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VOX「amPlug(初期型)」の分解と修理

組み上げる 音楽・楽器
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 VOX 社の amPlug(アンプラグ)シリーズは、今ではヘッドフォンギターアンプの定番として高い人気を獲得しています。本体をギターやベースに挿し込むだけで使用できる手軽さがあり、自宅練習等でお使いの方も多いと思います。この製品はひとつ持っていると本当に便利です。

VOX amPlug はギターの練習に最適なヘッドホンアンプ
VOX の amPlug シリーズはギターやベースを手軽に練習できるヘッドホンアンプです。ここでは「amPlug2 Bass」を取り上げて説明しています。

 現在は amPlug2 シリーズという新しい製品が発売されていますが、初期型はいくつも使用した個人的な感想として、購入後すぐにガリが出たり一部の音量で音がまったく出なかったりしたことから、作りがちゃちでおもちゃ感が強いという印象があります。そういうこともあって、VOX amPlug シリーズの中古品を購入するのはまったくおすすめしません。

 VOX amPlug AC30(初期型)の音が出なくなっていたまま長らく放置していたので、暇を見つけて分解と点検を行うことにしました。結果を先に述べると、一部の不具合は残っているものの(←問題ありませんでした)普通に使用できる状態になりました。

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VOX amPlug AC30 の分解と修理

VOX amPlug シリーズの故障の原因

VOX amplug AC30 分解と修理

 なぜ音が出なくなってしまったのかは分かりませんが、いくつかの原因が思い浮かびます。たとえば、1)ホコリが溜まっている、2)ケーブルが断線している、3)はんだが外れている、4)接点の不良がある、5)基板に実装された部品が物理的または電気的に故障している、といったことが挙げられます。

 部品そのものが故障しているような場合は、故障箇所の特定や部品の交換が難しくて修理は困難になりますが、自分で何とかできるパターンもあるため、とりあえず中を確認してみることにしてみました。

 分解方法はとても簡単ですが、やり方を間違えると内側のツメを折ってしまうので注意が必要です。

VOX amPlug(初期型)の分解

ネジ

 裏面にあるプラグの付け根にネジが1本あります。このネジを精密ドライバーで外します。ネジはこの1本だけです。あとはカバー内部のツメが上下二つずつで固定されています。

 なお、先端が付け替えられるタイプの精密ドライバーは軸が太くて入らないので、100均等で手に入る従来型の精密ドライバーを用意してください。電池も予め外しておきます。

 ネジの駆動部(+)を舐めないように先端をしっかり合わせてから、ドライバーを押しあてながらゆっくりと回します。

下部の中央から明けていく

 本体をひっくり返して中央(ドライバーで指している部分)に指の爪やテレホンカードのような薄いものを挿し込むと隙間が開きます。

 そのまま左右にゆっくりずらしていくと内部のツメが外れます。

ツメを片方ずつ外す

 片方のツメが外れたらもう片方を外します。ツメはカバー内側の両端にあります。

 本体上部側にもツメがあるため、無理に開かないようにしてください。

反対側のツメを外しカバーをとる

 本体上部側にもツメがあることを意識して、カバーをそっと開いていきます。そうすうると上部側のツメが自然と外れてカバーが外せます。もう片方のカバー上に載っている基板も露出します。

 しかし、プラグの根元から出ている2本のコードが繋がったままになっているので、カバーは絶対に引っ張らないでください。このコードは外せません。プラグ側のコードが外れるとひじょうにやっかいなことになります。

基板を取り外した反対側

 あとはボリューム等のダイヤル部がカバーに引っ掛かっているだけですので、基板を傾けてやるとすぐに外れます。これで基板の反対側も点検できます。

 ただし、プラグの根元から接続されたコードは付いたままの状態です。

VOX amPlug(初期型)の修理

基板を取り外した反対側

 目視による点検では特に異常はありませんでした。はんだ不良や断線も見当たりません。イヤホンの差し込み口周辺も問題なさそうです。

 ガリが出やすいダイヤル周辺をなんとかしようにも交換用パーツがありません。

接点復活材

 そこで、接点復活材を使用して動作を確認してみることにしました。これは対症療法的な処置に過ぎず根本的な解決策とは言えませんが、素人には他に有効な手立てがありません。

 用意したものは以前から持っていた楽器用の接点復活材です。写真は Electro-Harmonix 社の「METAL CONTACT」という製品です。

 これは楽器用のものでなくとも大丈夫です。接点復活材は大型ホームセンターの工具コーナーに呉工業の製品が販売されています。そちらのほうが量が多くて価格も安いです。

ボリューム部分(下から)

 ダイヤルの下部から微量を吹きつけて、ダイヤルを何度も最大から最小まで回して浸透させました。

 接点復活材は普通にプッシュすると基板全面がびしょびしょになるので、ボタンの押し加減に注意してダイヤル下部のみに吹いています。はみ出た分はウエスでそっと綺麗に拭っています。

ボリューム部分(上から)

 ダイヤルの上部からも微量を吹き付けて、ダイヤルを何度も可動させました。また、イヤホンプラグのあたりにも微量を吹いてウエスで軽く拭き取りました。

 しばらくしてから本体を組み直して出音をチェックしたところ、ほぼ問題なく音が出るようになりました。ただ、ボリューム1~2は音が出ない状態が続いています。←後日に確認したところ1~2も鳴っていましたが、他のダイヤル設定との兼ね合いや生音の大きさ等で出ていないと思い込んでいました(追記)。

 とはいえ、この手の製品は消耗品と割り切って使用するのが順当といえそうです。