洗濯機の防水パンを撤去した後に、防水パンがビス留めされていた床に穴が空いたままになっていました。鉛筆サイズの穴が空いているとかなり気になります。
そこで今回は、安価な「パテ」と100均の「キズ隠し」を使って、ビスの穴を補修するとどうなるかを実際に試してみました。フローリングに空いた小さな穴や傷の補修をお考えの方はぜひ参考にしてみて下さい。
フローリングの穴を補修する前に
床の補修作業に必要なもの
フローリングの穴を補修する方法はいくつもあります。ちょっとした穴の補修で業者をわざわざ呼んだり、フローリングを張り替えたりすることは費用的にも時間的にも大変です。
そうしたことから、パテで穴を埋めてから色を塗って補修するという方法が誰でも気軽にできる現実的な方法といえます。
・パテ(床の穴埋めに使用)
・養生テープ/マスキングテープ(パテの作業に使用)
・カッターナイフ(パテの切削に使用)
・サンドペーパー(パテのやすり掛けに使用)
・キズ隠し(床の塗装に使用)
これら(太字のもの)を全て揃えても1,000円未満で済みます。
その他、穴の周囲にバリがある場合は、ドリルやリーマーなどがあると便利です。カッターやサンドペーパーで代用できることもあります。また、パテ埋め作業に割り箸や爪楊枝があると重宝します。
床の補修に対応したパテ
パテは床の補修に対応した製品を選びます。今回はセメダインの「木工パテA(ラワン)」を選びました。
セメダインの「木工パテA」やコニシの「ウッドパテ」はホームセンターやネット通販で簡単に手に入る定番の製品です。コニシのパテについては次の記事が参考になります。
どちらも床の補修に対応しています。また、どちらの製品も「ラワン(茶色っぽい色)」と「タモ(白っぽい色)」が用意されています。
しかし、どちらの製品を使うにしても、フローリングに使用する場合は後から色を合わせる作業が必要になってきます。タモ調は乾燥後にベージュ色に仕上がりますし、ラワン調も乾燥すると比較的明るい色になります。
このようなパテは木部の傷や割れ目の補修に使用することができます。
パテは乾燥後の塗装、切削加工、ネジ/釘打ちなどにも対応しています。速乾性があり肉やせも少ないという仕様のためひとつあるととても重宝します。
ただし、耐水性がないために水回りで使用する場合は「エポキシパテ」を使用する必要があります。
パテの使用方法は穴や割れ目に絞り出してヘラで埋め込むかたちになります。パテにはヘラが付属しています。誰でも簡単に使用できるようになっています。
パテを削るためのカッターナイフ
パテの形を整えるときにカッターナイフが必要になることがあります。なくてもサンドペーパーで削れます。床を傷つけないために養生テープも用意する必要があります。養生テープも100均にあります。
カッターナイフは職人さんが使っているような製品があるとDIYが捗ります。
パテを削るためのサンドペーパー
サンドペーパーはパテを削って床と同じ高さに揃えるために使用します。番手は荒目から中目あたりを用意しておくと便利です。床の傷防止のための養生テープの使用をおすすめします。
ダイソーやセリアなどの100円ショップで各番手がセットになったものが販売されています。床の補修以外にDIYの予定がなければ安価な製品で十分です。
セメダインのパテの説明では120番と320番が推奨されています。近しい番手であれば何でも構いません。
キズ隠し
こちらはダイソーで販売されている「キズ直し棒」という製品です。クレヨンのようになっています。色調は「ナチュラル系」と「ダーク系」の2種類があります。
キズ隠しは色を混ぜながら使用するため、余裕があれば2種類とも手に入れておくと床と近い色に調整できる可能性が高まります。
問題は店舗ごとに製品の取扱いがまったく異なるため、お近くの店舗に在庫があるかどうかは不明ということです。
同様の製品はセリアでも販売されています。また、有名メーカーの製品がホームセンターやネット通販で多数販売されています。
特徴と使用方法です。傷が深い場合は薄めの色を使って、キズが浅い場合は少し濃いめの色を使うと説明されています。
キズ直し棒は調色できます。また、使用後にワックス掛けも行えるようです。
左側の3本が「ナチュラル系」で右側の3本が「ダーク系」になります。おそらく自宅のフローリングと同じ色はないはずです。色が似ていても微妙に違います。だから複数の色を混ぜ合わせて、床と近しい色に調整する必要が出てきます。
右下の1本は先端が折れていることに気づかずに購入してしまいました。店頭では芯が折れていないかどうかパッケージをよく確認してください。
フローリングの穴の補修作業
空いている穴を確認する
床に空いた穴を確認します。穴のサイズは鉛筆の太さと同じくらいです。この穴は、洗濯機の防水パンを床に固定するために開けられたもので、ビスが効きやすくするために樹脂製のアンカーが打ち込まれていました。そちらのほうは防水パン撤去時にドリルで削り取っています。
穴の周囲にバリがある場合はパテ埋めする前に切除しておきます。この作業には、ドリル、リーマー、カッターナイフ、サンドペーパーなどが使えます。お家にあるものを工夫して使ってください。
必要なものを準備する
