの背面から台座までの長さは約70mmあります。台座の直径も約70mmです。
アンテナのサイズ
アンテナは三角形のような形状をしており、上下左右で長さが違います。アンテナの寸法は、外側の部分が約75mmで、本体側の部分が約85mmです。
厚みは最大で約20mmです。アンテナを真上に立てたとき、本体側面から突出している部分は、アンテナの付け根のところで約24mm、アンテナの先端部で約45mmとなっています。
したがって、取り付け部の左右に障害物があるとアンテナが干渉する可能性があります。
イーサネットケーブル用コネクタのサイズ
有線LANコネクタは付け根から先端まで約43mmです。先端の直径は約15mmで、中央の一番太いところが約20mmです。
有線LAN使用時に使う防水カバーの長さは約61mmです。キャップを取り付けた状態でも長さは同じです。カバーもキャップも直径は約20mmです。
電源コード用コネクタのサイズ
電源用のコネクタの長さは約41mmです。電源コードとカメラ側のコネクタを接続すると約65mmになります。
電源コードをコネクタに接続するときに、付属の止水パーツを取り付けます。シリコン製のパーツは多少伸びますので、プラグの先端をグッと挿し込みます。それからプラグとコネクタを接続します。
電源アダプターのサイズ
付属のアダプターは割とコンパクトな作りになっていますが、それでも配線を考えると邪魔になります。サイズを事前に確認して、適切な大きさのウオルボックス/プラボックスを用意します。
電源コードの長さは約3mです。しかし、こちらの電源コードは屋内専用のため、屋外では使えません。そのため、ウオルボックス内にアダプターを設置して外の配線は防水タイプの延長ケーブル(防雨延長コード)を使用することになります。
電源アダプターの奥行きは、プラグの先端からアダプターの背の部分までが約63mm、プラグの付け根の突出部からアダプターの背の部分までが約45mm、突出部を除いて計測すると約40mmとなります。
アダプターの本体部分を対角線上に測ると約65mmあります。アダプターの厚みは約25mmです。
付属ビスとアンカーのサイズ
カメラを壁面に直付けする場合は、付属のビスとアンカーが使えます。それぞれ3本ずつ入っています。ドリルで穴を開けてアンカーを打ち込んでおくことによって、ビスがしっかり効くようになります。
ビスを木材に打ち込む場合はアンカー不要です。また、金属支柱への取り付けはドリルビスが使いやすいと思います。
機能性が高く屋外用のカメラとしてはとても優秀
「Tapo C310・ C310/A」のポイント
「Tapo C310・ C310/A」は自分で取り付けられる簡易な防犯カメラとして、もっとも有力な候補に挙がる製品といえます。おすすめポイントがいくつもあります。
反対に注意点もあります。
とはいえ、マイナス点を加味しても良いところが勝っています。実売価格5,000円台(2023年1月時点)の製品ということを考えるとかなりおすすめできます。
2024年10月時点でおすすめの防犯カメラ
2024年現在、防犯カメラを一般家庭にDIYで設置する場合は、このページで紹介している機種の後継モデル/上位モデルを中心に検討することになります。
2024年10月時点では、「Tapo C310・ C310/A」よりも性能の高い「Tapo C325WB」を選んでおけば間違いありません。それ以外では、パンとチルトに対応した「Tapo C520WS/A」と「Tapo C510W」もおすすめです!!
いずれの防犯カメラも「Amazon 販売・出荷」を選べます。優れた性能であるにもかかわらず、価格は現時点で1万円前後です。お安く手に入れたいという方はセールの時期が狙い目です。Tapo の防犯カメラは大きなセールでは大幅に値下げされていることが多い印象です。