ある日、洗面台が詰まって水が流れなくなってしまいました。放置しても水が引く気配はありません。仕方がないので修理を行いました。
このページには、TOTO製「EH1116」という3点ユニットバスの洗面台の詰まりに対処したときの記録をまとめています。「EH1116」は年代によって仕様が多少異なるようです。
同一もしくは類似のユニットバスをお使いの方の参考になれば幸いです。しかし、これで直るという保証はありません。すべての作業は自己の責任において行ってください。
(更新)ページが見やすくなるようにレイアウト等を変更しました。
詰まりの原因とユニットバスの構造を調べる
洗面台は長い間使用していると髪の毛、石けん、化粧水、ハンドクリームなど色々な汚れが排水管を流れていきます。その一部が排水管の内側に汚れとして固着して、水の流れを阻害してしまうことで流れが悪くなってしまいます。
今回は排水口に物を落としたわけではないため、髪の毛等の汚れが積み重なって流れなくなったと判断しました。このような場合には詰まりの予兆があることが多いです。実際にしばらく前から流れが悪くなっていました。パイプクリーナーも定期的に使用していましたが、劇的な効果はないように感じます。
問題の解決には、専門業者に修理を依頼することがもっとも手堅い方法です。しかし、私は業者に連絡して修理のための日程を調整することが煩わしく感じたため自分で直すことにしました。
情報を得るために型番で検索したものの仕様書等は出てきませんでした。そのため、配管の形状等を目視で確認しました。
洗面ボウルの下は、写真のように細いL型配管で壁側に繋がっています。そして、その壁の下部には点検口と思われる小さな扉が付いています。
点検口を開けて中身を確認したところ、点検口の外周を沿うような形で排水管が繋がっているということが分かりました。配管を外して詰まりを除去することは明らかに困難です。
また、配管は細い上に直角に複数回曲がっているため、かなり詰まりやすい構造になっていると感じました。このユニットバスの場合は、排水管が左上のネジ方向へ水平に繋がって、そこで垂直に降下して、エルボの継ぎ手で複数回折れ曲がってから、排水枡の奥側から排水される仕組みになっています。
もちろん、ユニットバスの種類や施工業者によって配管等の配置が異なる可能性もあります。
なお、点検口の裏には防水用のパッキンが貼り付けられていますので、不用意に開けることはおすすめしません。
まずは排水口掃除クリーナーを試してみる(失敗!)
最初に排水口クリーナーを使ってみることにしました。複雑な配管の形状を考えれば、この方法で詰まりが除去することはできないだろうと思っていました。とはいえ、物は試しということで一応実践してみました。
詰まりの解消方法は色々な方法が紹介されています。その中には、排水口にお湯を流すといった誤った方法もあります。熱湯は耐熱仕様でない塩ビ管を変形させたり、洗面ボウルの破損に繋がる恐れがあるため不適当な方法です。
このクリーナーは100円ショップのダイソーで販売されているものです。2枚入りです。ほかに針金状でブラシの付いたの製品も売られていました。
これはプラでできた細長い棒を排水口に挿し込んで、先端のギザギザで汚れを落とすという製品です。本来は洗面ボウルの下の配管がS字になっている場所に使う製品のようです。
クリーナーの中央の折り目を曲げることで強度を高めるようになっています。
排水口の網は外した状態ですが、写真の白い部分は外れませんでした。そのため、クリーナーは排水口にギリギリ入るサイズとなります。
クリーナーを挿し込んでから上下に動かすということですが、配管がすぐにL字に曲がっているため思いどおりに動かせませんでした。
これで髪の毛の塊が引っかかって出てくれば修理も終わるのに、という淡い期待は瞬く間に打ち砕かれました・・・・・・。配管に付いていた汚れが少し落ちた程度でした。
シッテタ(・ω・)
もちろん、こんな方法で直らないということは知っていましたが、これ以上の作業は面倒くさいことになると感じて気づかないふりをしていました。
詰まり除去の専用器具を使用する(成功!)
