一般的に電子機器やメガネにはさまざまな規格の特殊ネジ・精密ネジが使用されています。ノートパソコンやスマートフォンを分解するには、使用されている特殊ネジに対応した精密ドライバーが必要になります。
特殊ネジは同じ形状でも色々なサイズがあるため、種類の豊富な精密ドライバーセットを用意しておくと重宝します。
しばらく前に、アマゾンのセールを利用して新しい精密ドライバーセットを注文してみました。これが思いのほか良い製品だったので紹介します。購入時は1,900円程度でした。2023年2月20日時点ではセールで1,751円になっています!
精密ドライバーセットはビットの多いものが便利
特殊ネジにも対応したビットが複数付属している精密ドライバーセット
特殊精密ドライバーセットは各社から様々な製品が販売されています。実際に精密ドライバーセットをアマゾンで検索すると、中国の会社が販売しているものを中心に数多くの製品が表示されます。メーカーや発送国を気にしないのであればたくさんのビットが付属して価格も安い製品が選べます。
しかし今回はそういった製品を除外して、「アマゾンが販売・発送」で購入できる製品を選ぶことにしました。該当する製品が検索結果にいくつかでてきます。
その中でも特殊ネジに対応したセットが、有名メーカーから販売されています。主要な製品を以下に列挙します。中国メーカー以外であれば、これらの中から選ぶことになります。セット内容を比較してみてください。
Vessel(ベッセル)
・「スマホ修理用セット」
・「特殊精密ドライバーセット」
E-Value(イーバリュー)
・「精密ドライバーセット EPS-670」
・「マルチドライバーセット ERD-140」
ANEX(アネックス)
・「精密ドライバー 特殊 Y型 5溝 5本組(スマートフォン)」
・「精密ドライバー 特殊 5本組(携帯電話)」
・「精密ドライバー 特殊 6本組」
Amazonベーシック
・「ドライバーセット 電子機器修理用 32ピース」
これらの製品は、精密ドライバーの本数と組み合わせがまったく違うので、自分の用途に合っているかどうかを確認した上で選ぶ必要があります。色々な製品を比較した上で最終的に付属ビット数が多くて価格が控え目であるAmazonベーシックの製品を選びました。
Amazonベーシックの精密ドライバーセットはビット24本にピンセット等が付属する32点セットと、ビット10本と付属品を合わせて17点のセットが販売されています。Amazonベーシックのセットは32点セットほうを必ず選んでください。価格もほとんど変わりません。
ちなみに、この製品しか注文しないと簡易梱包で届けられると思います。今回は他の嵩張る商品と一緒に注文したので段ボール箱に入って届きましたが、それでもパッケージの右下の部分が破れていました。そういうところが気になる方はご注意ください。
箱が少し破れていました(写真左上の部分)が中身は無事でした。ドライバーセットがビニールに包まれて入っています。
こういう製品は「ケースがひび割れていた」というレビューもあるので、気になる方は最初にチェックしておきましょう。ただし、ケースはおまけのようなもので、プラの質感もよくありません。擦り傷等は普通に入っているものと思ってください。
精密ドライバーがあると何ができるのか?
精密ドライバーを持っていると電子機器の分解や修理、眼鏡フレームの調節などができるようになります。パソコンやスマホは、中を容易に開けられなくするために、特殊なネジが採用されていることがほとんどです。
そのようなネジは100円ショップの精密ドライバーセットでは開けることができません。一般のご家庭にある精密ドライバーセットも、多くの場合に「+」と「-」しか入っていません。
精密ドライバーは、主として電子機器の分解、修理、整備等に使用することができます。
・ノートパソコンの蓋を開ける
・ノートパソコンのパーツを交換する
・ノートパソコンのバッテリーを交換する
・パソコンのHDDを分解する
・パソコンのグラフィックボードを分解する
・マウス等のPC周辺機器を分解する
・MacBook / MacBook Air / MacBook Proの蓋を開ける
・MacBookシリーズのバッテリーを交換する
・タブレットを分解する
・オーディオ機器を分解する
・カメラを分解する
・Androidスマートフォンのケースを開ける
・Androidスマートフォンのバッテリーを交換する
・iPhoneのケースを開ける
・iPhoneのバッテリーを交換する
・任天堂Switchの本体を開ける
・任天堂Switchのコントローラーを開ける
・その他の家電製品を分解、修理する
・眼鏡のフレームを調節する
・腕時計の電池を交換する
・その他DIY用途
Amazonベーシックの精密ドライバーセットの概要
この製品はAmazon Basicsブランドのドライバーセットです。種々のビットと付属品がセットになっています。ビットはクロームバナジウム鋼製で耐久性が高く、また携帯性に優れたケースに収納されています。