穴の大きさに応じて、付属パテ以外に割り箸や爪楊枝などがあると便利です。穴が深かったり歪な形状であったりするとパテがしっかりと奥まで入りません。そういうときにパテを爪楊枝で押し込んでやります。
実際のパテ埋め作業
フローリングの穴は四つ空いていますが、ここではその内の二つを取り上げて見ていきます。
複数の穴を埋める場合はもっとも目立たない箇所から作業を進めるのがよいと思います。
フローリングの穴(A)のパテ埋め
パテをこんもりと盛っていきます。パテは床とぴったりにするのではなく、乾燥後に少し凹むことを考慮して厚めに塗ります。
ただし、穴が深い場合は1度に塗ってしまわずに複数回に分けてパテ埋め作業を行います。パテを少しだけ塗って乾かすという作業を繰り返します。
また、隙間が空いているところがないようにヘラで調整したり爪楊枝で押し込んだりしておきます。上の写真では穴の右端に隙間がある状態です。そこもパテでしっかりと埋めます。
パテが完全に乾燥した状態です。パテがカチカチになっています。
この時点で中央部が床よりも凹んでいるといったことがあれば、パテ埋め作業をもう一度行います。
パテ埋め作業に問題がなければ、上部を削り取ります。削りすぎるとやり直しになってしまいますので、慎重に作業を進めます。最低限の養生も必要です。
カッターの使用が難しい場合は、この工程は飛ばしてやすり掛けを行ってください。パテはサンドペーパーでも簡単に削ることができます。
カッターナイフの取扱いには十分ご注意ください。
最初は荒目の番手で削ると作業がとても捗ります。サンドペーパーの番手は途中で細かいものに切替えていきます。そして床と高さを比べながら慎重に削ります。
やすり掛けは床と面一になったら終わりです。
削りかすを取りながら何度も確認しないと削りすぎてしまいますので注意が必要です。
パテ埋め作業が完了しました。指で撫でると高さが揃っていることが確認できます。
他の穴も同様に埋めていきます。
フローリングの穴(B)のパテ埋め
パテを盛ってヘラで調整します。
次の日になると完全に乾燥してカチカチになっています。
穴の周りに養生テープを貼り付けます。しっかり養生しておくとパテの切削作業で床を傷つけにくくなります。
パテの上部をカッターで削り取ります。
カッターナイフの取扱いには十分ご注意ください。
荒い番手でやすり掛けを行います。
削りかすは掃除機で何回も吸って高さを逐一確認します。
指で撫でても段差が分からないほどに仕上がっています。
ただ、パテ埋め作業だけではフローリングと色味が違いすぎていて、遠目から見てもすぐに分かってしまいます。
床と色調を合わせる
パテを塗っただけでは綺麗に仕上がりません。パテ埋め作業の次はキズ隠しを使って色を誤魔化す作業を行います。
色を組み合わせながら塗り進める作業を行いました。ダイソーの「キズ直し棒」を使用した床の写真を見てください。
フローリングの穴(A)の色塗り
上の写真は色を塗り終えた穴を拡大したものです。
これを見て「あまり綺麗になっていない」と感じた方もいると思います。キズ隠し系の安価な製品ではこのあたりが限界だと思ってください。私は細かい作業には自信があります。ここまで色を塗るのに30分以上は軽く掛っています。それでも、このくらいの仕上がりです。
そもそも、床と防水パンを置いていた箇所との境目の色合いがまったく違っています。その点が色合わせをより難しくしてしまっているのです。
一応、何度も色の組み合わせを変えて塗り直しました。塗り直すときは細かい番手のサンドペーパーを掛けてやると色をある程度落とせます。
こちらが数十センチ引いた写真です。
先ほどの写真のように間近で見ると確かに粗が目立ってしまいますが、遠ざかるにつれて補修箇所が分かりにくくなっています。立った状態で床を見るとほとんど分かりません。
フローリングの穴(B)の色塗り
こちら補修跡はもう一つの穴を拡大したものです。
木目が強いところは色の調整が難しい印象です。こちらも30分以上かけて調整を重ねましたが、このあたりが限界でした。
こちらは数十センチ離れても何となく分かります。しかし、立った状態で見下ろすとかなり分かりにくくなっています。
念のために、補修したことを知らない人に補修跡を探してもらいましたが、具体的に指摘するまで気がつきませんでした。
フローリングの穴を補修した感想
キズ隠しを実際に使ってみるといくつかの問題があることが分かりました。それは、パテやフローリングの上に色が乗りにくいという点、そもそもクレヨンの色味がフローリングに合っていないという点などです。
そうはいえど、床に屈んで観察しないと判別できない程度には仕上がっていることから、簡易的な補修という意味では一定の成果があると結論づけても問題ないといえます。
これ以上を望むのであれば補修方法自体を考えなおす必要があります。たとえば、パラフィンワックスを電気ゴテで溶かして埋め込むタイプの補修材を使ったり、専門業者に補修を依頼したりすることを検討しなければいけません。しかし、前者は多少なりとも技術が必要となり、後者はそれなりの費用を要するというデメリットがあります。
そういうわけで、目立たないところであれば自分で簡単に補修しておく程度で十分ではないでしょうか。なお、色の調整についてはDIY経験よりも美術の才能が必要です。最初から色の付いたパテを使うという手もあります。