翌日、ホームセンターに行って「ドレン・配管つまり取り」という真空ポンプを購入しました。これはキッチンや洗面所の詰まりの除去に使われる専用の器具です。エアコンのドレンホースの詰まりの除去にも使用できます。
私はホームセンターコーナンのオリジナル商品を1,000円程度で購入しましたが、このような製品自体は色々なメーカーから発売されていますがどれもほとんど同じ構造です。ただし、製品によってはドレンホースには対応していないものもあります。
中規模以上のホームセンターなら洗面・トイレ・お風呂用品のコーナーにほぼ置いてあります。値段はいずれの製品も1,000円から2,000円程度です。
内容は、詰まり取り本体と排水栓(小)、排水栓(大)、ドレンホース用ノズルとなっています。キッチンの詰まりに対処する際は、先端を排水栓(大)に取替えます。
排水栓の直径は、大サイズが160mmで、小サイズが70mmとなっています。一般的な洗面台は小サイズを使用します。
本体はポリプロピレンとスチールでできています。また、排水栓は塩化ビニル樹脂、ノズルはポリプロピレンとなっています。
自転車の空気入れのようになっています。ハンドルを押したり引いたりすることができます。
使い方はとても簡単です。水が溢れた状態の排水口に対してポンプを垂直にあてがって、ハンドルを勢いよく引き上げます。空気を押し出すのではなく、引き上げるという点がポイントです。
ハンドルを勢いよく押してしまうと、押し出された空気によって水が飛散して大変なことになってしまいます。
使用時には他にも注意事項があります。それは水溢れ防止用のオーバーフロー穴をダクトテープ等でしっかりと塞いでおかなければいけないということです。そうしないと水があふれ出てきます。
排水枡の縁も忘れずにしっかりと塞ぎます。さらに、バスタブの栓もしっかりと閉めておきます。
洗面ボウルに水がない場合は、水を少々溜めておきます。ポンプを垂直にして排水口を防ぎます。ポンプが傾いていると排水栓が排水口に密着していない状態になるので要確認です。
ポンプをしっかりと押さえつけて、ハンドルを勢いよく引き上げます。真空状態にして詰まりを解消します。
成功すると詰まりが取れた感触とともに、洗面ボウルに溜まった水が流れ出していきます。失敗したらまた同じ手順を繰り返します。ポンプは押して使うのではなく、引いて使うという点がとても重要です。
私の場合は幸いにして一度で詰まりが解消されました。水が勢いよく流れていきました。詰まりが発生する前の流れにくい状態も解消されました。蛇口を最大にひねっても問題なく水が流れていきます。
あとは、テープを剥がして掃除をすれば完了です。排水枡の中に汚れが出てきていることもあるので、フタを開けてゴミの有無を確認してみてください。割り箸とビニール袋があると重宝します。
二つの黒い塊は、パイプにこびり付いてたヘドロ汚れです。ヘドロ汚れがパイプの形状になっていることがお分かりいただけると思います。このヘドロのせいで排水が流れにくい状態になっていたようです。つまりの解消については以上です。
洗面台の配管を外してゴムパッキンを取替える方法
排水口の取り外し
ここからは配管の清掃とゴムパッキンの交換作業についての記録です。
実は洗面台の詰まりを直す作業と同時に配管を外してゴムパッキンを交換する作業も行っていました。せっかくなのでまとめておこうと思います。
なお、この作業は水漏れ等がない場合は行う必要はありません。
こちらが排水口を外した状態です。ゴムパッキンが経年劣化によってぐちゃぐちゃになっています。左に写っている三角パッキンは洗面ボウル直下に付いている水漏れ防止のパッキンです。
洗面ボウルの下側のナットを外すと排水口を外すことができます。排水口の取り外しにはモーターレンチが必要です。モンキーレンチでは開口幅が小さくナット径に適合しません。
洗面ボウルの穴から、下にある排水パイプが見えています。この穴の部分は汚れが付いているので清掃します。穴の内側も含めて汚れを除去するとかなり綺麗になります。