ビットの種類は、プラス、マイナス、トルクス、六角、トライポイント、ペンタローブ、トライアングルなど、使用頻度が高いと思われるビットが計24本含まれています。磁気ビットドライバーには回転キャップが付いるため、とても回しやすくなっています。
また、ビットのサイズがきちんと表示されており、正確なビットの選択が容易になっています。全体的にみて、手軽に利用できる特殊ネジ対応の精密ドライバーセットといえます。
精密ドライバー等が赤×黒×透明のプラスチックケースにコンパクトにまとめられています。「Amazon basic」のロゴがケースの下部に小さく入っています。
透明の部分には擦り傷が入っていますが、そういうものだと思ってください。ケースの素材は100均のおもちゃのようなものをイメージしておいてください。神経質な方は高級品を選びましょう。
ケースの右側にロックが開け口があります。
こちらがケースの裏面です。ケースのデザイン自体は悪くありません。片手で持てるコンパクトなケースです。
中央のヒンジは弱々しい作りなのでぶつけないようにしないといけません。ドライバー本体やピンセットの部分にはプラスチックのカバーが付いています(これは開封後に処分してもよいと思います)。
24本の付属ビットと各種ツールはケースにしっかりと収められているため、逆さにしても落ちることはありません。
Amazonベーシックの精密ドライバーセットの付属品
このセットは、アルミニウム製精密ドライバー、4×75mm延長バー、ミニてこ棒(大小)、ピンセット、吸引カップ、三角開口ピック、SIMカードトレイオープナー、24×4mm標準ビットが含まれています。
このセットだけでも、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、眼鏡、カメラ、腕時計などの多くの製品の分解と修理に使用することが可能です。しかし、製品によっては対応していないものがあるかもしれませんので、対象物にどのような特殊ネジが採用されているかについて事前に調べておくことが必須といえるでしょう。
種々のビットがケース左上に格納されています。ビットの形状とサイズがホルダー部に白で刻印されているため視認性が高く、ビットを素早く探すことができます。ただし、奥のビットは上から覗き込むようにして確認する必要があります。
ビットホルダーはこのように引き起こすことができます。その上でビットは先端を摘まんで上に引き上げるようにして取り外します。ビットを抜くにはやや力が要ります。後のビットで指をつかないように注意してください。
ケースのフタを閉めるときは、ビットホルダーを横に寝かせてからフタを閉めます。
すべての付属品をケースから取り出してみました。
精密ネジに対応した24本のビット
付属ビットのサイズは24×4mmです。ビット自体に磁力はありません。
標準ビットの種類は、アマゾンのページに記載された情報によれば、PH000、PH00、PH0、PH1、SL 1mm、SL 2mm、T2、T3、 T4、T5、T6、T8、T10、Tor×タンパープルーフTT7、ヘックス 1.5mm、He×2.0mm、トライポイントY000、Y00、Y0、ペンタローブ 0.8、0.8、1.2、1.5、トライアングル TA27となっています。
iPhoneやMacBook Airを開けることができます。ただし、どの製品もたくさんの機種が発売されているので、自分の製品が開けられるかどうか予め確認しておく必要があります。「製品の型番」+「ネジ」で検索をかけてみてください。人気の製品は既に誰かが分解や修理をしています。
とにかく、これだけのビットがあると色々な作業で困ることがないと思います。必要と思われるドライバーを1本だけ買うよりも、こういうセットを用意しておくほうが後々便利です。ビットセットを所持しておくと、サイズが違っても一回り大きいビットや小さいビットに差し替えて対応することができます。
念のためにすべてのビットを目視で点検してみましたが、先端が潰れていて使えないといったものはひとつもありませんでした。ビットの質感は値段なりといったところでしょうか。しかし、電子機器を個人的に分解、修理、整備するといった用途では十分ではないでしょうか。
高品質の精密ドライバーが必要ならアネックスの5本セットまたは6本セットを買って、後は必要なものを単品で注文するという方法があります。アネックスの製品は日本製です。
ビットは六角軸ですが、一面にサイズの刻印があるためバラバラになっても元どおりケースに収めることができます。
錆留めと思われるオイルが六角軸の部分に付着しているため、紙や布の上にそのまま置くと染みができる恐れがあります。ご注意ください。
ドライバー本体は質感が良くて回しやすい!
ビットはドライバーの先端に挿し込んで使用します。ビットの六角部分をドライバーの先端にあてがうと磁石に引き寄せられてパチンと止まるようになっています。当然、下を向けてもビットが落ちることはありません。電子機器の基板上での作業も安心です。
こちらのドライバーの本体部は個人的によくできていると感じました。柄の端の部分がクルクルと回るようになっていますので、ネジを何回転も回す際にストレスを感じることがありません。これは素晴らしい!
