ここでは、私が自作PCの電源ユニットに採用した玄人志向の「KRPW-BK650W/85+」を紹介しています。
この電源は、「80PLUS BRONZE」取得の安価なモデルでありながら、プラグイン仕様が採用されているところに特徴があります。お手頃な電源ユニットとして評判が高く人気もあるようです。
エントリーモデルにしては充実した内容の電源ユニット
玄人志向の「KRPW-BK650W/85+」は「KRPW-BK」シリーズの製品です。電源容量は450W、550W、650W、750Wと100W刻みで4モデルがラインナップされています。
450Wと550Wが比較的使いやすいと思いますが、私の購入時には650W以外は売り切れが続いていました。電源ユニットが選べる状況でない中でもっとも使いやすそうなモデルを選んだ結果、この製品になりました。
電源ユニットの概要と特徴
「KRPW-BK650W/85+」はintelの旧CPUである「Kabylake/Skylake/Haswell」とAMD「Ryzen」の各シリーズで動作が確認されています。電源容量に問題なければ新しいCPUでも問題なく動作すると思われます。
安価なモデルには珍しくケーブルがプラグイン仕様となっています。また、1次側2次側のアルミ電解コンデンサに日本メーカー製105℃コンデンサが採用されており、さらに大型のヒートシンクが用いられています。
この電源は「80PLUS BRONZE」取得の製品であり、電源の「80PLUS」という記載からもわかるように、交流から直流に変換する際の変換効率が80%以上であることが保証されています。
プラグイン仕様とフラットケーブルの採用
この製品はセミプラグイン方式が採用された電源ユニットの中で最も安価なモデルとなっています。
マザーボード用の電源コネクタとCPU用の電源コネクタの2本のケーブルが電源ユニットに直付けされています。これらのケーブルは絶対に使用するものであることから、直付けでもまったく問題ありません。なお、これらはメッシュ素材のケーブルとなっています。
PCI-EやSATAなどのケーブルは必要に応じて着脱することができます。いずれもフラットタイプの薄型ケーブルになっているため、装着時も邪魔になりにくく目立たない形で配線することが可能となっています。
実際に使ってみると想像していた以上に便利です。私のパソコンでは着脱式のケーブルは、グラフィックボードの補助電源用にPCI-E1本だけを使用しています。ケーブルの長さも適切でミドルタワーケースの中でも綺麗に配線することができます。
本体直付ケーブルは「24/20ATXケーブル(60cm)」と「4ピンATX12V/8ピンEPS12V(60cm)」の2本です。
付属プラグインケーブルは、「PCI-E」1本、「SATA」2本、「PATA」1本となっています。いずれのケーブルもフラットケーブルであり配線しやすく、また配線時に目立ちにくくなっています。
PCI-E用のフラットケーブルは、6+2ピンPCI-Eの電源コネクタが二つ付いています。これらの電源コネクタは、グラフィックボードの補助電源用に使用します。GTX1660であれば8ピンの電源コネクタを一つ使用します。
ケーブル長は55cm+15cmです。ATXのマザーボードをミドルタワーケースで使用していますが、先端側の電源コネクタと中間部の電源コネクタのどちらも問題なく配線できました。
SATA用のフラットケーブルは同内容のケーブルが2本付属しています。それぞれ三つの電源コネクタが付いています。ケーブル長は、50cm+15cm+15cmとなっています。
PATA用のフラットケーブルはHDDやFDDに電源を供給するためのものです。このケーブルにはHDD三つとFDD一つに電源を供給するための電源コネクタが付いています。ケーブル長は、50cm+15cm+15cm+15cmとなっています。
コネクタ形状はこちらの図を見ると分かりやすいと思います。ペリフェラル電源やSATA電源など使用頻度の高い電源コネクタが用意されています。一般的なPC構成でまず困ることはないでしょう。
電源ユニットの仕様と性能
電源出力の詳細は上記の表をご覧ください。
この電源には種々の保護機能が搭載されており、安全性が高められています。
ファンコントロール機能が搭載されているため、出力電力に応じてファンの回転数が上がっていくようになっています。電源ファンの回転数は、出力電力が300W程度で1000rpm程度です。
実際に使用していても電源ファンの静音製はひじょうに高いと感じられます。普通に使用している分には騒音はまったく気になりません。それよりもCPUファンやケースファンの音が目立ちます。
また、現在のところコイル鳴きはまったくみられません。
外形寸法は150mm×140mm×86mmとなっています。一般的な電源のサイズでミドルタワーケースに難なく収まります。
着脱式のフラットケーブルは想像以上に便利で取り回しも良い
電源ユニット本体と付属品
こちらが電源ユニットの本体と付属品です。
付属品は電源ユニットの電源ケーブルと各種プラグインケーブル(フラットケーブル)および固定用のネジとなっています。
電源ユニットは値段の割にしっかりとした作りになっています。直付けのメッシュケーブルも可動性に問題はありませんでした。
ファンの隙間から内部を覗いてみるとコンデンサとヒートシンクが取り付けられていることが確認できます。青いコンデンサが日本製のコンデンサと思われます。
昔の安い電源ユニットは内部パーツが歪んでいるようなことがあったのですが、この製品はぱっと見た限りではそのような問題はないようです。
背面に電源ケーブル用の差し込み口と電源スイッチがあります。
電源ユニットには型番と性能を示したシールが貼り付けられています。製品は中国製とあります。製造年月を示すシールはありませんでした。
使いやすくて目立たないプラグインフラットケーブル
プラグインケーブルの差し込み口が四つ並んでいます。私は一番左側のPCI-Eのみを使っています。後にHDDを増設するときにSATAの電源ケーブルを使用する予定です。
絶対に使用するケーブルは電源ユニットに直付けとなっています。ケーブルはフラットケーブルではなく丸みを帯びたメッシュケーブルです。極端な角度に折り曲げることはできません。
マザーボード用の電源コネクタは、「24/20ATXケーブル(60cm)」ですが、20ピンと4ピンに分離することができるため、一般的なマザーボードの使用で困ることはありません。
CPU用の電源コネクタも「4ピンATX12V/8ピンEPS12V(60cm)」ですが、4ピンと4ピンに分けられるため、必要なものだけを挿すことができます。
玄人志向「KRPW-BK650W/85+」の総合的な評価
2020年6月の購入時点では、電源ユニットの売り切れが続出しており、製品を選べる状況にありませんでした。最初はAntecの550Wあたりを狙っていました。しかし、在庫のある製品の中から電源容量と価格を見た上で、玄人志向の製品を選びました。電源容量としては550Wか600Wもあれば十分なのですが、購入時は650Wのものしか手に入りませんでした。
この製品の特徴は、安価な電源ユニットの中で珍しくプラグイン仕様となっている点です。実際に使ってみると、やはりプラグインタイプは便利だと再認識しました。
また、電源ユニットの静音性が想像していたよりも高かったことは嬉しい誤算でした。PCケースは机の下に置いていますが、電源ファンの音は聞こえません。あまりにうるさければ買い替えることも覚悟していましたが、その必要性はなさそうです。
玄人志向の「KRPW-BK650W/85+」は総合的にみて、コストパフォーマンスの高い製品といえます。