各パーツの寸法の測定
ここからは必要なパッキンを購入するために各パーツを計測していきます。排水口を取替える予定はありませんが、今後のためにサイズを測っておきました。
水栓用のゴムパッキンはひじょうに多くのサイズが発売されていますので、事前にサイズを測っておくことが大切です。外径と内径を測定します。
こちらが排水口のパイプ下部の外径と内径の寸法です。
こちらが三角パッキンの外径と内径の寸法です。サイズは参考値ですが市販の内径35mm径のものが使えそうです。
ただし、パッキンは押しつぶされて変形しているため、サイズはあくまでも参考にとどめてください。
この三角パッキンは洗面ボウル直下に取り付けられているものです。コーキングが打たれていましたが除去して清掃しました。
当初は三角パッキンも新しいものに変える予定でしたが、新品は径を勘違いして購入してしまっていたので、古いパッキンをそのまま再利用しました。
こちらは三角パッキンの下にあったスベリパッキンです。このスベリパッキンの下にロックナットがきます。スベリパッキンをつけないとロックナットが回りません。
配管の取り外し
配管は洗面ボウル部を外して、壁から引き抜きます。
これらの配管はホームセンターでは販売されていませんでした。もしかするとユニットバス用の専用部品なのかもしれません。
ユニットバス裏側の排水パイプに繋がる部分です。このゴムパーツもホームセンターでは販売されていませんでした。
パッキン交換に必要な物
新しいパッキンと防水シールのバスコークはホームセンターで購入しました。バスコークは500円程度でパッキンは100円から200円程度でした。
マスキングテープやヘラなど必要な物がすべてセットになっています。バスコークの分量も十分足りました。
セメダインのバスコークは色々な種類が発売されています。必ず洗面所・浴室用と書かれたものを選んでください。
洗面所・浴室用は水回りに適した仕様になっています。用途に「排水管の水漏れ補修」とあります。
色はユニットバスに合うようにアイボリーを選びました。
パッケージ裏面に説明が丁寧に記載されています。使い方はとても簡単です。
ただし、バスコークは手に付くとものすごくベタベタします。水で洗ってもなかなか落ちません。もしも手に付いたら水に濡らす前にティッシュでゴシゴシと拭き上げるようにするとかなりマシになります。
こちらは排水栓用の二重パッキンです。このパッキンは、排水口の直下に取り付けて、洗面ボウルから水がもれないようにするためのものです。
パッキン等の水栓関連用品はSANEIの製品がホームセンターで多数取り扱われていました。
こちらの排水アジャストパッキンは、排水管の途中に取り付けるためのものです。
排水アジャストパッキンは古いものと形状が若干異なりましたが、問題なく取付けられて水漏れもありませんでした。
配管の取付けと防水コーキング
配管を接続して各部に防水処理を施します。バスコークの形状と整えておきました。
バスコークは手に付くとベタベタして落ちにくいので注意が必要です。また、バスコークはチューブからひねり出すのが大変でした。
排水アジャストパッキンは配管の根元を接続する前に取付け済みです。ロックナットを強く締めすぎるとパッキンが歪んで水が少し漏れてしまいました。すぐに良い塩梅になるよう調整しました。
コの字型になったUパッキンを排水口に取り付けます。Uパッキンをつけた排水口をギュッと押し込みます。
元々のパッキンが劣化してぐちゃぐちゃになっていましたが、新しいものはしっかりと厚みがあります。
下側は三角パッキンを取り付けます。今回は古いものをそのまま再利用しました。
この三角パッキンの上側はコーキングする必要があります。コーキングの量は少量で十分です。その後、モーターレンチでロックナットを締めていきます。
あとはバスコークが乾くのを待ってから、水漏れしないかどうかを確認して、問題がなければ補修完了です。