先端を延長するためのエクステンダーが付属しています。これを使うことで隙間作業も可能になります。ただし、先端部が膨らんでいるため狭いネジ穴に挿入することはできません。
あと、このエクステンダーはやや歪んでいました。笑 写真でも微妙に曲がっているように見えると思います。エクステンダーはほぼ使わないので、個人的には許容範囲です。
こちらのミニてこ棒は、蓋やケースを開口する際に隙間に挿し込むための道具です。
このほか、ケースや蓋の開口に用いるピックや吸盤、SIMカードトレイを開けるためのピン、部品を摘まむためのピンセットが付属しています。
最初はたくさんの道具が含まれた基本セットを選んでおいたほうがよいと思います。このセットがあれば身近な電子機器の蓋を開けたり、修理したりできる可能性が高いです。もしも足りないものがあれば、あとで個別に買い足すというかたちでOKです。
実際に精密ドライバーを使ってみた
精密ドライバーを正しく使う
ネジの駆動部がなめるという場合は、ビットのサイズが適合していないか、ドライバーの使い方を理解していないかのいずれかである(あるいはその両方である)ことがほとんどです。
ビットサイズの選定は、合いそうなビットをネジにあてがった後に、前後のサイズも同じようにあてがって、そのサイズで絶対に間違っていないことを確認します。一見してサイズが合っていそうに思えても前後のサイズに換えて試すと、そちらのほうがぴったりということが普通にあります。
特殊ネジはサイズが適合していなくても回ることがあります。しかし、無理に回すことで駆動部をなめることにつながってしまいます。適合したビットの選定作業を怠ると駆動部がなめたりビットの先端が削れたりしてしまいます。
それから、ドライバーは力任せに回してはいけません。小さなネジはすぐになめます。ドライバーは対象物に垂直に押し当てて、押しつけながらゆっくりと回す必要があります。これとあわせて、ビットがズレることを予想して、本体をマスキングテープで保護しておくといったことも重要です。
ネジが固着している場合は、どうやって外すのがよいのかを長考して方法を吟味した上で、シリコンスプレーを用いたり、叩きながら回したりといったかたちで、状況に応じた適切な工夫を行わなければなりません。高品質の精密ドライバーを用意するか、ネジ滑り止め材を塗布してから回すといった手もあります。
ネジがなめてしまった場合は、取り外したものを再利用せずに新しいネジと交換してください。互換性のあるネジがアマゾンで販売されているはずです。
精密ドライバーで分解できたもの
この精密ドライバーセットのビットが、手元にあるノートパソコンやスマートフォンのネジに対応しているかどうかを試してみました。
また、電子機器を自分で分解すると開けた時点で保証が切れることがあります。さらに、防水パッキンが剥がれて防水性がなくなってしまうといったことが起こります。
すべての作業は自己の責任に基づいて実施してください。
ASUS社のZenBook
ASUSのZenBookの底面のネジは上のような形状をしています。駆動部は6溝です。この星形六角形はトルクスネジです。
適合しそうなものをいくつか選んで試してみたところ、ぴったりサイズがありました。ここは星形六角形のT5が適合するようで、T6は嵌まらずT4は緩かったです。
適合したビットがネジの駆動部にぴったりと収まっており、力をほとんど入れなくてもネジをスムーズに回すことができました。
Lenovo社のThinkPad
ThinkPadシリーズはノートパソコンの中でも整備性が高いことが知られています。ネジも開けやすいように一般的な家庭用精密ドライバーのプラスドライバーが使えます。
もちろん、Amazonベーシックの精密ドライバーセットのプラスドライバーも使えます。こちらのセットではPH(フィリップス)1が適合し、PH0はやや緩かったです。
付属のミニてこ棒を底面の蓋を開ける作業に使ってみました。こういうアイテムは狭い隙間にねじ込むことができるのであると便利です。
Apple社のMacBook Air
こちらは古いMacBook Airの底面に使われているペンタローブネジです。駆動部は5溝です。
適合するビットをあてがうとネジが軽々と回りました。これは星形五角形☆1.2が適合し、☆1.5は大きすぎて☆0.8は小さすぎました。
写真にはありませんが、iPhoneの底面のネジ2本も、付属のビットで開けることができました。星形五角形☆0.8が適合しました。
このセットには必要なものが揃っている
この精密ドライバーセットは多くの作業で必要とされるビットが揃っているといえます。一般的なノートパソコンやスマートフォンの分解作業では困ることがないのではないでしょうか。
だから、まずはこのような精密ドライバーセットを手元に用意しておいて、その後は必要に応じて新しいドライバーを買い足すという方法がおすすめです。
このドライバーは質感がよくてとても回しやすいですよ。ビットも普通に使えます。